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第6章
裏切り
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「どういう、こと‥?」
「俺が‥俺からルーの話に乗ったんだ。」
シオンと目が合う。
揺らいだ瞳。だけど真っ直ぐと俺を見つめる。
嘘じゃない。本当の事を話してる。
じゃあ、さっきの行動も全部自分の意思って事?
「っ意味が、わからないよっ」
脅されたと、そう言われた方がよっぽどマシだった。
ルーになりかわってる奴の話に乗っただって?
それってさ‥正規のルートを進ませるって事だよね。
その意味を、分からないわけじゃないだろ‥?
ドクリと胸の中の黒いものが溢れてくる。
君が言ってくれたのに‥。
だから俺も頑張ろうってっ
こちら側に来ればいいって‥手は届くんだって‥そう、シオンが言ったんじゃないか
「ねえ‥さっきからさー、俺の事無視しないでくれる‥?」
「リオンさん‥」
空色の瞳が俺を捉える。
駄目だ。笑わ、なきゃ‥弱いところみせちゃ駄目だ。
俺は‥変わったんだから
変わったんだっ
「なに?二人で痴話喧嘩でもしてるわけー?えー、じゃあ俺が当て馬だったとかー?」
俺のせいで打った背中を撫でながら、
ヘラヘラとベンチへかけなおすリオンさん。
口元は笑みを浮かべているけれど、苛立ちが見てとれる。
きっと今のリオンさんには俺たちの話は理解できなかったはずだ。
挙句、放置状態。怒るのも当然だろう。
でも今はそんな事に構ってられる余裕がなかった。
空色の目が俺を鋭く睨みつけてくる。
変わった‥はずなのにっ
「‥いい加減にしろよリオンっ」
「はぁ?俺、なにかしたかなー?」
「くそっ、」
「‥」
「だんまりしちゃってなんなの‥?さっきから話の内容が全然分からないんだけど‥
まあ、そのルーって奴なら知ってるよ。昨日急に話しかけてきて、君が俺の家柄やお金目当てだって随分と楽しそうに話してたから‥。」
「っ」
どこまで‥っ、惨めになればいいんだ‥。
「で、どうなの?シオンちゃんこいつと仲良いみたいだし、知ってるならさ‥教えてよ‥」
「‥っ、それは!?っ、‥あぁ、その通りだ。エルはリオンの‥
家柄目的で近づいてる‥」
「なっ、ちが!?ーー」
どう、して
俺はもう保てなかった。
自然に涙がこぼれ落ちる。
否定の言葉の末に見えた空色。
拒絶の色。
これは‥夢?頼むから‥夢であってくれよっ‥なぁ‥。
「だからもうエルに近づくんじゃねえぞリオン‥」
「っ、なんで俺が近づいてるみたいな言い方なの?‥は、まあいいや‥やっぱりそういう目的があったわけ‥」
「っ‥ちがっ‥ち、がうっ」
「おいっ、近づくなって言ってんだろッ!?」
ベンチから立ち上がり、ふらふらと俺の前へと歩み寄るリオンさん。
俺は頭が真っ白になって、ただ否定の言葉を口にすることしかできない。
「っ、むかつく。そんな顔したってさ、証人が二人もいるんだよ‥信じられるわけないでしょ‥。っ、最低野郎‥あれだけ‥乱しておいてっ‥っ、このッーー!?」
リオンさんの憎しみのこもった表情と振りかざされる腕。
もうこの人の目には‥俺は悪者にしか映らない。
終わった、のか‥?
あぁ、任せるって言われたばかりなのに。
ゴンっと脳が揺れる音がする。
頬が熱くなって、骨が軋む。
俺は視界がぼやける中、考えていた。
ちゃんと伝えなきゃって。
何度でも、貴方に
ゆっくりと顔を上げ
笑うーー。
「リオン、さん、
大好きですーー。」
「っ、な」
「エルっ!?リオンてめえ!?」
リオンさんに掴みかかるシオンを横目に、俺はゆっくりと彼等とは正反対の方向へ歩き出す。
やっぱ、俺って情けないな‥
ちょっとだけ‥ちょっとだけ休ませてください‥ファイさん‥。
せっかく信頼して‥くれたのに‥
心が‥飲み込まれそうなんです‥
深い深い闇の底に堕ちていくような‥
本当に‥
‥すみません
「俺が‥俺からルーの話に乗ったんだ。」
シオンと目が合う。
揺らいだ瞳。だけど真っ直ぐと俺を見つめる。
嘘じゃない。本当の事を話してる。
じゃあ、さっきの行動も全部自分の意思って事?
