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第1話 10日後~その幸せは~ 俯瞰視点(1)
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「ふん、何が『原因は別にあるはず』だ。なあグスターヴよ」
「ええ父上。凶作の理由が別にあるはずはなく、原因はやはり『祈りの怠け』だった。それがはっきりと証明されていますね」
この国ザネラスエアルの中心にて屹立する、この国の要ともいえる場所『ザネラスエアル城』。その内部では王ヴァレンティンと王太子グスターヴが頷き合い、隣にいる王妃ベラも大きく頷いていました。
――ビアンカを追放したその翌日から、ザネラスエアルの状況は一変――。
不自然に下がっていた気温や不自然に弱っていた土壌がみるみる回復してゆき、各地では農作物がスクスクと育つようになっていたのです。
「高級な食事や寝具などなど、最高の待遇をしてあげたのにアレなんだもの。先代の聖女はとんでもない女だったわ」
「うむ。やはり、孤児はいかんな孤児は。今後はいくら適性が高くとも、気高き血を持つ者にせねばならなんな」
「同感です。ビアンカは表向きは聖女然とした聖人でも、実態は酷かった。これまで路傍の石以下だった者が名声を得て、自惚れ調子に乗っていたのでしょうね。これだから、胡乱な血を持つ者は嫌いなんですよ」
国王、王妃、王太子。現在王の間にいる3人はその後もたっぷりと『ビアンカ』であり『孤児』や『優れた血を持たない者』を罵り――
「「「「「新聖女様のおかげだ!!」」」」」
「「「「「新聖女レネー様! 一生ついてまいります!!」」」」」
「「「「「さすが侯爵家の御令嬢様だ! あの方こそがっ、本物だ!!」」」」」
「「「「「やっぱり俺達より下の人間に、聖女なんて務まらないんだよ。よかったよかった!」」」」」
「ビアンカのせいで、半年間も最悪な目に遭ったわ。さっさと死にますように」
「隣の国の山の中で、お金も食料もなしに捨てられたんでしょ? もう死んでたりして」
「あははっ。かもねっ!」
他の場所でも、同じ。貴族も平民も新任を声を弾ませ称え前任を口汚く蔑み、雲一つない青空へと満面の笑みを向けていました。
ですが――。
その、3日後でした。そうしている全員の表情は、突如として激変することとなるのでした――。
「ええ父上。凶作の理由が別にあるはずはなく、原因はやはり『祈りの怠け』だった。それがはっきりと証明されていますね」
この国ザネラスエアルの中心にて屹立する、この国の要ともいえる場所『ザネラスエアル城』。その内部では王ヴァレンティンと王太子グスターヴが頷き合い、隣にいる王妃ベラも大きく頷いていました。
――ビアンカを追放したその翌日から、ザネラスエアルの状況は一変――。
不自然に下がっていた気温や不自然に弱っていた土壌がみるみる回復してゆき、各地では農作物がスクスクと育つようになっていたのです。
「高級な食事や寝具などなど、最高の待遇をしてあげたのにアレなんだもの。先代の聖女はとんでもない女だったわ」
「うむ。やはり、孤児はいかんな孤児は。今後はいくら適性が高くとも、気高き血を持つ者にせねばならなんな」
「同感です。ビアンカは表向きは聖女然とした聖人でも、実態は酷かった。これまで路傍の石以下だった者が名声を得て、自惚れ調子に乗っていたのでしょうね。これだから、胡乱な血を持つ者は嫌いなんですよ」
国王、王妃、王太子。現在王の間にいる3人はその後もたっぷりと『ビアンカ』であり『孤児』や『優れた血を持たない者』を罵り――
「「「「「新聖女様のおかげだ!!」」」」」
「「「「「新聖女レネー様! 一生ついてまいります!!」」」」」
「「「「「さすが侯爵家の御令嬢様だ! あの方こそがっ、本物だ!!」」」」」
「「「「「やっぱり俺達より下の人間に、聖女なんて務まらないんだよ。よかったよかった!」」」」」
「ビアンカのせいで、半年間も最悪な目に遭ったわ。さっさと死にますように」
「隣の国の山の中で、お金も食料もなしに捨てられたんでしょ? もう死んでたりして」
「あははっ。かもねっ!」
他の場所でも、同じ。貴族も平民も新任を声を弾ませ称え前任を口汚く蔑み、雲一つない青空へと満面の笑みを向けていました。
ですが――。
その、3日後でした。そうしている全員の表情は、突如として激変することとなるのでした――。
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