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第91話 女王様?!

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メルは地面に這いつくばり呻いているリンドに近付き頭を踏み躙る。

『ねえ、もう終わり?相手をしてくれるんでしょう?ねえ、何とか言ったらどう?』

『がっ!ぐがっ!!わ、悪かった・・がっ!
か、勘弁・・して・・・ぐれぇぇ・・・』
リンドは踏み躙られながら許しを乞う。

(俺も踏まれてぇなぁ・・・)
あちこちから声がする・・・。

マリとエリの方も終わった様で誰1人立っている者は居なかった。

メルはリンドを踏み躙りながら聞く。
『あんた等を雇ったのはフレイド・アンポンタンだったっけ?』

『ぐかっ!そ、そうだ!・・・ごがっ!』

『そう。じゃあ案内してもらおうかしら。ほら!立ちなさい!!』
メルは足を退けてリンドの頭を蹴り上げる。

『がはっ!!』
リンドは勢いよく転がる。
そしてよろよろと立ち上がった。

『お、お前ら等は・・一体何者なんだ・・?』

『『『魔装解除!』』』
彼女達の魔装が解除される。

『私達は英雄ハヤト様の弟子よ!!』

リンドは脱力し項垂れる。
『くっ、やはりそうか。通りで規格外な訳だ・・・。情報が間違っていたか・・・。』

『なあ、俺達はあんた等と事を構える気は無
いんだ。
か、金なら払う!!見逃してくれ!!』

リンドが必死で頭を下げる。

メルは当然一蹴する。
『あんた達は私達に関わらなくても他の力の無い人達を食い物にするのでしょう?!
そんな事見逃す訳ないわ!!
ここで再起不能になるか、アンポンタンの屋敷に案内するかどっちがいいの?』

『くっ・・・運の尽きか・・・』
リンドは仕方なく歩き出す。

他の盗賊共は警備隊に連絡してもらったので裁かれる事になるだろう。


『ここだ・・・。』
リンドが門の脇に立つ。

大きな屋敷だ。私腹を肥して建てたのだろう。

メルがリンドを門の前に立たせる。
『先に入って。』
リンドは躊躇する。

メル達は分かっていた。
入り口の左右に5人づつ隠れているのを。

『往生際が悪いわね・・・。マリ、エリ、お願いね!』

『『了解!!』』

エリは赤いポーションを蓋を開けて壁の向こうに投げ込む!
『特製激辛目潰しポーションよ!』

マリは大きめの石を拾う。
『付与〈爆破・小〉
マリも壁の向こうに投げ込む!

どがーん!!

『ぎやぁぁぁぁぁぁ!!!!目がぁぁぁ!!目がぁぁぁ!!痛いぃぃぃぃぃ!!!!口にはいっだぁぁぁぁぁ!!!ごぉぉえぇぇぇぇ!!!』

『うがぁぁぁ!!痛でぇぇぇ!!俺の腕がぁぁぁ!!消せぇぇぇ!!!はやくぅぅぅう!!!死ぬぅぅぅぅう!!

門の向こうで男達がのたうち回っている。

『・・・鬼か・・・』
リンドが呟く。

メルが呆れながリンドの背中を蹴り飛ばす。

『ぐがぁぁぁ!!!!』
ガシャーン!!

リンドは顔面で門を開け放ち庭にヘッドスライディングする。

ずざざざぁぁぁぁーーー!!!

『ふん!くだらない罠を仕掛けるからよ!』
ゴミを見るような目で見下し背中を踏み躙る。

(お、おふぅぅ!何か・・妙に・・)

『立ちなさい!行くわよ!』
メルが冷たく言い放つと、

『おっふっ!』
リンドが光悦な表情で立ち上がる。
そしてチラチラとメルを見ながら歩き出した。

(何?さっきと雰囲気が変わった・・・どうしたのかしら。なんだか気持ち悪い・・・)


【索敵】で屋敷の扉の向こうには15人の待ち伏せがいるのは気付いている。
しかしリンドは自ら扉の前に立ち、チラチラとメルを見ている。

(こ、これは・・・まさか・・【変態・極】・・・)
メルは汚物を見るような目で見る。

(ねえ、メル。あいつ目覚めたわよ・・)
マリが耳打ちする。
(メルが目覚めさせたのよ!)
エリが半笑いで耳打ちする。

メルの目尻が痙攣する。
『・・・この変態ぃぃぃぃ!!!』

メルの蹴りがリンドの背中にめり込む!!

『おっふぅぅぅぅぅ!!!』

扉を開け放ち床に顔からスライディングする。
リンドは腰の辺りをビクンビクンと痙攣させながらニヤニヤしながら倒れている。

『はぁ、はぁ、ハヤト様以外の男はこんな奴等ばっかりね!!
さっさと片付けて帰るわよ!!』

『そうね・・早く帰ろう・・・』
マリとエリも頷く。

目の前の15人の男達が訳も分からず襲ってくるが、敵う訳もなく十把一絡げで床に転がる。

『な、何なんだ・・・あの女達は・・・ごふっ!』

立派な扉を蹴破って中に入ると、小太りの男が若い用心棒の後ろに隠れて震えている。

『き、貴様等!こんな事をしてただで済むと思うなよ!!
お、俺は伯爵だぞ?!ふ、不敬罪で死刑だぞ?!』
用心棒の後ろから顔だけ出して虚勢を張る。

メルはため息をつき
『もうあんた達のくだらないセリフは聞き飽きたわ!
そこの若い用心棒さんどうする?
チャンスをあげるわ。』

若い用心棒は嫌な汗を垂らす。
『そ、そのセリフは・・・ま、まさか・・
英雄ハヤト様の・・・』

『よく分かったわね!そうよ!ハヤト様の弟子よ!!』
メルがドヤ顔で答えると

若い用心棒はすぐさま頭を下げて道を開ける!
『どうぞ!!お好きにしてください!!』
あっさりとフレイドを差し出す。

メルが微笑む。
『ふふっ。賢い判断ね。そんな子嫌いじゃ無いわ。』

『こ、この裏切り者ぉぉぉぉぉ!!!!』
フレイドが焦りながら叫ぶ!

『悪が、英雄ハヤト様に楯突く気はない!!昨日、雇われた時に言ったはずだ!
それではこれで失礼する。』

メル達に一礼して部屋を出ると猛ダッシュで帰って行く。

1人取り残されたフレイド・・・。脂汗を垂らしながら彼女達を見つめる。

メルが見下しながら
『私達の店が気に入ったのかしら?それなら買い物しに来るだけにしておけば良かったのにね。
あんたはファイデル王に突き出して裁いて貰うわ!!覚悟しておく事ね!』

フレイドは焦る
『ま、待ってくれ!!あんた達が関わってるのは知らなかったんだ!頼む!見逃してくれ!!この通りだ!!』
頭を床に擦り付けて土下座する。

メルは何度も聞いたセリフにイラつく。
『もう何度も言わせて無いで!!!
私達以外が泣く事になるんでしょう?!
だからあんた達は根こそぎぶっ飛ばす!!』

『今まで好き勝手して泣かしてきた人達の恨みを知りなさい!!飛べ!!!』

3人同時にフレイドを蹴り上げる!!

どごぉーーーん!!

『くばぁぁぁぁぁーーー!!』

バリーン!!

フレイドは窓を突き破り2階の窓から庭へ顔面から着地する。

『ぶぐがぁぁぁぁぁぁ!!!』
フレイドはそのまま意識を失った。

『後は警備隊に任せましょう。
さあ、帰ってハヤト様の顔を見て癒されましょう!!』

『『了解!!』』

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