36 / 37
6 罠(6)
しおりを挟む
「弓ちゃんの放送で、あと一押しあれば成功ってところまで来てた。だから真希ちゃんに頼んで一押しできちゃえる状況を作って、新犯人さんをおびき寄せたんだよ~」
「夢卯ちