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第3話 異常 クリストフ視点(2)

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「皆(みな)。ここにフルールの悪事に関する証拠がある、そう言ったのを覚えているかな?」
『『『『『え、ええ……。おぼえて、います……』』』』』
『『『『『お、おぼえてます……』』』』』
「あれは、すべて嘘。ここにあるのは、証拠ではない。ありもしない出来事を行ったことにさせるために、俺が用意した『偽物』なんだ」

 …………………………。
 俺の口が新たに起こしたもの。それは、事実の公表だった……。

「先日俺が父上に頼み、我が家(いえ)のコネクションと大金を使って用意した。呼び出した際の目撃者なんて、実際は居なかった。脅迫状の筆跡が本人と一致した、そんな事実も実際はなかったんだ」
『『『『『『…………全部、嘘……?』』』』』
『『『『『『そんな……。まさか……』』』』』
「ああ、その通り。そのまさかだ。全部、嘘だったんだよ」

 やめろ! やめろっ! やめるんだ!! やめてくれ!! 頼むからやめてくれ!!
 どんなに叫んでも、俺の口は止まらない。俺が言いたい内容が一切言葉にならなくて、俺の意思とは正反対の言葉ばかりが外に出ていってしまう……っ!!

『『『『『……………………』』』』』
『『『『『……………………』』』』』
「僅かの時間に、否定を行ってしまったんだ。皆(みな)が驚いているのはよく分かる。そして――。皆(みな)が動機を知りたがっているのも、よく分かる」

 !!
 お、おい……。お前は……。俺の口は…………。もしかして…………。

『『『『『……………………』』』』』
『『『『『……………………』』』』』
「だからこれから、動機についてもちゃんと説明を行う。先生方も、よく聞いて欲しい」

 ぁぁぁあぁ!! 俺の口は、騒ぎを聞きつけてやって来た教師にまでそんな要望を出して……。

((言うなぁぁあああああ!! 言うんじゃない!! おねがいだぁああああああああああああああああああああああああ!!))

 死に物狂いで懇願するも、ぁぁ……。駄目、だった…………。
 嫌、なのに……。言いたくない、のに……。

「俺クリストフは、彼女ベル・オデファートに心変わりをしてしまったのだよ」

 事実を、白状してしまった…………。
 そ、そして……。そしてぇ……っ‼
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