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第11話 知る妹 ニネット視点(1)

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「うふふ。今日は今まで以上に、特別な日になりそうですわ」

 エドモン様自らが内装を考えてくださった、広々とした今のわたくしの私室。今朝もそんな素敵な場所で目を覚まし、ベッドの上で満面の笑みを浮かべていた。

 今日はココ・ダーファルズ邸で過ごすようになって、丁度半年となる日。
 エドモン様は今夜ハーフアニバーサリーを祝うと仰られていて、わたくしはそれが楽しみでたまりませんの。

「エドモン様は優しく、頼もしく、聡明で、エンターテイナーな一面まで兼ね備えている、稀有な御方。そんな方が計画されたもの。それが素敵ではないはずがありませんわ」

 だから笑みが零れっぱなしで、今日は朝から幸せで満たされ――ふふふ、訂正ですわ。


 エドモン様がデザインされた、特製のエンゲージリングを頂いたり。
 エドモン様がわたくしをイメージして、専用の私室を作ってくださったり。
 わたくしをご自身の膝の上へと招いて、たっぷりと可愛がってくださったり。
 ことあるごとにキスをしてくださって、しっかりと抱き締めてくださったり。


 あの日以降、わたくしの毎日はこんな感じ。お姉様が行ってもらえなかったことを行っていただいていて、いつも愛してくださっているんですもの。

「今日も朝から幸せ。ですわね」

 自分の頭を軽くコツンと叩いて、訂正。くすりと微笑みながらベッドを降りて、まずは着替え。パジャマを脱いで服を纏うと侍女たちに髪などのセッティングなどを行わせ、完璧なわたくしの出来上がり。
 そのタイミングで使用人の一人が『モーニングの準備が整いました』と報告にやって来たので、おじ様とおば様、そして――。最愛の婚約者、エドモン様がいらっしゃる食堂へと向かう。

「朝が弱かったわたくしが、しっかり起きて食事を摂れる。それは、そこに愛する方が居てくださるから。こんな部分でも、エドモン様はわたくしを助けてくださって――あら? どうされましたの?」

 2階から1階へと続く階段を降りようとしていたら、別の使用人が大急ぎでやって来た。なので首を傾けてみると、彼女が差し出したのは手紙。差出人はお父様で、ついさっき届いたみたい。

「あの場所を離れてから、一度も遣さなかったのに。なんなのかしら……?」

 しかも封筒にある字はいつもより汚くて、かなり焦って書いたように思える。そこですぐ開封して便箋を取りだし、目を落としてみることにしました。

「ええっと……。ここには、何が記されているのかしら――…………。えっ!?」

 お姉様が家を出た!?
 そっ、それに……。それに…………。


 エズラル侯爵家のフレデリク様と、婚約をした!?

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