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第6話(3)
しおりを挟む「アシル兄を毒殺!? ちょっ、ちょっと待って! それがホントなら僕らも巻き添えで死んじゃうよ!?」
「そ、ソフィア様っ! 解毒薬のようなもののご用意はないのですか……っ!?」
「ソフィア君っ! あるのだな!? そう言ってくれっ!!」
「無論、きちんと用意しております。ヤウヘル様、ベルス様、こちらをどうぞ」
懐から小瓶を2つ取り出し、お渡しするとお二人は大急ぎで飲んで安堵の息を吐かれました。
速やかかつ言い逃れできないようにするには、この方法が最適だったのです。ヤウヘル様。ベルス様。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。
「おっ、オレ様にもっ! 解毒薬を、くれっ! いやっ、解毒薬をください!! お願いぃしますうううううううううううううううううううううううう!!」
「協力者と動機を正直に吐くのであれば、お渡ししますよ。どうしますか?」
「きょっ、協力者は、毒を調達した専属医っ、薬師っ! あとは毒を混ぜ込む係の厨房の総料理長と、部屋の清掃係っ。そして、父上の従者と宰相っ! 以上ですっっ!!」
やはり、城内にも数名仲間がいましたね。先日アシル様がお部屋で疑ったのは、大正解でした。
「では、次に動機です。何の目的で殺害を目論んだのですか?」
「うっ、生まれた順で自動的に王となることが許せなかったんです! オレはこんなにも優れているのに、三男という理由で王座につけない! だから心の裏ではずっとアシルを憎んでいて、理不尽な状況を壊してやろうと思ってやりましたっ!!」
なるほど。これが、理不尽な状況ですか。
この方は自惚れていて、実態が正しく見えていなかったようですね。客観的に見てもアシル様――ヤウヘル様たちも全ての面で優れていて、この怒りはただの逆恨みです。
「言ったっ! ちゃんと言いましたっ! 早く解毒薬をくださいっっ!!」
「……その前に、確認をしておきましょう。国王様。今し方のものは全て、自白となりますよね?」
「…………うむ。受け入れがたいが、本人の口から出たものだからな……。罪は成立し、我が名において厳罰に処する」
王太子暗殺は、未遂に終わっても重罪。王家の人間であっても、処刑は免れません。
もうじき逆に自分が死に直面してしまうので、少しでも早く安心させてあげましょう。
「くれっ! くれええっ!! 薬がないと、死ぬうううううぅぅぅぅうううう!!」
「心配しなくても、死にはしませんよ。なぜならアレに、毒は入っていないのですから」
わたしは口元を緩め、はい。ここからは、種明かしのお時間です。
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