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第四章 鍛冶師の国
第二百二十四話 鍛冶専門店
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紹介状に付属されていたメモ帳サイズの地図を頼りに店を探し始めてしばらくしてナギは人通りの減った、表通りから少し逸れた脇道で一軒の店を目の前に足を止めていた。
「う~ん…なんとも一気にきらびやかな外観からほど遠い場所に、こっちの方が俺的には入りやすいから別にもんだいないか!」
その店は煤汚れが目立つ店…と言うよりも一見普通の民家に見えるのだが、扉の前に露骨なまでに看板がかかっていて『鍛冶道具専門店』と書かれていた。
他に店名のようなものは何一つ書かれていないのを見てナギは始まりの街にの『魔道具屋』と言う店名を付けたアリアを思い出し、思わず苦笑いを浮かべたがおかげで緊張することなく店内に入ることが出来た。
「すみませ~ん!誰かいますか~?」
「そんな叫ばんでもちゃんといるわい。でなければ開店中とはなっとらんよ」
店に入ったナギは誰も店内に見渡らなかったので奥に叫ぶと杖を突いたお婆さんが出て来た。
一見職人には見えないお婆さんなのでナギは店員かなにかだと判断したが、確証がある訳でもないので下手な事を言わないように気を付けながら話しかけた。
「どうも紹介状の地図に書いてあって来たんですけど、鍛冶道具専門店で間違いないですか?」
「そうだよ。店の前にも看板が掛けてあっただろう」
「確かにそうなんですけどね。ぱっと見で店舗に見えなかったので…つい不安に…」
地図通りに来たので間違っていないとは思っていたがナギはどうしても最初に本当に間違っていないかだけは確認したかったのだ。
お婆さんさんも一目で店に見えない自覚はあるのか看板についてしか言及しなかった。
「まぁ見分けが付かないのはわかるがね。それよりもまずは紹介状を見せな」
「あ、はい」
急に話を本題に戻されてナギは反射的に紹介状を渡した。
渡された紹介状をお婆さんは開いて流れるように端から端まで確認すると丁寧に封筒に仕舞ってナギへと返した。
「確認したよ。あんたの紹介状だと代金から二割引きして売ってやるよ」
「ありがとうございます!ただ専門店は初めて何で、何を売ってるのか教えてもらってもいいですか?その方が探しやすいので…」
店の名前からある程度までの鍛冶道具は揃て散る事は簡単に想像できるが、さすがに何が置いてあってなにがないのかまでは分からなかったナギは遠慮気味に聞いた。
それに対して少し面倒そうにしながらもお婆さんは答えてくれた。
「そうさね簡単に言えば看板の通り鍛冶道具を専門に扱う店だよ。取り扱ってるのは鎚に砥石やら鉱石も含め窯なんかの鍛冶に関係ある物は全部だね。ほかには頼まれればオーダーメイドで道具の製作も請け負っているね」
「窯まで扱ってるんですか?」
「あたりまえだよ。鍛冶で大事な物は鎚・窯・鉱石の三つだと私は考えてるからね。他の物はある程度の代用品を自力で用意できなくもないが、鎚や窯には適した熱強度が必要で、どうしても必要な鉱石は品質なんかを均一にしないと良い物はできない。と言う事さね」
「なるほど…そう言われると確かにそう思えなくもないか…」
取り扱っている商品の種類から生じた疑問だったが答えを聞いたナギは最初は懐疑的だったが、詳しく聞くと鍛冶に必要な三つと言う物に納得した様子で頷いていた。もちろん完全に納得できない部分も多々あるがそういう考え方もあるのかと言う感じではあったがナギも他の物の代用は可能と言うのには言いたい事はあった。
「でも、砥石もかなりこだわりを持って選ばないと研ぎの作業の完成度に大きく影響が出てしまいます。なので砥石も厳選して選ばないといけないと俺は思います」
「ふむ…確かにそうとも言えないかね。なら今後は砥石もこだわって仕入れてみるかね」
「…今までは?」
「業者の奴らに任せていたね。あいつらの目利きは一流だし、任せておけば一定以上の品質は保証されるから私がいちいち確認する必要を感じなかったからねぇ~」
「えぇ~」
店としては業者に納品を委託するのは別に珍しくはないのだが、理由が重要だと思っていなかったからだと言う事にナギは呆れたように声を漏らした。正直もう少しまともな理由を予想していただけにナギはそんな反応になってしまったのだが、お婆さんは特に気にした様子もなく今後の仕入れの方法を考えていた。
「まぁ今後は私自身で確認しながら仕入するさ。それよりもあんたは買い物に来たんだろゆっくり見て行きな」
「あ、はい…失礼します」
今更ながらお婆さんに言われてきた目的を思い出したナギはそう言うと改めて店内を見始めた。
改めて見た店内は普通の民家の外観とは違ってガラス張りのケースに高そうな鎚が並べられていたり、鉱石ごとに珍しい物は並べられていた。反対に希少価値の低い銅や鉄なんかの鉱石は10ッ個単位で纏められて1000G前後で売られていた。
