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第三章 神の悪戯
第百九十八話 厄介事の報告
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そしてロキからの試練と言う名の悪戯を乗り越えたナギは無事に町へと戻ることが出来た。
ただ、さすがに濃密な試練と言うよりもロキと関わった事でいろいろと気力を削がれていたナギはその日はログアウトして休むことにしたのだった。
ギリギリ晩御飯前にログアウトできた渚は食事を済ませると、どうせズル休みしたことについて聞かれることになると判断して先手を取って夏帆や夏輝に今日の出来事を説明して風呂に逃げ込んでしまった。さすがに2人も風呂場に突撃するほどの事はしないようで、その後もなんのかんのと理由を付けて追及を避け切った渚は無事に次の日を迎えることが出来た。
次の日になると二日連続でズル休みをするつもりはさすがに無いので渚は普通に登校して、絡んできた竜悟を適当に叩き潰して過ごした。
そんな感じで何時ものように帰宅して家事を終わらせると、もはや習慣となっているAOへとログインするのだった。
「ふぅ…さて、ゴド爺さんとか色々と報告に行きたいところだがその前に…おい、ソルテ?」
本来なら今回あった事やそのと聞いた話などをいろいろな人に報告しに行くことを優先するべきかもしれないが、それ以上にナギにはすぐに出も済ませなくてはならないことがあった。
不機嫌そうにナギが呼ぶとコートの中からゆっくりと申し訳なさそうにソルテが顔を出した。
「何で呼ばれたかわかってるよな?」
『は、はい…』
真剣な表情で確認するナギにソルテは少しどもりながらも頷いた。
その反応を確認しながらナギは一目の少ない路地近くの場所へと移動してから話し出した。
「さて、それじゃ俺だけ残して最後の最後で隠れてくれた言い訳を聞こうか?」
今回ナギが起こっていたのはこの事だった。別に主人が身を張っているのに使い魔が逃げるな!と言うような理不尽な事を言いたいわけではなかったが、めんどくさい奴の相手を任せて黙って消えたその事に怒っていた。
その怒りを綱外から理解していたソルテは怯えながらもゆっくりと隠れた理由について説明する。
『その…私達妖精は精霊なんかに近しい存在なんですが、その影響か上位存在である神の力には無防備で…正直少しでも機嫌を損ねて敵意を向けられたら私の強さだと命が危ないと思って…』
「へぇ…そう言う理由なら納得しなくも無いが、なら一言説明するなり方法はあったよな?なにせ心の中で話しかけることも出来たわけだし」
『それはそうかもですけど…あの神相手だとテレパシーでもバレそうでしたし、バレれば確実に引っ張り出されそうだったので…』
「……それは確かに」
まだ地味に納得できていなかったがソルテの説明を聞いたナギは少し考えてから納得した。なにせ一対一で直接話した事でナギは確信していた。あの狡猾神ロキと言う相手は誰かの嫌がる事が楽しく感じる危ない奴だと、それだけにソルテの言い分に納得できてしまった。
それだけにこれ以上攻めるのは何か違うような気がしたナギはしばらく考えると小さく息を吐いた。
「はぁ…わかった。今回は許すけど、何か今後どうしても逃げないといけない時は事前に説明するんだぞ?」
『はい、次からはちゃんと事前に説明します‼』
「ならいい、それじゃ報告しにゴド爺さんの所に行って、その後はギルドでジィ―リスさんへ何か起こるかもしれないと言う事を報告するぞ」
『はい!』
こうして話のまとまったナギとソルテは先ほどまでとは一転して、楽しそうにゴド爺さんの元へと報告に向かった。
そしてAOの時間で数日たってから来たナギに対してゴド爺さんは気さくに迎えたのだが、その後すぐにされた以前にも話した神の悪戯がすでに起きていた事には心底驚いた様子だった。
「まさか本当に起きるとはな。神ってのはめんどくさい奴が多いが、そのロキって神は一際めんどくさそうだな…」