「っ意味が、わからないよっ」
脅されたと、そう言われた方がよっぽどマシだった。
ルーになりかわってる奴の話に乗っただって?
それってさ‥正規のルートを進ませるって事だよね。
その意味を、分からないわけじゃないだろ‥?
ドクリと胸の中の黒いものが溢れてくる。
君が言ってくれたのに‥。
だから俺も頑張ろうってっ
こちら側に来ればいいって‥手は届くんだって‥そう、シオンが言ったんじゃないか
「ねえ‥さっきからさー、俺の事無視しないでくれる‥?」
「リオンさん‥」
空色の瞳が俺を捉える。
駄目だ。笑わ、なきゃ‥弱いところみせちゃ駄目だ。
俺は‥変わったんだから
変わったんだっ
「なに?二人で痴話喧嘩でもしてるわけー?えー、じゃあ俺が当て馬だったとかー?」
俺のせいで打った背中を撫でながら、
ヘラヘラとベンチへかけなおすリオンさん。
口元は笑みを浮かべているけれど、苛立ちが見てとれる。
きっと今のリオンさんには俺たちの話は理解できなかったはずだ。
挙句、放置状態。怒るのも当然だろう。
でも今はそんな事に構ってられる余裕がなかった。
空色の目が俺を鋭く睨みつけてくる。
変わった‥はずなのにっ
「‥いい加減にしろよリオンっ」
「はぁ?俺、なにかしたかなー?」
「くそっ、」
「‥」
「だんまりしちゃってなんなの‥?さっきから話の内容が全然分からないんだけど‥
まあ、そのルーって奴なら知ってるよ。昨日急に話しかけてきて、君が俺の家柄やお金目当てだって随分と楽しそうに話してたから‥。」
「っ」
どこまで‥っ、惨めになればいいんだ‥。
「で、どうなの?シオンちゃんこいつと仲良いみたいだし、知ってるならさ‥教えてよ‥」
「‥っ、それは!?っ、‥あぁ、その通りだ。エルはリオンの‥
家柄目的で近づいてる‥」
「なっ、ちが!?ーー」
どう、して
俺はもう保てなかった。
自然に涙がこぼれ落ちる。
否定の言葉の末に見えた空色。
拒絶の色。
これは‥夢?頼むから‥夢であってくれよっ‥なぁ‥。
「だからもうエルに近づくんじゃねえぞリオン‥」
「っ、なんで俺が近づいてるみたいな言い方なの?‥は、まあいいや‥やっぱりそういう目的があったわけ‥」
「っ‥ちがっ‥ち、がうっ」
「おいっ、近づくなって言ってんだろッ!?」
ベンチから立ち上がり、ふらふらと俺の前へと歩み寄るリオンさん。
俺は頭が真っ白になって、ただ否定の言葉を口にすることしかできない。
「っ、むかつく。そんな顔したってさ、証人が二人もいるんだよ‥信じられるわけないでしょ‥。っ、最低野郎‥あれだけ‥乱しておいてっ‥っ、このッーー!?」
リオンさんの憎しみのこもった表情と振りかざされる腕。
もうこの人の目には‥俺は悪者にしか映らない。
終わった、のか‥?
あぁ、任せるって言われたばかりなのに。
ゴンっと脳が揺れる音がする。
頬が熱くなって、骨が軋む。
俺は視界がぼやける中、考えていた。
ちゃんと伝えなきゃって。
何度でも、貴方に
ゆっくりと顔を上げ
笑うーー。
「リオン、さん、
大好きですーー。」
「っ、な」
「エルっ!?リオンてめえ!?」
リオンさんに掴みかかるシオンを横目に、俺はゆっくりと彼等とは正反対の方向へ歩き出す。
やっぱ、俺って情けないな‥
ちょっとだけ‥ちょっとだけ休ませてください‥ファイさん‥。
せっかく信頼して‥くれたのに‥
心が‥飲み込まれそうなんです‥
深い深い闇の底に堕ちていくような‥
本当に‥
‥すみません
応援ありがとうございます!
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