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第二章 始まりの街防衛戦‼

第百七十三話 ゴブリン本軍戦‼《4》

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 本陣に戻ったナギは鑑定結果を早速見せようとして最も重要な問題に気が付いた。

「あの…鑑定結果ってどうやったら他の人に見せられるか教えてもらえますか?」

「知らなかったんですか」

「いや~他の人と関わること自体少なかったもので」

「そう言う事ですか。別に教えるのはかまいません、むしろこちらも知りたいのでお教えしますよ」

 少し呆れたような反応だったウェインだったが情報は必要なのですぐにナギに鑑定の表示方法を教えてくれた。
 その方法を聞いたナギは早速とばかりに少し苦労しながらも鑑定結果を表示した。

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 名前 なし 種族 ゴブリン・ジェネラル Lv30

 状態 健康

 スキル 噛みつきLv4、大剣術Lv23、守護Lv12、指揮Lv5、連携Lv5
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 名前 なし 種族 ゴブリン・キング Lv40

 状態 健康

 スキル 噛みつきLv8、連携Lv10、指揮Lv13、怪力Lv11、投擲Lv7、大剣術Lv31、咆哮Lv9、眷族強化Lv4
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「「「「……」」」」

 表示された鑑定結果にウェインや他にも見ていた騎士団員達は想定よりも高いレベルに言葉を失くしていた。
 その中でも一番深刻な表情を浮かべていたのはウェインだった。

「やはりゴブリンの数の増加に関係しそうなスキルはないか」

「と言う事は予想通りと言う事ですか…」

「あぁ…できれば外れて欲しかったが、それで間違いないだろうな」

 事前に予想を聞いていた部下の言葉にウェインは本当に残念そうに頭を抱えた。
 そんな周囲の反応を特に気にすることなくナギは改めて鑑定結果を見て考えていた。

「ボス的な敵のわりにスキルが少ない気がするんだよな。でもスキルの効果は凄そうだよな…名前的に」

 今回のイベントの最終ボス的位置づけのゴブリン・キングがステータスだけをみるとそこまで強そうに見えず、その事にナギは不思議そうにしていた。一応スキル自体はレベルも高くて名前からしても強いのは間違いないとは思っているが、直接対面した時の圧を考えるとちょっと実力が足りないと感じたのだ。

「いえ、ゴブリンがこのスキルんな数のスキルを持っているのは十分脅威です。しかも指揮スキルは配下への微弱な教が発生しますし、連携スキルを持つ者同士だと驚異的な連携で隙がなくなります。しかもゴブリン・キングの眷族強化で通常のゴブリンですら1.5倍ほどの強化が常にかかっている状態だと考えてもらえばわかりやすいですか?」

「うわぁ……でもなるほど、本当に王様なんですね」

「そう言う事です」

 ウェインの説明を聞いたナギは納得したように頷いた。つまりゴブリン・キングが脅威にとられる一番の原因は個体としての強さではなく、その配下へと与える強化の豊富さが一番の原因だったのだ。
 例えば通常のゴブリンは冒険者なら3対1でも余裕を持って勝てる程度だが、ゴブリンキングに率いられているゴブリンは1対1で少し倒しずらく感じるほどに強化されて3対1の構図になれば勝てても瀕死にされるほどに変化するのだ。

「ならやはり作戦は決めておいてよかったですね」

「そうですね。おかげで消耗を気にしすぎず、序盤から遠慮せずに全力で戦えている訳ですから。それがなければ犠牲はもっと増えていたと思います」

 真剣な表情で重くウェイはそう言った。その様子にナギは既に被害が出ている事を改めて認識して、まだ終わる様子の見えない戦闘の前線へと視線を向けた。
 そこでは前線を支えている戦士たちが叫びながら残り数体まで数を減らし、最後の数体に集中して攻撃している様子が見えた。後衛のアーチャーやメイジも健在だったが、そこはこちらの後衛の者達が集中して狙う事で守りに集中させて奮闘中の前衛へ攻撃させないようにしていた。

