椿の花の咲くころにーずっと尽くしてきたけど彼の選んだのは別の女性でした。だから私自身を大切にしたら幸せになりましたー

梅雨の人

文字の大きさ
11 / 21

尽くす女は彼氏の浮気に涙する

しおりを挟む
「ねえ、斎藤さん。少しいいかしら…?」 

終業した私はいつもお世話になっている川野先輩に引き留められた。 


「…斎藤さんにこれを私が伝えていいのかどうかすごく悩んだんだけど…実は田中君と同じ営業の長瀬さんが休日に一緒にいるのを最近何度か見かけてるの…」 

「え…?雄太と長瀬さん…ですか?」 

「どうも私と長瀬さんの住んでるアパートが近いみたいで、長瀬さんは気が付いてなかったみたいだけど、私は何度か彼女を近所で見かけたことがあったの。それで最近になって…なぜか斎藤さんの彼氏の田中君が長瀬さんと一緒にいるのを見かけるようになって…最初はまさかと思ってたんだけど…やっぱり何かおかしいと思って。

余計なお世話だと思うんだけど斎藤さんにやっぱり知らせた方がいいかなって…。だって、私、斎藤さんのこと本当に大事な後輩だと思ってるし、斎藤さんにはそれを知る権利があると思ったから…もし知りたくなかったって思うなら本当にもうし訳ないと思うんだけど。やっぱり黙ってることが出来なかったの。本当にごめんなさいね…。」 

「………まさか……」 

 

それを川野先輩に聞かされてすぐに脳裏に浮かんだのは、いつか雄太が出張だといった日に見かけた雄太と長瀬さんの姿だった。 


「川野先輩...教えて頂いて本当にありがとうございました。…最近思い当たるふしはあったけどまさか…………今から雄太のところで夕飯作ってお泊りする予定だったのに……どうしよう...」 

「…斎藤さん、今日は私とご飯に行きましょう?ちょうど金曜日だし。ね?そうしましょう?」 

「ご迷惑じゃないですか?」 

「何言ってんのよ斎藤さん。さあ、行くわよ?」 

頭が混乱する中でとにかく雄太にメッセージを送っておかなければとスマホをハンドバッグから取り出した。 

(どんな顔して雄太に会えばいいのかわからない…今雄太を目の前にしたら私は…) 

今週末はいけなくなったと、それだけを雄太にメッセージで知らせて私は川野先輩に連れられて賑わっている居酒屋へ入っていった。 


お酒を飲みながら、やっぱり自分の目で確認するまでは、雄太の浮気を信じ切れない部分も少しだけ残っていたけど、酔っぱらっていくたびにやっぱり川野先輩に聞いた話は間違いないんだろうなと感じていた。 

思い返せば返すほど、思い当たることばかりだからだ。雄太が長瀬さんと浮気をしているのだろうなと思うと、涙が止まらなくなっていた。雄太が私以外の女の子に触れて優しくしている姿が嫌でも想像できて苦しくなった。あらかじめ仕切りのある席を選んでくれた先輩に感謝した。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。

こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。 彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。 皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。 だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。 何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。 どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。 絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。 聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──…… ※在り来りなご都合主義設定です ※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です ※つまりは行き当たりばったり ※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください 4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく

矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。 髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。 いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。 『私はただの身代わりだったのね…』 彼は変わらない。 いつも優しい言葉を紡いでくれる。 でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。

(完結)可愛いだけの妹がすべてを奪っていく時、最期の雨が降る(全5話)

青空一夏
恋愛
可愛いだけの妹が、全てを奪っていく時、私はその全てを余すところなく奪わせた。 妹よ・・・貴女は知らない・・・最期の雨が貴女に降ることを・・・ 暗い、シリアスなお話です。ざまぁありですが、ヒロインがするわけではありません。残酷と感じるかどうかは人によるので、わかりませんが、残酷描写シーンはありません。最期はハッピーエンドで、ほのぼのと終わります。 全5話

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

処理中です...