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♡初めての秘め事

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プレイ内容
+ヒロインの野外放尿


「ルイーセ? どうしたの、大丈夫?」

「え、あ、えっと?」

「顔色が良くないけど、寝不足かしら?」

 ハッと我に返ると、右隣に座る長姉のフィオネが心配そうに私を見つめていた。それだけではない。円卓を囲む家族全員の視線が私に注がれていた。

 月一回、王室の宮殿で近況報告を兼ねてお茶会をするのが恒例となっていた。そんな訳で今日も参加しているのだが、今朝のこともあって私はすっかり心ここに在らずの状態になっていたのである。

「ごめんなさい、ちょっとボーッとしてて」

「もう、相変わらず危なっかしいんだから。ドレスに紅茶を零さないように気をつけなさいね」

 左隣に座る次姉のマーリットがシュガーポットを私に手渡しながら言った。

「大丈夫っ、て、きゃっ!?」

 私はうっかりシュガーポットを倒してしまい、角砂糖がテーブルに散らばってしまったのだった。

「ほら、言ってる側から」

「貴女、新しいシュガーポットを持ってきて頂戴」

「かしこまりました、すぐお持ちします」

 慌てて片付けようとしたが、それより先にマーリットが手拭きでテーブルの隅に角砂糖を寄せ集め、片付けてくれた。その間にフィオネはメイドに新しい砂糖を持ってくるように命じていた。姉二人、見事な連携である。

 三人揃う時、私が何かやらかして二人が助けてくれるという構図は、ずっと昔から変わらないのだ。そして今日もそれを見越したように、姉達は私の両隣に座ってくれていた。

「……ごめんなさい」

「いいのよ、入れ物が割れて怪我したりしなくて良かったわ」

 美しい……と言うよりもハンサムな笑みを浮かべて、マーリットは言った。

 彼女はトラウザーズを穿いた、所謂''男装の麗人''である。マーリットがドレスを着ているのを最後に見たのは最早何年前か分からない。しかし、その装いは凛とした彼女の雰囲気によく合っていた。

「それで、ルイーセ。最近の調子はどうかしら? 何か変わりは無い?」

 私の紅茶に角砂糖を二つ入れながら、フィオネは問うた。シュガートングを持つ指先は肌なじみの良いピンクベージュのマニキュアが塗られており、女性らしい細く滑らかな手を美しく彩っていた。

「その、いつも通り夫婦仲良く過ごしてますわ」

 こういう場で、いつも姉達は私から話しをさせてくれる。けれども私は、毎回面白みの無いありきたりな答えした返せないのだった。

 今日も行き道で話す内容を一生懸命考えていたはずなのに、この場に来て何もかも頭から飛んでしまったのである。

「ふふっ、それは良かったわ。じゃあ、マーリットは?」

「うちも相変わらずね。ただ、この前視察に行った国でちょっと色々あってね」

「あら、今度は何があったの?」

「ハリーストの第二王子と第三王女はまだ幼くて、やっと歩き始めたくらいなんだけど……」

 マーリットは父上が退位した後に女王としてこの国を治めるフィオネに代わって、外交官として他国との交渉や視察を行っている。そして仕事の中で起きた面白い話を、必ず毎回お茶会に持ってくるのだった。

「それでね、国王陛下がスピーチをしてる時、何処からやって来たのか王子が歩いてきて、国王様に抱っこを要求したの。陛下も一度目は断ったけど、中々引き下がらなくって」

「ふふっ、可愛らしいお邪魔虫ですこと」

「結局国王様は王子を抱き抱えて最後まで話すことになって、王子が可愛すぎてみんな笑うのを堪えてたわ。折角の式典の雰囲気ももう台無しよ」

「あらあら」

 話すマーリット、程良く相槌を打つフィオネ。この場の雰囲気を作っているのは、間違い無くこの二人であった。

「でもね、後から話を聞いたらこれは初めてじゃないみたいで。式典だからある程度の規律は必要だけど、そのくらいの緩さがあっても良いような気がしたわ。だって、子供からしたら大人達の演説なんて退屈だものね」

「ふふっ、今度演説する際は私も気をつけるわ」

 マーリットの話に、皆笑い出す。彼女もフィオネも兎に角話が上手いのだ。三人揃っている時、場を回すのは必ず姉二人であった。

 私が居なくても、お茶会は和やかに進むのは目に見えていた。そう思った瞬間、ちくりと胸が痛むのを感じた。

 俯いて、私は紅茶の入ったティーカップをただただ見つめた。

+

 帰りの馬車でも、私はぼんやりとしていた。取り敢えず、お茶会でケーキを食べた分夕食は控えめにしようとは決めたものの、それ以上頭が働かなかったのだ。

 思い出すのは、早朝に目にしたウェンデの姿。

 夫婦であるため、結婚してからウェンデと何度も身体を重ねてきた。しかしそれは子作りという義務であり、一個人の興味関心とは離れたものである。責任感は感じるものの、興奮を感じる行為では無かった。

