君は私の盟友ではなかったのか?

佑々木(うさぎ)

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罪を償え

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 額に押し当てられる冷たい感触に目を覚ますと、青の瞳が間近に見えた。濡れたように光るそれに、胸が痛くなる。私にそんな目を向けるのなら、最初からしなければいいのだ。
 そう思いながら手を上げて、朝陽に輝くその金髪を撫でる。
 いつの間にか手枷が外されていたようで、手首には赤い跡が残っていた。

「……ライアン」

 名前を呼ぶと、ライアンの唇が震えた。
 だが、何も言おうとはしない。

「君は、私を憎んでいるのではないのか?」

 問いかけても答えようとしない。
 私は溜息を一つ吐いてから、身を起こそうとした。

「くう……っふ」

 途端に全身の関節が軋み、身体の奥深くに鈍痛を感じる。

「私の想いを知ろうともせずに、なぜこんな暴挙に出たんだ」
「お前が、結婚すると思ったからだ」
「は……?」

 何を言い出すのかと薄青の瞳を探ると、ライアンは頭を掻く。

「ジャネスにあてられて、結婚を考えるんじゃないかと」
「たったそれだけのことで、私を無理矢理抱いたのか」

 私は心底呆れて、額に手を当てた。
 ライアンは項垂れたまま言った。

「罪は償う。何でも言うことを聞く」
「何でも、だと?」
「ああ、何でもだ」

 顔を上げて、覚悟を決めた瞳で私を見据え、裁きを待っている。
 私はその頬に触れて手のひらで包み、ようやく言った。

「では、これから生涯をかけて、私を愛せ」
「……っ」

 ライアンは目を瞬かせ、陸に上がった魚のように口をパクパクと動かす。

「誰もその目に映さず、私だけを見て、私のものになれ」

 紙のように白くなっていた頬に赤みが差し、ライアンは顔を歪めて頷いた。

「ああ、お前を愛すると誓う。たとえ、お前の心を手に入れられないとしても、傍から離れず、すべてを捧げる」

 馬鹿な奴だ。
 ここまで言われても、まだ気が付かないとは。
 私は苦笑し、ライアンに告げた。

「とりあえずは、君のマントを貸してくれ。──裸のままでは体裁が悪い」
「あ、ああ。ごめん」

 ライアンは焦ったようにベッドから降りて、床に落としていたマントを拾い上げる。
 私はそれを受け取って身にまとい、ライアンに告げた。

「誓いのキスをしろ」

 ライアンは頷いてから、予想に反して床に跪き、マントの裾にキスをした。
 一瞬止めようとしたが、私は敢えて誤解を与えたままにした。

 私にここまでのことをしたのだ。
 ライアンには反省してもらいたい。

 だが、いつかは白状しよう。
 先に恋心を抱いていたのは、恐らくは私の方なのだから。

 数多の女性と関係を持つことで、ライアンへの想いを封じてきた。
 私は跪くライアンの肩に手を置き、ついに手に入れたことに喜びを見出していた。

 今は秘めておこう。
 また身体を重ねるその日が来たなら、ライアンに愛を囁こう。

 私はこっそりそう思いながら、足元のライアンを見下ろし続けた。
 結局、その3日後にはライアンに再び抱かれ、啼きながら告白することになるのだが。
 その時の私には知る由もなかった。


-END-
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