「へぇ~最初に比べてちゃんと戦いって感じになってるな。連携も取れてるし、役割分担が上手く出来ている」

「はい、異邦人の方々も私共の戦い方を参考にしてくれているようですね。他にも最初に何名か率先して指揮を執っていた方もいたようですが…こう言っては悪いのですが…」

「ははは!別に気にしなくていいですよ。異邦人は元々が別々に行動していたわけですからね、いきなり知らない奴に支持されても従う訳もないんですから。そこで更に偉そうに指示出す奴が居たらどうなるかなんて、少し考えればわかります」

 同じ【異邦人】つまりプレイヤーであるナギに遠慮してかウェインが言い難そうにしているのを見て、楽しそうに声を上げて笑いながらナギは明るく答えた。その姿にウェインは拍子抜けしたような表情をしていたが何を言われたのか理解が追いつくとこちらも楽しそうに笑みを浮かべた。

「確かにその通りですね。しかも指示を出していた方が戦術とかを熟知していなかったようで、的外れな指揮をしてパーティーの方々と一緒に後方に強制的に下がらせたほどですよ」

「それは当然でしょう。そんな人たちが前線に居ても混乱して余計な被害出すだけでいいこと無いですから」

 ウェインとナギの2人はまだ遠慮が何処かあるようで口調は2人共に丁寧になっていたが、比較的和やかな空気で会話を交わしていた。
 とは言え他の場所では戦闘は続いているので適当なところで話を切り上げるとウェインは指示を出すために前線へと向かい、残されたナギは特にやる事が思い浮かばずにどうしようかと考えながら前線へと目を向けた。

「う~ん…あそこは問題ない。あの辺は苦戦気味だけど、近くの戦闘が終息気味だから応援が向かうだろうな。あっちは…」

 全体の戦況を確認して危機的な場所に救援にでも行こうかと思ってナギは見回していたのだが、これと言って危機的な状況の場所は見当たらずにナギは本格的にやる事が無くなっていた。
 そのためナギはただ見ているのは居心地が悪いのもあったて遠距離のゴブリンを狙って短剣を投げてzy間することにした。

「12345……17…」

 もはや的当てのようになってナギが投げた短剣はゴブリンの額に吸い込まれるように当たっていた。それに気が付いたライダーはジグザグに動く事で躱そうとしたが、移動先を予測してながられた短剣が先にウルフの足に刺さって倒れ地面に投げ出され、そのすぐ後に追加で飛んできた短剣に額と心臓の二か所をほぼ同時に貫かれて光となって消えた。

「…これ思いのほか楽しいな」

 相手の行動を予測していかに少ない手数で相手を倒すか、それを考えて実践することがナギには徐々に楽しくなってきていた。
 ただ前線で戦っている者達は急にゴブリン達が目の前でぶっ倒れる光景に何事かと少し混乱していた。もっとも何人かが後ろを振り向いて確認してナギの姿を見つけると、ゴブリンの群れを一方的に蹂躙していたプレイヤーだと気が付いて落ち着きを取り戻していった。

 その中にはドラゴ達の姿もあってだが表情は安心とは反対に何処か怒っているようで理由としては簡単な事だった。

「なんであいつは俺らの所には援護しねぇ~んだよっ‼」

「ははは…する必要がないと判断したんですよ」

「いや、きっとめんどくさいだけだ」

「それか苦労しているところを面白がっているかで間違いないね~」

「本当にろくでもねぇ~な」

「ふふふっ私はだんだん面白くなってきたわよ」

 何故かナギはドラゴ達の方には一切短剣を投げてこないのだ。その事にドラゴは憤っていたが、焔やヒカリにホホの3人はいつもの事…と割り切って苦笑いを浮かべているのだけだった。
 今日知り合ったばかりのグレンもですら呆れた様子で、1人何故かエレンだけは楽しそうに笑っていた。
 もっとも別に援護が必要なほど苦戦していると言う訳ではないので協力しようとしない態度にドラゴが怒っているだけなので、根本的な問題は何もおきていないのだ。

 そしてナギが戻って来て20分弱でほとんどの場所で戦況は落ち着き防衛側の優勢で決着が付きそうになった。そんな時についに森から木々を薙ぎ倒しながらゴブリンキングが姿を現した。

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