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18 女傑 

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ヴァス様が、部屋を後にする。そのまま、執事やメイド達が、私を気遣ってくれる。

メイドが「何か口にされませんか?そのままでは、倒れられてしまいます。」とお茶とお菓子を持って来てくれた。

礼を言うが、森に向かった カインが心配だ。今すぐにでも森に行きたいが、また 足手まといになるのも分かっている。

そのまま、待つしか無いのか?すると、部屋のドアが開いた。そこには、とても綺麗な鬼人の女の人が居た。

誰と思っていると、女の人が「リコリスと申します。先ほどのヴァスは、私の夫ですわ。」と優雅に礼をし、私の座っているソファに腰を掛けた。

私の手を握りリコリス様が「今。夫もカイン様の捜索に、向かっています。ですから、悲観しないで、待ちましょう。」と優しい声でお話をしてくれる。

「私は・・・また・・・」私はいつも、泣くことしか出来ない。カインを、助けて欲しい。

また、大切な者を、カインを、うしなうの?・・・泣いている私の頭を、優しくなでてくれている、かの方がいた。驚き目を見張ると。優しいまなざしで、そのまま部屋を後にする。

慌てて、かの方を引きとめた、「お願いです。カインを、助けてください。アルフォンス様・・・」と願う。そのまま、またかの方は、あの時と同じように、駈けていった。

その様子を見守るしか無かった。リコリス様を振り返ると、うなずき答えてくれた。「あの方の、なさったことは、許せません。ですが。あの方も、捜索に加わったのなら、問題が早く解決に向かうでしょう。今は、待ちましょう。」と手をしっかり握りしめてくださる、リコリス様。

私は逃げずに聞こう、かの方の事を「リコリス様は、アルフォンス様の事を、知っているのですか?私に、教えていただけませんか?」としっかり目を見て願い出る。

リコリス様が、「かの方に、聞くのが良いと思いますが・・・・貴方は、何処まで、アルフォンス様の事を、知っていますか?」と問われた。

私は、首を振る。「何も知りません。かの方の、種族も・・名も、アルフォンスとしか・・」と俯いてしまった。

その時、リコリス様が、「顔を上げて。あの方は、貴方に そんな顔をさせてしまったのですね。あの方が、3年ほど何をしていたかは、分かります。ある日 あの方が、貴方を探すよう。夫に命じました。いえ。お願いですね。その後、貴方のことを調べた、夫が怒り。城で暴れ。あの方は、全てを失いました。処分は甘いですが・・あの方は、魔力を封じられ、持たざる者になりました。そして逃げ出せない場所、国の北側。峡谷に、実質の幽閉です。その後は、辺境伯エイベル様に、根性もろともたたき込まれてるはずです。」と笑顔で話された。

全てって?「全てとは、魔力以外。何を失ったのですか?」と私は聞く。

リコリス様が「身分ですね。」と話された。かの方の身分て、団長っと思っていたら。

リコリス様に首を振られた。「その身分は、明かせません。が、かの方はあなた達も、失ったのですから・・・罰は受けていますでしょうか?」と微笑まれた。

持たざる者の苦労は、私が身をもって知っている。かの方は魔力を持ちし者の中でも、魔力量はとても多かったはずだ。

その方が、魔力を一気に無くしたのならば、苦労の一言では無いはずだ。これは、かの方の、罰なのだろうか・・・考え混んでしまう。

リコリス様が「貴方が、許せないならば、一言 言えば良いのです。死ねと。番である貴方の切実な願いならば、あの方も叶えるでしょう。」と当たり前のように、話される。

絶句した。そこまでは、考えていない。リコリス様の目を、しっかり見つめる。
「私は、そこまで、思っていません。かの方に、死んで欲しいなんて。口が裂けても言いません。かの方にも、幸せになって欲しいのです。」と話す。

リコリス様が、「番と離れてるだけでも、死のつらさです。その言葉を、番である貴方から聞くのです。死ねと言われて、喜ばない番はいません。ただ、生きろという方が、死ねというよりも、酷かも知れません。番がいないのに、どうあがいても、幸せには慣れません。貴方は、どうしたいのですか?」と不思議そうに聞かれた。

私は、「番だからでは、なく。ただ、側にいたかった。でも、番が現れたから・・・アル様の迷惑に・・・」どうすれば良いの?どうすれば良かったの?頭が、真っ白になる。

リコリス様に微笑まれた。「では、側にいたら良いのです。かの方も、反省ではすまないほどに、贖罪を背負いました。今。家族で、新たに出発すれば、良いのでは無いでしょうか?貴方もかの方も、共に・・」と手を握られ微笑まれた。

私は、「許してくれるでしょうか?」と話す。

リコリス様が、「許してくれるのでは無く。貴方が許してくれるならば、かの方は災害級も狩り取り、貴方に捧げるでしょう。」と話された。

この方の豪快さに、少し笑ってしまう。

するとリコリス様が、「やっと笑いましたね。ヒカリ。貴方の笑顔が、見たかったのです。さっ。後は、夫達が朗報を持ってくるまで、待ちましょう。」とメイドにお茶を入れさせ。

一緒に、お茶を飲む。

願う。カインの無事を、リコリス様と共に・・・







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