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第4話 3つ目 アルマ視点

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「殿下、陛下、妃殿下、第二第三王子殿下、神殿長様、その他の皆様も。今後は、先ほどまでのような――これまでのような態度を取るのは止めてください」

 重要な人間には媚びて、そうではない人には性格悪く振る舞い理不尽にあたる。二度とそんな真似はするな。
 それが、三つ目の言いたいこと。

「地位や立場的に上の者でもあっても同等であっても下の者であっても、同じように接する。これを守ってください。そしてこれまでそのような態度を取って来た人たち、ひとりひとりに謝罪をして回ってください」

 身近なところで言うならば、同行されている護衛の皆様と神殿の衛兵様たち。その人達にこれまでいくつもの非礼無礼を働いて来たのだから、謝るのは当然だ。

「今まではやんわり苦言を呈してきましたが、もうそんな遠回しは致しません。……よろしいですね?」
「まっ、待ってくれっ! 俺は王族で王太子っ、次に国を担う時期トップなんだよっ!? そんなものが頭を下げるだなんて、示しがつかないよ!」
「わたし達も王族で、国の重要人物だ! それが下にっ、よりにもよってそんな者達に頭をさげるなんてっ。できるはずはないっ、してはならないことだよアルマ君っ」
「……陛下、これまでの行いこそが『してはならいこと』ですよ。そして殿下、示しがつかない? 貴方様は一度、辞書をひいた方がよろしいかと思います」

 おもわず、嘲笑が出てしまった。わたしはそんな表情を鎮めながら該当者を見回し、対象となる方々を一瞥した。

「ではまずはこの場で誓い、とりあえず皆様方に謝罪をしてください。……これまでの経験で、何を言っても変わらない、とご存じですよね? さあお願い致します」
「…………分かった……。やる、よ」

 もう人によって露骨に態度を変えません。誰に対しても真摯な態度を取り、陰で攻撃などをしたりしません。
 トーマ、ケビン、ロビン、ニコル、レオン、テオ、トム、バロン、コロンブス、バティール、ファゾ、ダニエル、ヴァン。申し訳ございません。多々の振る舞いをお許しください。もう二度と致しません。

 殿下たちははっきりとそれらを口にし、その場で用意した『もしも行った場合はすべての地位資格権利を放棄する』という誓約書にもサインを行った。なので3つ目は終わりで、以上で言いたいことは終わり――じゃなかったわ。

((聖女の力が戻ったのだから……。アレとアレに、言及しておかないといけないわね))
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