 それが、どうしたことか。

 あの光景を思い浮かべる度に、秘所が疼いて仕方が無いのだ。正直、馬車が揺れる度に身体の奥のもどかしさは増すばかりである。

 けれども、その物足りなさを満たす術を私は知らない。私はすっかり困り果てていた。

 そしてどうしようも無くなり、帰宅した後に私は森へと向かったのである。

「確か……この木だわ」

 再び現場となった木の前で立ち止まる。もう夕方近くということもあり地面は乾ききっており、放尿した痕跡は無くなっていた。

 ここでウェンデは、何を思い何を感じながら排泄していたのか。未だかつて無い程に、彼に性的な興味が向いていた。

 そして恐ろしい程の興奮が、私に襲いかかっていたのである。

「ん……っ」

 下腹が甘く疼き、脚を擦り合わせる。そこでようやく、自分が尿意を催していることに気付いたのだった。

 お茶会で沢山紅茶を飲んだにも関わらず、その後お手洗いに一度も行っていなかったのだから仕方あるまい。

 ただそのまま、家に戻ってお手洗いで用を足せば良いだけだ。しかし、私にはある悪い考えが浮かんでしまったのである。

 平素であれば理性が歯止めをかけただろうが、性的な興奮に支配された頭ではそうもいかなかった。

 あの時のウェンデのように、私は辺りを見回した。

「……っ」

 ドロワーズを下ろしてから、私はその場にしゃがみ込んだ。スカートをたくし上げているため、下半身は言ってしまえば丸裸である。

 野外で臀部をさらけ出す自らの姿を想像するだけで、恥ずかしくてたまらない。

 けれどもここで用を足したならば、ウェンデと同じ感覚が追体験できるような気がしたのだ。好奇心とは恐ろしいものである。

 何よりも性的欲求を優先させたのは、人生でこれが初めてだろう。

 靴を濡らさないように足を左右に広げ、膝を恐る恐る開く。カエルの脚のようで、やや下品な格好だ。

 丸く肉づいた太腿であるので、余計に自らがカエルに思えて仕方が無い。やはりもう少し痩せねばなるまいと、私は心に誓った。

 しゃがむ体勢になるだけで、腹圧は十分すぎるほどにかかっていた。

「は……ぁ、」

 けれども、野外で用を足すというのは想像以上に難しく、慣れないことをする緊張により、なかなかおしっこは出てくれない。

 ぱっくりと淫唇が開かれ露出した粘膜に風が当たり、恥ずかしさを増長していく。

 靴裏でジリジリと地面を踏みしめて限界まで腰を落とすと、短い雑草が晒した尻をチクチクと刺激した。それは、放尿を促す刺激となったのである。

「あっ……んっ……」

 音を立てて、少しずつ雑草の上に尿が落ちていく。水分を沢山摂った後ということもあり、それはやや薄い黄金色をしていた。

 体内に溜まっていた物が排出され、開放感が全身を駆け巡る。そして放尿の最中、私は今朝のウェンデの姿を思い浮かべた。

 邸宅まで戻らなかったということは、察するに相当我慢していたに違いない。真面目な彼のことだから、後ろめたく感じながら用を足したであろうことは容易に想像できた。そして、そんな恥ずかしい姿を妻に見られていたなど夢にも思わないだろう。

 排尿しながら都合の良い妄想を繰り広げるのは、快感でしかなかった。想像を膨らませる度に、下半身がきゅんと甘く痺れるのを感じるのだ。

 それを終わらせたくなくて、途中で私は放尿を止めた。

「ん……っ、は……っ」

 我慢するべく腹に力を入れると、後孔が抵抗するようにひくついた。性的快楽を得たい気持ちとは対照的に、身体は生理的欲求を満たすべく必死なのだ。

 快楽と欲求の狭間。そのもどかしい感覚をいつまでも楽しんでいたかったが、残念ながら腹圧をかけるのは体力がいることだし、しゃがんだ足首にも疲れがきていた。名残惜しく感じながらも腹筋の力を緩めて、私は残りを放った。 

 初めての秘め事は、残念ながらあっという間に終わってしまったのである。

「は……っ、ぁ」

 放水が終わり、最後の一滴が地面に滴り落ちる。それから私は、ハンカチで濡れた秘所を拭った。

 流石に自らの排泄物で汚したハンカチをこのまま洗濯に出すのは気が引ける。一旦水で洗おうと思いながら、私は立ち上がってドロワーズを引き上げた。

 不意に背後に視線を感じて振り向くと、一匹の目の大きなブラウンの毛並みをした野ウサギが、じっとこちらを見つめていた。

 今やって来たばかりかもしれない。が、先程までの放尿の一部始終を見られていたかもしれないと思った瞬間、一気に恥ずかしさが込み上げてきたのだった。

「……っ、ごめんなさい!!」

 物言わぬ''目撃者''から逃げるように、私は走って邸宅へと戻ったのである。
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