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第2話 目を覚ましたあとは ロマーヌ視点(1)
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「…………そう、ですのね……。マリエス様は、否定をされていますのね……」
目を覚ましたフリをしてから、およそ5分後。わたくしはベッドで上体だけを起こし、その体勢で悲しげに目を伏せていた。
思っていた通り、あの女は別室で――事情聴取の場で、わたくしの企みだと繰り返して潔白を主張していた。だからまずは、否定の否定を行う。
「……わたくし自身も、まったく気が付きませんでしたが……。マリエス様は知らない間に、疑心暗鬼に……。いいえ、それよりもっと酷い状態になっていましたの……」
婚約者であるジョルジュ・ハランテワは学院でも有名な人気者で、実はずっと『最愛の人を誰かに奪われるのではないか?』と危惧していた。そんな不安が時間に比例して大きくなり、
ついには被害妄想に囚われるようになってしまった。
その結果――。自分へのプレゼントにはジョルジュへの点数稼ぎという意図があると思い込み、そこに『人気がある生徒会長』という事実が加わって激昂。
ここでどうにかしないと奪われてしまう。
わたくしは否定したものの信用してはもらえず、去ろうとしていたら背中に衝撃がやって来た。マリエス様に突き落とされて、今に至る。
あらかじめ用意していた台詞を、身体を時折震わせ、恐怖の涙を流しながら、室内に居たドクターと教師2名に説明した。
「フィンザートン君に……。そのような性質があった、か……」
「ふむ……」
「先ほど申し上げましたように、わたくしも信じられませんでした。普段のマリエス様に、そんな素振りは微塵もありませんでしたから……」
けれど、実際にそれが起きた――。制服に付着している指紋が何よりの証拠――。本当にわたくしが敵意を抱いているのなら、特注したブローチを用意しない――。同じく1か月間考えに考えた言葉を出して、先の発言に信憑性を持たせる。
そうして――
「失礼致いたします」
――まあっ、まあまあっ! そうして順調にマリエスを加害者にしていると、白い制服を纏った男性たちと――治安機関の人間たちと共に、薔薇がとっても似合う、白馬の王子様然とした美男が現れましたわ。
この方は、わたくしの最愛の人。ジョルジュ様その人ですわ。
((うふふふ。わたくしを心配して、来てくださりましたのね))
でしたら――ちょっとだけ、予定変更。ジョルジュ様の前でも怯えたお芝居をして、同情を誘いながらマリエスを追い出しましょう。
目を覚ましたフリをしてから、およそ5分後。わたくしはベッドで上体だけを起こし、その体勢で悲しげに目を伏せていた。
思っていた通り、あの女は別室で――事情聴取の場で、わたくしの企みだと繰り返して潔白を主張していた。だからまずは、否定の否定を行う。
「……わたくし自身も、まったく気が付きませんでしたが……。マリエス様は知らない間に、疑心暗鬼に……。いいえ、それよりもっと酷い状態になっていましたの……」
婚約者であるジョルジュ・ハランテワは学院でも有名な人気者で、実はずっと『最愛の人を誰かに奪われるのではないか?』と危惧していた。そんな不安が時間に比例して大きくなり、
ついには被害妄想に囚われるようになってしまった。
その結果――。自分へのプレゼントにはジョルジュへの点数稼ぎという意図があると思い込み、そこに『人気がある生徒会長』という事実が加わって激昂。
ここでどうにかしないと奪われてしまう。
わたくしは否定したものの信用してはもらえず、去ろうとしていたら背中に衝撃がやって来た。マリエス様に突き落とされて、今に至る。
あらかじめ用意していた台詞を、身体を時折震わせ、恐怖の涙を流しながら、室内に居たドクターと教師2名に説明した。
「フィンザートン君に……。そのような性質があった、か……」
「ふむ……」
「先ほど申し上げましたように、わたくしも信じられませんでした。普段のマリエス様に、そんな素振りは微塵もありませんでしたから……」
けれど、実際にそれが起きた――。制服に付着している指紋が何よりの証拠――。本当にわたくしが敵意を抱いているのなら、特注したブローチを用意しない――。同じく1か月間考えに考えた言葉を出して、先の発言に信憑性を持たせる。
そうして――
「失礼致いたします」
――まあっ、まあまあっ! そうして順調にマリエスを加害者にしていると、白い制服を纏った男性たちと――治安機関の人間たちと共に、薔薇がとっても似合う、白馬の王子様然とした美男が現れましたわ。
この方は、わたくしの最愛の人。ジョルジュ様その人ですわ。
((うふふふ。わたくしを心配して、来てくださりましたのね))
でしたら――ちょっとだけ、予定変更。ジョルジュ様の前でも怯えたお芝居をして、同情を誘いながらマリエスを追い出しましょう。
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