自殺橋
人の住んでいない場所に駅がある。
辺りを見渡せば険峻極む渓谷であり、主にその景観を楽しむため、又は川下りの出発点として利用される、根っからの観光目的で造られた駅である。
だが、ここには名山勝川に華やぐ観光客の知らない、陰惨たる裏の顔があった。
「ねぇ、またあそこで人身事故があったんだって」
中学で、高校で、よく通学中に足止めされた時に囁かれた決まり文句。
利用客が日中と限られるその駅には、朝方・夕方以降になると決意した心を止める者は誰も居ないからか、かたや渓谷という場所がもたらす雰囲気の力なのか、飛び込み、首吊りが流行っていた。
渓谷のど真ん中に、高架駅として橋のように取り付けられたその駅を、峡と橋の二つを浮かべて彼らは呼んだ。――自殺橋、と。
男は今、そんな大分前の事を思い出していた。
駅の電光掲示板には、終電を告げる「本日の運転は終了しました」の赤い文字。扉が開けば真下の川の音が聞こえる例の自殺橋で、一人の女性が電車を降りた。
男は、考えるよりも先にその女性を追いかけていた。
※『自殺橋』他、完結次第小さなホラー短編を更新予定です。
辺りを見渡せば険峻極む渓谷であり、主にその景観を楽しむため、又は川下りの出発点として利用される、根っからの観光目的で造られた駅である。
だが、ここには名山勝川に華やぐ観光客の知らない、陰惨たる裏の顔があった。
「ねぇ、またあそこで人身事故があったんだって」
中学で、高校で、よく通学中に足止めされた時に囁かれた決まり文句。
利用客が日中と限られるその駅には、朝方・夕方以降になると決意した心を止める者は誰も居ないからか、かたや渓谷という場所がもたらす雰囲気の力なのか、飛び込み、首吊りが流行っていた。
渓谷のど真ん中に、高架駅として橋のように取り付けられたその駅を、峡と橋の二つを浮かべて彼らは呼んだ。――自殺橋、と。
男は今、そんな大分前の事を思い出していた。
駅の電光掲示板には、終電を告げる「本日の運転は終了しました」の赤い文字。扉が開けば真下の川の音が聞こえる例の自殺橋で、一人の女性が電車を降りた。
男は、考えるよりも先にその女性を追いかけていた。
※『自殺橋』他、完結次第小さなホラー短編を更新予定です。
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女の怨念が、まるで男たちを復讐に利用する罠のようですね。
最後は主人公に憐れみよりも、安堵を覚えました。
呪縛から解放されたのかなと思って。
最後には探偵に対してじんわりと怒りを感じました。
傍観者を決め込んでる、コイツが一番たちが悪いように思えたので。
女の怨念は、いつか消える日が来るんですかね……?
すいません。おせっかいおばさんが自分のミスも顧みず報告します。
探偵さんが真実を告げる場面で、
「すまねぇが、その女は今年11月の中頃……」
と言っているのに、その後主人公は
もう春も過ぎようとしている
と、年をまたいで「十一月」から半年近く過ぎようとしていることを説明しています。つまりここに書かれた「十一月」とは「今年」ではなく「去年」の事かと。
お忙しいでしょうが、コンクール期間中に訂正させることをお勧めします。
おお、イラストの不気味度がアップしてる(汗)
主人公はなんだかストーカー化しそうな予感がするし……。
ホラー苦手だけど、頑張って付いて行きます。
こっちにも感想欄があったんですね……。
慣れていないと使い方が良く分からなくて(汗)
こちらで指摘すればよかったですね。すいません。人の事言えないのに。
「彼女」のほうがより自然ですね。リズムのいい独特の文体だったんで、かえって気になっちゃいました。スッキリ落ち着きました。
ほのぼのからの胸糞注意(笑)
「僕たま」を超える意外な展開を期待しちゃいます。
ホラー大賞、頑張ってください!
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