「ははは!本当に面倒な奴でしたよ。しかも鍛冶も出来るようにしているとは言っていたんですけどね…必要になる場面がほとんどないんですよ。目の前にある設備ほとんど飾りでしたよ」
「神は常人とは感覚が違うからな下手に気にするだけ無駄なのかもしれん。それよりも今一番の問題は、その時話していた厄介事をにおわせる発言だが…本当に言ってたんだな?」
少しふざけながらも和やかに話していたゴド爺さんだったが、適度に空気が解れたと判断すると真剣な表情で今はなされた話を確認する。その空気の急な変化にナギは戸惑った様子も無く同じく切り替えると頷いて答えた。
「はい、何処まで信用できるかは別としても何かは確実に起きると思います。あのロキはふざけて痛し、平気で嘘をつくとは思いますけどあの時の発言は嘘ではなかったと思いますね」
「そこまでボロカスに言っておいてやけに信用してるな」
「信用していると言うのとは違いますよ。何度か話しているうちに分かっただけです。ロキは遊びたいんですよ、人や街や国などの気せんなく世界そのものがあいつにとって遊び場。だから楽しいと感じたことに関しては嘘はつかないだろうと予想できるんです」
「…こちらからするとはた迷惑な話だが、ナギ坊がそこまで言うなら信用できるか」
半信半疑と言った様子だったがゴド爺さんだがナギが根拠もなくこんな事は言わないと理解しているので、最終的には話を信用して今後どうするべきかを考えた。真剣な表情でゴド爺さんが考えているのを分かったナギもふざけるようなことはせずに大人しくこの後にギルドへも行う報告の仕方を考えていた。
「このとナギ坊はギルドまで報告しに行くのか?」
「はい、証拠はなくても可能性だけでも報告しておいた方が良さそうですから」
「確かにそうだな。それならワシは領主様にでも伝えておこう、時間は遅いが内容が内容だ…問題ないだろう」
ギルドにはナギが向かうのを確認したゴド爺さんは自分は領主へと報告しに向かう事を決めた。ただ時間が夜中なのですぐに報告に向かうのは気が引けたようだったが話の発信源が神からと言う事もあって急いだ方がいいと判断したのだ。
まさかそんな提案をゴド爺さんがしてくれるとは思っていなかったナギは少し驚いたが、ここは素直に提案を受け入れることにした。
「それなら俺もすぐにギルドの方でジィ―リスさんに報告に向かいます」
「おう、ワシも準備してから向かう事にする。態々教えに来てくれて助かった」
「1人じゃ対処できないと思っただけなんで気にしなくていいですよ」
情報を伝えたことにゴド爺さんからお礼を言われたナギは謙遜するように苦笑いを浮かべながらそう言った。
そして話が終わったと判断した2人は手短に別れを済ませてナギは一足先にギルドへ向かうことにした。その少し後にはゴド爺さんも支度を済ませて足早に領主の館を目指して家を出た。
しばらくしてギルドに着いたナギは人がまばらになっている中受付に言って奥へと案内してもらっていた。
最初はよると言う事もあって担当した受付嬢も難色を示したのだが、ナギがギルドカードを見せると態度が一変してすぐに奥へと案内してもらえることになった。
「中でギルドマスターがお待ちです。私はこれで失礼いたします」
「案内ありがとうございました」
案内を終えた受付嬢は帰っていきナギもお礼を言うとすぐに切り替えてギルドマスター室へと向き直り、小さく深呼吸するとノックした。
コンコン
「入れ」
ノックするとすぐに中からジィ―リスさんの許可の声が聞こえ、躊躇することなくナギは中へと入った。
「失礼します」
「おう、なんか話があるらしいな。すぐに仕事を終わらせるから、少し待っていろ」
「わかりました」
室内では大量の書類の山をジィ―リスさんは必死に処理していて、見ているだけでも大変さが伝わって来たナギは言葉に従ってソファーに座って大人しく待つことにした。
