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若気の至り
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千種は、匡のほろ酔い上司が絡んでも、入れ替わり立ち代わり注ぎに来られるお酒とセクハラまがいの質問にも嫌な顔ひとつしない。
匡はその横顔を盗み見ながら、営業というのもあるんだろうけどこのスマートなやりとりは流石王子様だなぁと感心し、見惚れていた。
眺めているだけで匡は十分満たされていたのだけれど、人が途切れると千種が気を使って自分にも話しかけてくれる。
でも、その仲良くなれるかもしれないチャンスはことごとく逃した。
緊張してまともに返せない自分が情けない。
間をもたせるために、飲み放題メニューを適当に頼んでいたら酔いがグルグル回り出していて。
千種の柔らかな笑顔には最初から酔っていて。
お酒に底上げされた匡の調子は、上がりすぎてコントロール不能。
お酒を覚え始めたばかりの匠は、このときまだペース配分がわかっていなかった。
「いやぁ、石田さん、コイツよぉやるんですよっ
高卒の真っ赤な髪でやって来たときゃ、こりゃ3日もつかなと心配になったんですがねぇ」
「もぉ、またその話ですかぁ~
二年も前の話を、何回も何回も広めるとか酷くないですかぁ?
アレは、若気の至り、つーか、そぉ、高校の先輩が初っ端から舐められちゃいかんって染めてくれたんすよぉ」
「ふはははぁっ、入社式でそっこぉ社長から名前と顔覚えられたんは、計画通りか」
「んなわけ無いでしょお」
「・・・あぁ、あのときの赤髪の」
「うわぁ、石田さんも覚えてるんすかぁああ」
「本社はしばらくその話題で持ちきりだったし、あんな爪痕残す新入社員は後にも先にも居なかったから」
ニコニコ笑顔で話しかけられると、嬉しい。
もっと笑って欲しくて、匡はその場で思いつく限りの話題を提供。
千種の両隣を上司と結託して独占し続け、最後まで誰にも譲らなかった。
この日の俺こそ、若気の至りじゃないのか。
この時すでに営業課長だった千種に、入社二年目、禄に仕事も覚えていないペーペーの自分が何を言ったのか。
あやふやにしか覚えていない。
しかも、それだけじゃ終わらなかった。
二次会に行くグループと、それ以外。
宴もたけなわと、二手に分かれてお店を後にしたらしいのだが。
匡は、1年経った今もそのときの記憶が全く思い出せない。
あの日の記憶は、店の中からこの隣の寝室に直接リンク。
気持ち良く飲んでいた筈が、見知らぬ部屋のベットで千種を背中から抱きしめて眠っていた。
目の前には、情事の跡が残る千種の肌と気怠く重い下半身。
床には、脱ぎ散らかした服と使用済みのコンドーム。
匡は事態を把握した瞬間、ベットから転げ落ちてその場で土下座。
責任を取らせてくださいと、目覚めたばかりの千種に頼み込んだ。
匡はその横顔を盗み見ながら、営業というのもあるんだろうけどこのスマートなやりとりは流石王子様だなぁと感心し、見惚れていた。
眺めているだけで匡は十分満たされていたのだけれど、人が途切れると千種が気を使って自分にも話しかけてくれる。
でも、その仲良くなれるかもしれないチャンスはことごとく逃した。
緊張してまともに返せない自分が情けない。
間をもたせるために、飲み放題メニューを適当に頼んでいたら酔いがグルグル回り出していて。
千種の柔らかな笑顔には最初から酔っていて。
お酒に底上げされた匡の調子は、上がりすぎてコントロール不能。
お酒を覚え始めたばかりの匠は、このときまだペース配分がわかっていなかった。
「いやぁ、石田さん、コイツよぉやるんですよっ
高卒の真っ赤な髪でやって来たときゃ、こりゃ3日もつかなと心配になったんですがねぇ」
「もぉ、またその話ですかぁ~
二年も前の話を、何回も何回も広めるとか酷くないですかぁ?
アレは、若気の至り、つーか、そぉ、高校の先輩が初っ端から舐められちゃいかんって染めてくれたんすよぉ」
「ふはははぁっ、入社式でそっこぉ社長から名前と顔覚えられたんは、計画通りか」
「んなわけ無いでしょお」
「・・・あぁ、あのときの赤髪の」
「うわぁ、石田さんも覚えてるんすかぁああ」
「本社はしばらくその話題で持ちきりだったし、あんな爪痕残す新入社員は後にも先にも居なかったから」
ニコニコ笑顔で話しかけられると、嬉しい。
もっと笑って欲しくて、匡はその場で思いつく限りの話題を提供。
千種の両隣を上司と結託して独占し続け、最後まで誰にも譲らなかった。
この日の俺こそ、若気の至りじゃないのか。
この時すでに営業課長だった千種に、入社二年目、禄に仕事も覚えていないペーペーの自分が何を言ったのか。
あやふやにしか覚えていない。
しかも、それだけじゃ終わらなかった。
二次会に行くグループと、それ以外。
宴もたけなわと、二手に分かれてお店を後にしたらしいのだが。
匡は、1年経った今もそのときの記憶が全く思い出せない。
あの日の記憶は、店の中からこの隣の寝室に直接リンク。
気持ち良く飲んでいた筈が、見知らぬ部屋のベットで千種を背中から抱きしめて眠っていた。
目の前には、情事の跡が残る千種の肌と気怠く重い下半身。
床には、脱ぎ散らかした服と使用済みのコンドーム。
匡は事態を把握した瞬間、ベットから転げ落ちてその場で土下座。
責任を取らせてくださいと、目覚めたばかりの千種に頼み込んだ。
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