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三つのできごとが、いっぺんにおきました。
まず、ナオ君のはめていた指輪がこわれました。
「あんまり大きなケガをうつすと、指輪はこわれてしまうからね」
ミユキお姉さんのケガは、おじさんの言っていた『大きなケガ』だったのです。
次に、ミユキお姉さんのケガがおでこから消えました。
といっても、おでこには包帯をまいているので誰も―― お姉さんでさえ―― 気づきませんでしたけれど。
そして、最後に。
お姉さんのケガが、ナオ君にとんできました。
まゆげの上の、おでこのところへ。
バレーボールの柱にぶつかってできたケガ。
五針も縫ったケガです。
その痛さときたら!
ナオ君は口を大きくひらいて、お魚みたいにパクパクさせています。
あまりにも痛すぎて、言葉にならないどころか、声すらでてこないのです。
涙を流す?
ワンワン泣く?
それどころではありません。
ナオ君はイスからずりおちて、おでこをおさえて、ただうずくまることしかできませんでした。
最初にその様子に気づいたのは、ミユキお姉さんです。
「どうしたの、ナオ君?」
声をかけても、ナオ君は返事をしません。うずくまったまま、ふるえています。
「おなか痛いの?」
聞きながら、ミユキお姉さんは赤い目でナオ君の顔をのぞきこみました。
そして――
目を大きく見開き、辺りにひびきわたるような大声で、
「どうしたのそのケガ!」
と、さけんだのです。
ナオ君のおでこには ――ちょうどお姉さんがケガをした場所に―― 大きな傷ができていました。
ぱっくりと開いた傷口からは、血がどんどん流れてきます。
近くにいた人たちも、ナオ君のケガに気づいてさわぎだします。
「これはひどいケガだ」
「はやく手当をしないと」
そこへ、ナオ君とミユキお姉さんのお母さんがやってきました。
「ナオ、どうしたの!」
「まあ、大変!」
二人はナオ君のケガをみるなり、お姉さんと同じように声をあげました。
ナオ君のお母さんはあわててハンカチをとりだし、ナオ君のおでこから流れる血を止めようとします。
ミユキお姉さんのお母さんは、オロオロするばかり。そのとなりで、ミユキお姉さんもまっ青な顔。
ナオ君はというと、あまりの痛さとたくさん流れる血を見て気がとおくなりかけています。
そんな中――
「さきに診てもらってください!」
大きな声は、人だかりの中から聞こえました。
見ると、右手に包帯を巻いているお兄さんがナオ君たちにかけよってきます。
「僕の番をあとにしてもらいました。すぐに診てもらえます」
ナオ君のお母さんははじかれたように立ち上がると、
「ありがとうございます!」
お兄さんにお礼を言って、ナオ君を抱えるように診察室へ飛び込みました。
そこは、真ん中の部屋。
ミユキお姉さんが診てもらった診察室でした。
だから、ナオ君の治療が終わったあとでお医者さんは目を丸くして言ったものです。
「同じ日に、同じところに同じケガをして、まったく同じように縫うだなんて初めてですよ」
ケガの理由を、ナオ君はイスの角にぶつけたことにしました。
「それぐらいで、こんな大けがになるかしら」
お母さんは首をひねりましたが、まさかミユキお姉さんのケガがうつったとは思いません。
ミユキお姉さんも、おでこに巻いた包帯の下のケガが消えてていることに、しばらく気づきませんでした。
※
まず、ナオ君のはめていた指輪がこわれました。
「あんまり大きなケガをうつすと、指輪はこわれてしまうからね」
ミユキお姉さんのケガは、おじさんの言っていた『大きなケガ』だったのです。
次に、ミユキお姉さんのケガがおでこから消えました。
といっても、おでこには包帯をまいているので誰も―― お姉さんでさえ―― 気づきませんでしたけれど。
そして、最後に。
お姉さんのケガが、ナオ君にとんできました。
まゆげの上の、おでこのところへ。
バレーボールの柱にぶつかってできたケガ。
五針も縫ったケガです。
その痛さときたら!
ナオ君は口を大きくひらいて、お魚みたいにパクパクさせています。
あまりにも痛すぎて、言葉にならないどころか、声すらでてこないのです。
涙を流す?
ワンワン泣く?
それどころではありません。
ナオ君はイスからずりおちて、おでこをおさえて、ただうずくまることしかできませんでした。
最初にその様子に気づいたのは、ミユキお姉さんです。
「どうしたの、ナオ君?」
声をかけても、ナオ君は返事をしません。うずくまったまま、ふるえています。
「おなか痛いの?」
聞きながら、ミユキお姉さんは赤い目でナオ君の顔をのぞきこみました。
そして――
目を大きく見開き、辺りにひびきわたるような大声で、
「どうしたのそのケガ!」
と、さけんだのです。
ナオ君のおでこには ――ちょうどお姉さんがケガをした場所に―― 大きな傷ができていました。
ぱっくりと開いた傷口からは、血がどんどん流れてきます。
近くにいた人たちも、ナオ君のケガに気づいてさわぎだします。
「これはひどいケガだ」
「はやく手当をしないと」
そこへ、ナオ君とミユキお姉さんのお母さんがやってきました。
「ナオ、どうしたの!」
「まあ、大変!」
二人はナオ君のケガをみるなり、お姉さんと同じように声をあげました。
ナオ君のお母さんはあわててハンカチをとりだし、ナオ君のおでこから流れる血を止めようとします。
ミユキお姉さんのお母さんは、オロオロするばかり。そのとなりで、ミユキお姉さんもまっ青な顔。
ナオ君はというと、あまりの痛さとたくさん流れる血を見て気がとおくなりかけています。
そんな中――
「さきに診てもらってください!」
大きな声は、人だかりの中から聞こえました。
見ると、右手に包帯を巻いているお兄さんがナオ君たちにかけよってきます。
「僕の番をあとにしてもらいました。すぐに診てもらえます」
ナオ君のお母さんははじかれたように立ち上がると、
「ありがとうございます!」
お兄さんにお礼を言って、ナオ君を抱えるように診察室へ飛び込みました。
そこは、真ん中の部屋。
ミユキお姉さんが診てもらった診察室でした。
だから、ナオ君の治療が終わったあとでお医者さんは目を丸くして言ったものです。
「同じ日に、同じところに同じケガをして、まったく同じように縫うだなんて初めてですよ」
ケガの理由を、ナオ君はイスの角にぶつけたことにしました。
「それぐらいで、こんな大けがになるかしら」
お母さんは首をひねりましたが、まさかミユキお姉さんのケガがうつったとは思いません。
ミユキお姉さんも、おでこに巻いた包帯の下のケガが消えてていることに、しばらく気づきませんでした。
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