それからジィ―リスさんが書類を片付けて仕事がひと段落するのにはそれなりの時間がかかり、さすがにすぐに真面目な話をするのは気が引けたナギの提案でいったん休憩を挟んでから話をすることになるのだった。
ただ、さすがに濃密な試練と言うよりもロキと関わった事でいろいろと気力を削がれていたナギはその日はログアウトして休むことにしたのだった。
ギリギリ晩御飯前にログアウトできた渚は食事を済ませると、どうせズル休みしたことについて聞かれることになると判断して先手を取って夏帆や夏輝に今日の出来事を説明して風呂に逃げ込んでしまった。さすがに2人も風呂場に突撃するほどの事はしないようで、その後もなんのかんのと理由を付けて追及を避け切った渚は無事に次の日を迎えることが出来た。
次の日になると二日連続でズル休みをするつもりはさすがに無いので渚は普通に登校して、絡んできた竜悟を適当に叩き潰して過ごした。
そんな感じで何時ものように帰宅して家事を終わらせると、もはや習慣となっているAOへとログインするのだった。
「ふぅ…さて、ゴド爺さんとか色々と報告に行きたいところだがその前に…おい、ソルテ?」
本来なら今回あった事やそのと聞いた話などをいろいろな人に報告しに行くことを優先するべきかもしれないが、それ以上にナギにはすぐに出も済ませなくてはならないことがあった。
不機嫌そうにナギが呼ぶとコートの中からゆっくりと申し訳なさそうにソルテが顔を出した。
「何で呼ばれたかわかってるよな?」
『は、はい…』
真剣な表情で確認するナギにソルテは少しどもりながらも頷いた。
その反応を確認しながらナギは一目の少ない路地近くの場所へと移動してから話し出した。
「さて、それじゃ俺だけ残して最後の最後で隠れてくれた言い訳を聞こうか?」
今回ナギが起こっていたのはこの事だった。別に主人が身を張っているのに使い魔が逃げるな!と言うような理不尽な事を言いたいわけではなかったが、めんどくさい奴の相手を任せて黙って消えたその事に怒っていた。
その怒りを綱外から理解していたソルテは怯えながらもゆっくりと隠れた理由について説明する。
『その…私達妖精は精霊なんかに近しい存在なんですが、その影響か上位存在である神の力には無防備で…正直少しでも機嫌を損ねて敵意を向けられたら私の強さだと命が危ないと思って…』
「へぇ…そう言う理由なら納得しなくも無いが、なら一言説明するなり方法はあったよな?なにせ心の中で話しかけることも出来たわけだし」
『それはそうかもですけど…あの神相手だとテレパシーでもバレそうでしたし、バレれば確実に引っ張り出されそうだったので…』
「……それは確かに」
まだ地味に納得できていなかったがソルテの説明を聞いたナギは少し考えてから納得した。なにせ一対一で直接話した事でナギは確信していた。あの狡猾神ロキと言う相手は誰かの嫌がる事が楽しく感じる危ない奴だと、それだけにソルテの言い分に納得できてしまった。
それだけにこれ以上攻めるのは何か違うような気がしたナギはしばらく考えると小さく息を吐いた。
「はぁ…わかった。今回は許すけど、何か今後どうしても逃げないといけない時は事前に説明するんだぞ?」
『はい、次からはちゃんと事前に説明します‼』
「ならいい、それじゃ報告しにゴド爺さんの所に行って、その後はギルドでジィ―リスさんへ何か起こるかもしれないと言う事を報告するぞ」
『はい!』
こうして話のまとまったナギとソルテは先ほどまでとは一転して、楽しそうにゴド爺さんの元へと報告に向かった。
そしてAOの時間で数日たってから来たナギに対してゴド爺さんは気さくに迎えたのだが、その後すぐにされた以前にも話した神の悪戯がすでに起きていた事には心底驚いた様子だった。
「まさか本当に起きるとはな。神ってのはめんどくさい奴が多いが、そのロキって神は一際めんどくさそうだな…」
「ははは!本当に面倒な奴でしたよ。しかも鍛冶も出来るようにしているとは言っていたんですけどね…必要になる場面がほとんどないんですよ。目の前にある設備ほとんど飾りでしたよ」
