【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「見てれば」*優月

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 食事を終えて、皆より一足先に、出かける準備を済ませた。

「じゃあな」
「いってきまーす」

 玄関に送りに来てる皆に手を振って、家を出る。そのままエレベーターに乗って、駐車場まで下りた。

「玲央、眠くない?」
「今は平気だな……どうだろ、授業中眠くなるかな」
「結構遅かったもんね? 朝早いし。ごめんね、玲央、一限無いのに」

 いつもいつも付き合ってくれて、申し訳ないなと思いながらそう言うと、玲央はオレの頭をくしゃくしゃ撫でた。

「オレが勝手に一緒に居るのに謝るなよ」

 クスクス笑って、オレを見つめる。

 ……好きすぎるんだけど……。
 きゅんて、するこの心臓の感じを、玲央にも、感じさせたいなあ。
 毎日どれだけ、胸の中が賑やかか。

「こんなに朝起きるの得意だと思わず生きてきたけどな」

 玲央は可笑しそうに笑いながらそう言う。

「オレ、朝、苦手なんだと思ってたから」

 車をリモコンキーで開きながら、玲央が笑う。
 ドアを開けて、助手席に乗り込んで、隣に並ぶ。それだけで嬉しいなと思ってしまう。
 運転する玲央、カッコよくて、すごい好き。
 ご機嫌でシートベルトを締めると、なんだかじっと見つめられる。

「今何考えてんの」
「え? ……あ。オレ?」
「うん」

 笑いながら、玲央もシートベルトを締める。

「え、どうして?」
「……嬉しそうな顔してるから。どうしたのかと」
「…………」

 バレバレすぎて、自分でも、少しどうかと思いながら。
 エンジンをかけた玲央に視線を向ける。

「……車運転する玲央、カッコいいなーて」

 そう言ったら、玲央は、ん?とオレを見てから。クスクス笑い出した。

「運転してる時だけ?」
「……ちがうよ」
 ぷるぷる首を振って、「いつも」と言いかけた時。
 腕を引かれて、ふ、と笑んだ玲央が近づいてきて……。
 玲央の唇が、オレの唇に、触れた。

 ほんの一瞬だけ触れて、離れた唇が、形よく笑みを作る。

「なんなのほんと。朝から、可愛いし……」

 くしゃくしゃと髪の毛を混ぜるみたいに撫でられて、玲央が離れる。
 乱れた髪を軽く整えながら、もう、一瞬で跳ね上がった心臓を落ち着かせようと頑張っていると。

「オレ、もっとカッコよくなるかもな?」
 クスクス笑いながら、玲央がハンドルに手をかけた。

 え? もっと?
 それはもう嬉しいけど、これ以上カッコよくなっちゃったら、オレの心臓が持たないかもしれないのだけど。でも玲央がカッコよくなるのは、もうずっと、見ていたいような……。

 静かなエンジン音で、走り出して、地上に上がると、ゆっくり道路へと合流して走り出した。

「朝日、眩しいな……大丈夫か?」
「うん、オレは平気……」

 確かにちょっと眩しいけど、と思いながら、玲央の方を見ると、横のポケットから取り出したサングラスを、かけるところだった。

「――――……」

 ひゃー……。
 かっこいい。

 ……なんか。
 …………なんていうんだろう。……芸能人みたい。 
 いや違うな、芸能人だもんね、玲央。なんていうんだろう。何みたいって……えーと。

 ……すごくすごく整った、絵、みたい。


 ぽけー、とずーっと玲央の方を見ていたら、少し後、ぷ、と笑われるとともに一瞬視線を流されて、はっと気づいた。

 オレ、見すぎだよね。

 でも、カッコよすぎて。
 ……カッコいいというか。ほんと。

 完成された絵みたい、だなあ。
 

「……優月」

 信号で止まった玲央が、クスクス笑う。

「そんなにさ、見つめられると、さすがに照れる」
「……っご、ごめんね」

 わー、ごめんなさい、オレも分かってた、見すぎだって。
 でも言われた言葉に、どんだけ見てたんだろうと改めて気づいて、もうまた赤面。すると、玲央の手が、ふ、と頬に触れた。

「熱いし……」

 クックッと笑いながら、すり、と撫でて、またハンドルを持ち直す。


「だからさ」
「……??」

「そんなにカッコいいって顔で、ずーっと見られてるとさ」
「……ごめん、やだよね、見すぎるの気を付け」
「違うって」

 ちら、とオレを見てから、また前を見て、車を発進させながら。

「ずーっと横でそんな風に見られてたら、オレ絶対、もっとかっこよくなると思うんだけど。どう思う?」

 クスクス笑いながら、聞いてくる玲央。

「オレが、優月に、可愛いって言い続けてると、可愛くなる気、しない?」
「……なる……かな??」
「嬉しいだろ?」
「うん」
「多分、可愛くなると思うんだよな」

 そうかな?と首をかしげていると。

「オレもそうなる気がする」

 可笑しそうに笑う玲央に。


「玲央は、オレが見ても見なくても、絶対どんどんカッコよくなると思うよ」

 そう言ったら、また、可笑しそうに笑われた。

  
「そういう根拠のないこともさ、キラキラした目で見られてると、そうなりそうな気がする」

 玲央は笑いながらそう言った。
 オレは少し考えてから。


「オレが見てれば玲央がカッコよくなるなら……見るだけならずーっとできるよ。ていうか見てたいし」


 ふふ、と笑って答えると、「じゃあ見てて」と玲央がまた面白そうに笑った。




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