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Episode4

はらぺこ淫魔、溺れる。-8

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「ひぅッ!   う、ッぁ、やぁ、らめぇ……っ! あぅ…ッ、はぁーッ……なんれ゙ッ、も……ッ、う~~~~ッッ!」

 リオンの希望でピッタリとカーテンが閉められたディナンの自室で、リオンは身も世もなく喘いでいた。
 それもこれも、しつこいくらい丁寧にリオンの後孔を解すディナンのせいだ。
 パタパタと脚を蹴り、終わらない快感から逃れようとするリオンを叱るように、ディナンがぐちゅぅ、と前立腺を潰した。

「あああ゙ッ! やらっ、らめっそれ、きちゃっ……~~~ッッ!  」
「ナカだけでイけて良い子だね、リオ」

 よしよしと言うように、ナカの浅いところを捏ね回され、空いた手で頭を撫でられる。朝ディナンに結って貰った髪は崩れて見る影もなくシーツの上に散らばっていた。

「んっ、あっあッ…でぃなッしゃ、も、おねがいぃ……!」
「なあに、ちゃんと言葉にしなきゃ分からないよ、リオ」

 こにこと微笑むその顔はとても優しいのに、後ろを弄る手は少しも止まってくれない。
 ディナンから与えられる刺激は全部気持ちいい。でも、いい加減足りなかった。

「たりっ、たりない、から……ッ! んああっ! ディナンさまの、ほし……ッ!」

 おねがい、とうっすら膜が張ってぼやける視界の中、ディナンの顔を見た。太腿に当たる熱の存在がリオンをかきたてる。はやく、はやく挿れてほしいっ! 
 必死に言葉を重ねるリオンを見て、ディナンは、はっ、と熱い息を吐いた。孔から指を抜き、両手をリオンの頬に添える。

「ぅ、ぁ……あ、……っ!」
「欲しいの?  リオ」
「ん……ッ!」

 こつんと額が合わさり、目の前がディナンでいっぱいになる。果てのない多幸感の中、リオンは一生懸命頷いた。

「そっか、上手に言えたね」

 ディナンはいい子、と言いながらピタリと後孔に剛直を押し付けた。それだけでゾクゾクと背中に快感が走る。まだ挿れてもないのに、これからの快楽を予感して弓なりに背中がしなった。

「はやっ、はやくっ」
「可愛いね、リオ」

 枕を掴みながら強請る。ディナンがリオンの手元を冷ややかな目で見つめていたが、目の前の悦楽に頭がいっぱいになっていたリオンは気づかなかった。

「……そうだ、ねえ、どっちがいい?」
「ぁ……う?  んンッ……!」

 ぬちぬちと浅い所を出し入れしながら、ディナンがこてんと首を傾げた。焦らすような刺激にリオンの腰が無意識に揺れる。ディナンは目を細め、すりすりとリオンの腰を撫でると、リオ、と名前を呼んだ。鼓膜を震わせるいつもより少し掠れたその声すら気持ちがよかった。

「ゆっくり挿れるのと、一気に挿れるの、どっち?」
「どっ、どっちでもっ、いいからッ……! はや、ッ~~んああ゙ッ!」

 そっか、と滴るような色香と共に微笑んだディナンが、どちゅんっと無慈悲にリオンの奥を突いた。パチパチと視界が弾け、目の前が真っ白になる。

「う……? ッぁ……、え……?」

 予想していた快感を遥かに上回るそれに処理が追いつかない。不思議そうに首を傾げるリオンを、どろりと甘い笑みを浮かべたディナンが見つめていた。

「まだ飛ばないで、リオ。足りなかったんでしょう?」

 ディナンはナカに挿れたものを抜けそうなところまでゆっくり引き抜くと、その大きさをリオンの身体に覚え込ませるようにゆっくりハメ直した。指で散々苛められたしこりを潰され、届かなかったとこまで擦られる。リオンのナカは喜んでディナンの剛直を受け入れ、もっと、というように吸い付いた。

「ひっ、あっあっあっ、ゆっくりっ、らめっ、……ッふかいィッ……!」
「久しぶりだから、キツいかな。ごめんね」

 そう言いながらぴとりと最奥に先端を付けると、ディナンは小刻みにナカを捏ねた。ゆっくりだが確実に最奥を開こうとする動きに、背筋に悪寒にも似た快感が走る。恐怖からか、それとも期待からか、自分でも判断がつかないまま枕をぎゅぅっと抱きしめた。快感に耐えるように足先が丸まる。

「んうっ、しょこっ、そこらめなとこっ、ああぁっ、ひっ、んん゙ッ……ひ、あッ、あんっ」
「ほんとう?  やめてもいいの?」

 口の端を持ち上げ、ディナンは意地悪くそんな事を言うと、ゆっくりとナカに埋めていたものを抜いていく。
 気づいたら、言葉にするより先に首を振っていた。

「らめっ、やめないでっ! ナカ、らしてほし、ぁ、ひっ、~~~~ッ!」

 次の瞬間、どちゅんっと奥を穿たれてリオンは背中をしならせた。

「——ッッ!! ああぁ゙ッ! あんっ……あ、あ、ンあ゙ッ! もっイく、イ゙ッ……~~~ッ!」
「んっ…。っは、さすがにキッツいな……気持ちい? リオ」
「きもちっ……ッ、もぉ、やぁっ……! らめっ、ひっ、あんっ、ああ゙ぁ゙っ! ンぐ、う」
「うんうん、気持ちいいね」
「あ゙ッ、んあああ゙ぁ゙ッ゙!? なん゙れっ、イ゙ッてるッ、あ、……う? んあ゙ッ、~~~ッ゙ッ゙!」
「でももっと気持ちいいとこがあるよね?」

 ディナンの囁き声と共に、ぐぽ、と最奥に先端がねじ込まれる。きゅうぅっ、と収縮したナカに飛沫が放たれた。じわり、と暖かくなる腹にナカに出されたのだ、と察する。
 ようやく貰えた精液ご飯が嬉しくて下腹をさする。ふへ、と顔を弛めると、ディナンが喉の奥で小さく唸った。

「あんまり可愛いことしないで、リオ。止まらなくなるでしょう」
「んあっ、う? あ…あぅ、な、なんで、んンッ……んあッ……!」

 ディナンはリオンを買ったのだから、別に好きにしていいのに。
 不思議に思ってディナンの顔を見上げると、男は困ったように眉を下げた。

「なんでって……リオの嫌がることはしないって約束したでしょう?」

 余韻で全身が痙攣している中、なおもゆるゆると奥を捏ねながら、ディナンが当然だろう、という顔で首を傾げた。イッたばかりの身体にとってその刺激は強すぎてビクビクと腰が跳ねる。
 霞がかった思考の中、ディナンにされて嫌なことなんてないのに、とリオンは思った。けれどそう告白するのは恥ずかしい。リオンは曖昧に頷くに留め、ディナンを見た。ぱち、と目が合う。

「ッ、う、……ディナンさま、は、いやじゃない?」

 ディナンは虚をつかれたような顔をすると、「そ、うだね」と小さく頷いた。どことなくぎこちないその姿に、リオンはパチクリと一度、瞬きをした。ディナンは、小さく口を開けて惚けているリオンを見て口元を緩めると、額にキスを落とし、言った。

「……嫌じゃないよ、リオン。——私は君のお願いなら、なんだって叶えてあげたいと思っているんだから」
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