「神は常人とは感覚が違うからな下手に気にするだけ無駄なのかもしれん。それよりも今一番の問題は、その時話していた厄介事をにおわせる発言だが…本当に言ってたんだな?」
少しふざけながらも和やかに話していたゴド爺さんだったが、適度に空気が解れたと判断すると真剣な表情で今はなされた話を確認する。その空気の急な変化にナギは戸惑った様子も無く同じく切り替えると頷いて答えた。
「はい、何処まで信用できるかは別としても何かは確実に起きると思います。あのロキはふざけて痛し、平気で嘘をつくとは思いますけどあの時の発言は嘘ではなかったと思いますね」
「そこまでボロカスに言っておいてやけに信用してるな」
「信用していると言うのとは違いますよ。何度か話しているうちに分かっただけです。ロキは遊びたいんですよ、人や街や国などの気せんなく世界そのものがあいつにとって遊び場。だから楽しいと感じたことに関しては嘘はつかないだろうと予想できるんです」
「…こちらからするとはた迷惑な話だが、ナギ坊がそこまで言うなら信用できるか」
半信半疑と言った様子だったがゴド爺さんだがナギが根拠もなくこんな事は言わないと理解しているので、最終的には話を信用して今後どうするべきかを考えた。真剣な表情でゴド爺さんが考えているのを分かったナギもふざけるようなことはせずに大人しくこの後にギルドへも行う報告の仕方を考えていた。
「このとナギ坊はギルドまで報告しに行くのか?」
「はい、証拠はなくても可能性だけでも報告しておいた方が良さそうですから」
「確かにそうだな。それならワシは領主様にでも伝えておこう、時間は遅いが内容が内容だ…問題ないだろう」
ギルドにはナギが向かうのを確認したゴド爺さんは自分は領主へと報告しに向かう事を決めた。ただ時間が夜中なのですぐに報告に向かうのは気が引けたようだったが話の発信源が神からと言う事もあって急いだ方がいいと判断したのだ。
まさかそんな提案をゴド爺さんがしてくれるとは思っていなかったナギは少し驚いたが、ここは素直に提案を受け入れることにした。
「それなら俺もすぐにギルドの方でジィ―リスさんに報告に向かいます」
「おう、ワシも準備してから向かう事にする。態々教えに来てくれて助かった」
「1人じゃ対処できないと思っただけなんで気にしなくていいですよ」
情報を伝えたことにゴド爺さんからお礼を言われたナギは謙遜するように苦笑いを浮かべながらそう言った。
そして話が終わったと判断した2人は手短に別れを済ませてナギは一足先にギルドへ向かうことにした。その少し後にはゴド爺さんも支度を済ませて足早に領主の館を目指して家を出た。
しばらくしてギルドに着いたナギは人がまばらになっている中受付に言って奥へと案内してもらっていた。
最初はよると言う事もあって担当した受付嬢も難色を示したのだが、ナギがギルドカードを見せると態度が一変してすぐに奥へと案内してもらえることになった。
「中でギルドマスターがお待ちです。私はこれで失礼いたします」
「案内ありがとうございました」
案内を終えた受付嬢は帰っていきナギもお礼を言うとすぐに切り替えてギルドマスター室へと向き直り、小さく深呼吸するとノックした。
コンコン
「入れ」
ノックするとすぐに中からジィ―リスさんの許可の声が聞こえ、躊躇することなくナギは中へと入った。
「失礼します」
「おう、なんか話があるらしいな。すぐに仕事を終わらせるから、少し待っていろ」
「わかりました」
室内では大量の書類の山をジィ―リスさんは必死に処理していて、見ているだけでも大変さが伝わって来たナギは言葉に従ってソファーに座って大人しく待つことにした。
それからジィ―リスさんが書類を片付けて仕事がひと段落するのにはそれなりの時間がかかり、さすがにすぐに真面目な話をするのは気が引けたナギの提案でいったん休憩を挟んでから話をすることになるのだった。
応援ありがとうございます!
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