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1.気になるあの子
しおりを挟む昼休み。
窓際の席で一心不乱に、机に広げたノートに鉛筆で何かを書いている、あの子。
リカは廊下側に近い席で、頬杖をついて遠くその姿を眺めている。
何をそんなに熱心に書いているんだろう。
あの子をぼーっと、見ていた。
3年生の教室がある3階の窓は全開で、春独特の爽やかな風でカーテンが大きく揺れている。
校庭からは、野球を楽しむ男子の声が聞こえる。
廊下からは、きゃっきゃっとお話しする女子の楽しげな声も聞こえる。
教室にもおしゃべりをしたり、数人残っている。
いつもお昼を一緒に食べる仲の良いスズカちゃんは、今日はお休み。
お腹が痛いらしい。
たぶん、昨日一緒に食べたチョコレートが白っぽかったからかな。
大丈夫かしら。
わたし何でなんともないんだろ。
今日の給食のわかめご飯、スズカちゃん好きなのにな。
一緒に食べたかったな。
天気がいいな。
眠くなってきちゃった。
2時限目のスズキ先生、なんかメガネがずれてたな。
窓際のあの子を見ているようで、頭半分以上は違うことを考えていた。
いつもお昼が終わった後、お話をしているスズカちゃんがいないと、調子がでない。
何分すぎただろう。まだ昼休みは少しある。
すると、突然、あの子の鉛筆が止まっていることに気付く。
何やら、固まっている。
リカの全神経があの子に集中した。
どうしたどうした。
何か忘れ物でもしたの?
お腹痛くなった?
リカの脳が原因をぐるぐると考え始める。
長いようで短い一瞬だった。
そして唐突に、あの子はノートを持ち上げて満足そうに笑った。
教室の空気が、止まった気がした。
リカの目は、あの子に釘付けになった。
そして、あの子が気になる学校生活が始まった。
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