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第一章 ヒロイン編

41.

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「びっくりしただろ。カルティドは見当たらないしリティの叫び声は聞こえてくるし何事かと思ったぞ。」

「クラリスここまで誘導ありがとな。リティがまさか気絶するとは……よっぽど混乱したんだな。」

くすくすと笑いながら俺の腕の中にいる愛しいリティを見つめる。
叫び声でかなりの注目されるなか、気絶したリティを抱き上げ颯爽とクラリスと歩いたからリティが起きる頃にはまた新たな噂話が出来ているだろう。

「さて、大体は移動中に聞いたがリティはそっち方面は無垢なんだよ。カルティドだってわかってるだろ。」

「そうだね。無垢なリティは本当に可愛いんだよな。俺だけのリティだ。」

「少しは我慢しろ!!リティをあまり追い込むなよ。」

「ん?追い込んでなんかいない。リティの気持ちを優先してるし我慢してる。」

「それじゃ、の後カルティドの部屋に連れていきんだな?」

相変わらずクラリスは勘がいいな。
ここはにっこりと微笑んで何も言わないでおこう。 

「はぁ………カルティドはリティを傷つけないと信用しているがリティは大事な妹なんだ。にしてくれよ。」

「もちろん。リティを大切にし離さないよ。」

「お前の発言は何か怖いものがあるな……リティは逃れられないだろうな。」

クラリスは俺をよくわかっている。
俺が好きになった時点でもうリティには1つの選択肢俺の妃しかない。
満足げに微笑むとクラリスはあきれた顔をしていた。

「さて、イグルスお前を連れてきたのは聞きたいことがあったんだ。」

あの場から話があるからとクラリスがイグルスも連れてきた。
クラリスにもブレーリ令息にもリティの顔が見えないように包んで抱き締めながら二人を見ていた。

「クラリス兄、俺もリティが好きだ。」

「幼い頃からお前の気持ちはわかっていたが、俺はリティの気持ちを優先するよ。今はもうカルティドの婚約者だ。だがだ。カルティドからリティの気持ちを奪えるならそれだけの男だと認めてやる。だが、くれぐれもリティの気持ちを蔑ろにしてみろ……俺が容赦しないからな。」

クラリスは俺の前でリティのことでブレーリ令息を焚き付けて普通は不敬罪もんだが、それだけ認めてる男だと言うことか。
コクりと頷いて決意の目をしたブレーリ令息を見る。
油断はしないでおこう。
だが、俺はリティのことは一歩も譲る気はないからな。

「ブレーリ令息、リティに関することで聞きたいことがあるんだ。君のお兄さんについてなんだが、何か以前と変わったことがないか?」

「バカ兄………がですか?う~ん……昔から俺はバカ兄をよく思ってなく嫌いなんですよね。あいつを兄だと思うと情けなくて……クラリス兄が本当の兄だとよかったのにな。」

よほど仲がよろしくないみたいだな。
人前で兄をバカ呼ばわり……見下してる。
まぁ、ブレーリはバカなんだが弟からも思われてるとはどうしようもないな。
ブレーリが公爵を継ぐと衰退するだろうと思っていたが……将来はこのブレーリ令息が継ぐことになるだろう。
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