その扱いの差にナギは軽く苦笑いを浮かべながら他の場所も細かく見て品と値段を確認した。
「こっちの鎚は名前が『金剛鎚』で効果は『鍛冶の間だけ所持者のSTRを+100して、鎚の耐久値は注いだMPによって回復する』か、この場合の金剛はダイヤモンドじゃなくて金剛力士の方なのか」
「これは『鏡面の砥石』か…」
「お!ミスリルだ~って高っ⁉」
詳しく商品の説明や値段を見ていたナギは一つ一つに驚いたり感心したりと忙しなくリアクションをしていた。
なにせ置いてある商品は専門店だけあると言うべきかかなり専門的な道具から、すでにナギの使用しているような初心者向けの道具まで本当に豊富にそろっていた。
そうして色々見ているとナギは何か見つけたのか少し前のめりになって確認した。
「携帯窯も初心者セット以外にも売ってたのか、外でもやりやすいように初心者のだと使いにくいから新しいのがあるなら欲しいんだけど…高いな…」
目の前に並んでいたのは携帯窯だが最低金額でも25000Gはして今回持ってきた予算的に買えるギリギリの値段だった。
他にも砥石やら何かと欲しい物も多くて一つに多く金を掛けすぎる訳にもいかずナギは悩んでいた。
「二割引きで少し余裕はある。鉱石は自分で採りに行けばいいか…でも砥石は欲しいし、できれば鎚を普段使いの奴をもう少しいい物にしておきたいんだよな」
今回は最初からいいかげんに鎚を変えたいからナギは来ていたので今更買う物を買える訳にもいかず、それに先ほども言ったように砥石にもこだわりたいので見ていて欲しくなってた。
それでも携帯窯が有ればフィールドで安全なところで武器の修復などもやりやすくなり、探検と鍛冶を同時に出来て最高と言ってもいい結果になる。
そんな想像が出来てしまうだけにナギは真剣に悩んでいたのだった。
「…とりあえず窯は金を溜めてからまた来た時にするか。今日は元々の予定の物と追加で砥石を買うかな」
しばらく悩んだ末にナギはそう結論を出すと最初から買うつもりだった鎚を選ぶことにした。
ただいくら窯よりは安いと言っても一番安いので2500Gで高いのは1000万という途方もない金額にまで行くので、決して安い買い物ではない。
その中から予算内で他の買う物も考えて最低金額を考えると10000Gがギリギリと言ったところだった。
だからこそ予算内でより良い物を買おうとナギは真剣な表情で鎚の置かれている棚をめぐって効果などを確認しながら慎重に選ぶのだった。
同じように砥石などの買う予定の物も慎重に選んだために最終的に買う物が決まったのは1時間後の事だった。
「う~ん…なんとも一気にきらびやかな外観からほど遠い場所に、こっちの方が俺的には入りやすいから別にもんだいないか!」
その店は煤汚れが目立つ店…と言うよりも一見普通の民家に見えるのだが、扉の前に露骨なまでに看板がかかっていて『鍛冶道具専門店』と書かれていた。
他に店名のようなものは何一つ書かれていないのを見てナギは始まりの街にの『魔道具屋』と言う店名を付けたアリアを思い出し、思わず苦笑いを浮かべたがおかげで緊張することなく店内に入ることが出来た。
「すみませ~ん!誰かいますか~?」
「そんな叫ばんでもちゃんといるわい。でなければ開店中とはなっとらんよ」
店に入ったナギは誰も店内に見渡らなかったので奥に叫ぶと杖を突いたお婆さんが出て来た。
一見職人には見えないお婆さんなのでナギは店員かなにかだと判断したが、確証がある訳でもないので下手な事を言わないように気を付けながら話しかけた。
「どうも紹介状の地図に書いてあって来たんですけど、鍛冶道具専門店で間違いないですか?」
「そうだよ。店の前にも看板が掛けてあっただろう」
「確かにそうなんですけどね。ぱっと見で店舗に見えなかったので…つい不安に…」
地図通りに来たので間違っていないとは思っていたがナギはどうしても最初に本当に間違っていないかだけは確認したかったのだ。
お婆さんさんも一目で店に見えない自覚はあるのか看板についてしか言及しなかった。
「まぁ見分けが付かないのはわかるがね。それよりもまずは紹介状を見せな」
「あ、はい」
急に話を本題に戻されてナギは反射的に紹介状を渡した。
渡された紹介状をお婆さんは開いて流れるように端から端まで確認すると丁寧に封筒に仕舞ってナギへと返した。
「確認したよ。あんたの紹介状だと代金から二割引きして売ってやるよ」
「ありがとうございます!ただ専門店は初めて何で、何を売ってるのか教えてもらってもいいですか?その方が探しやすいので…」
店の名前からある程度までの鍛冶道具は揃て散る事は簡単に想像できるが、さすがに何が置いてあってなにがないのかまでは分からなかったナギは遠慮気味に聞いた。
それに対して少し面倒そうにしながらもお婆さんは答えてくれた。
