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第11話 感謝、そして
しおりを挟む「本当に、ありがとうございました。ノルベルト様を助けられたのは、アロイス様のおかげです」
苦しみから解放できた日の、翌日。お城にある、第二王子であり王太子の私室。昨日は公務や王太子の件で深夜までお忙しかったので、朝にようやく感謝を伝える事ができました。
「アロイス様が情報をくださらなければ、全てが上手く繋がりませんでした。このご恩は、生涯忘れません」
「も~、そんなに感謝してくれなくていいってば。俺はね、姉さんと兄様が元通りになってくれただけで満足なんだ。こっちの願いがちゃんと叶ってるんだし、もうパパっと忘れちゃってよ」
アロイス様はいつもと同じように優しい言葉をかけてださり、いつもと同じように笑ってくれます。
この声と表情が、私を支えてくれました。これ以上口にしたら叱られてしまいますので、心の中で改めて言わせてもらいますね。
三日前から、そのずっと前から、ありがとうございました。
「このような方が国王様になってくださるのなら、この国も私達も安心できます。私に出来る事があれば何でもお手伝いさせていただきますので、仰ってくださいね」
「…………王太子妃の資格がなくなったのに、心からそう言えちゃうんだもんなぁ。こんな人だから、応援しちゃいたくなるんだよね」
「??? 今、なんと仰ったのですか?」
「んーん、なんでもないよ。独り言」
アロイス様は頭の後ろで手を組んで口笛を吹き、右にある壁の方向を――。ノルベルト様の私室を、一瞥しました。
「俺がちゃんとしないと、あんな風に暴走しちゃう人が出てくるかもしれないからね。全員がニコニコして暮らせるように、至らないと感じた時は遠慮せず、姉さんや周りの人の手と意見を借りて務めていくよ」
「はいっ。アロイス王太子殿下、よろしくお願いします……っ」
「こちらこそ、急遽誕生した王太子ですがよろしくお願いします。…………数日の間に色々あったけど、おめでとう。一か月後の結婚、楽しみにしてるよ」
私が頭を下げると頭を下げ返してくれて、そのあとパチパチっと拍手。アロイス様は、自分のことのように――心からの破顔で、私達を祝福してくださったのでした。
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