「そうさね簡単に言えば看板の通り鍛冶道具を専門に扱う店だよ。取り扱ってるのは鎚に砥石やら鉱石も含め窯なんかの鍛冶に関係ある物は全部だね。ほかには頼まれればオーダーメイドで道具の製作も請け負っているね」
「窯まで扱ってるんですか?」
「あたりまえだよ。鍛冶で大事な物は鎚・窯・鉱石の三つだと私は考えてるからね。他の物はある程度の代用品を自力で用意できなくもないが、鎚や窯には適した熱強度が必要で、どうしても必要な鉱石は品質なんかを均一にしないと良い物はできない。と言う事さね」
「なるほど…そう言われると確かにそう思えなくもないか…」
取り扱っている商品の種類から生じた疑問だったが答えを聞いたナギは最初は懐疑的だったが、詳しく聞くと鍛冶に必要な三つと言う物に納得した様子で頷いていた。もちろん完全に納得できない部分も多々あるがそういう考え方もあるのかと言う感じではあったがナギも他の物の代用は可能と言うのには言いたい事はあった。
「でも、砥石もかなりこだわりを持って選ばないと研ぎの作業の完成度に大きく影響が出てしまいます。なので砥石も厳選して選ばないといけないと俺は思います」
「ふむ…確かにそうとも言えないかね。なら今後は砥石もこだわって仕入れてみるかね」
「…今までは?」
「業者の奴らに任せていたね。あいつらの目利きは一流だし、任せておけば一定以上の品質は保証されるから私がいちいち確認する必要を感じなかったからねぇ~」
「えぇ~」
店としては業者に納品を委託するのは別に珍しくはないのだが、理由が重要だと思っていなかったからだと言う事にナギは呆れたように声を漏らした。正直もう少しまともな理由を予想していただけにナギはそんな反応になってしまったのだが、お婆さんは特に気にした様子もなく今後の仕入れの方法を考えていた。
「まぁ今後は私自身で確認しながら仕入するさ。それよりもあんたは買い物に来たんだろゆっくり見て行きな」
「あ、はい…失礼します」
今更ながらお婆さんに言われてきた目的を思い出したナギはそう言うと改めて店内を見始めた。
改めて見た店内は普通の民家の外観とは違ってガラス張りのケースに高そうな鎚が並べられていたり、鉱石ごとに珍しい物は並べられていた。反対に希少価値の低い銅や鉄なんかの鉱石は10ッ個単位で纏められて1000G前後で売られていた。
その扱いの差にナギは軽く苦笑いを浮かべながら他の場所も細かく見て品と値段を確認した。
「こっちの鎚は名前が『金剛鎚』で効果は『鍛冶の間だけ所持者のSTRを+100して、鎚の耐久値は注いだMPによって回復する』か、この場合の金剛はダイヤモンドじゃなくて金剛力士の方なのか」
「これは『鏡面の砥石』か…」
「お!ミスリルだ~って高っ⁉」
詳しく商品の説明や値段を見ていたナギは一つ一つに驚いたり感心したりと忙しなくリアクションをしていた。
なにせ置いてある商品は専門店だけあると言うべきかかなり専門的な道具から、すでにナギの使用しているような初心者向けの道具まで本当に豊富にそろっていた。
そうして色々見ているとナギは何か見つけたのか少し前のめりになって確認した。
「携帯窯も初心者セット以外にも売ってたのか、外でもやりやすいように初心者のだと使いにくいから新しいのがあるなら欲しいんだけど…高いな…」
目の前に並んでいたのは携帯窯だが最低金額でも25000Gはして今回持ってきた予算的に買えるギリギリの値段だった。
他にも砥石やら何かと欲しい物も多くて一つに多く金を掛けすぎる訳にもいかずナギは悩んでいた。
「二割引きで少し余裕はある。鉱石は自分で採りに行けばいいか…でも砥石は欲しいし、できれば鎚を普段使いの奴をもう少しいい物にしておきたいんだよな」
今回は最初からいいかげんに鎚を変えたいからナギは来ていたので今更買う物を買える訳にもいかず、それに先ほども言ったように砥石にもこだわりたいので見ていて欲しくなってた。
それでも携帯窯が有ればフィールドで安全なところで武器の修復などもやりやすくなり、探検と鍛冶を同時に出来て最高と言ってもいい結果になる。
そんな想像が出来てしまうだけにナギは真剣に悩んでいたのだった。
「…とりあえず窯は金を溜めてからまた来た時にするか。今日は元々の予定の物と追加で砥石を買うかな」
しばらく悩んだ末にナギはそう結論を出すと最初から買うつもりだった鎚を選ぶことにした。
ただいくら窯よりは安いと言っても一番安いので2500Gで高いのは1000万という途方もない金額にまで行くので、決して安い買い物ではない。
その中から予算内で他の買う物も考えて最低金額を考えると10000Gがギリギリと言ったところだった。
だからこそ予算内でより良い物を買おうとナギは真剣な表情で鎚の置かれている棚をめぐって効果などを確認しながら慎重に選ぶのだった。
同じように砥石などの買う予定の物も慎重に選んだために最終的に買う物が決まったのは1時間後の事だった。
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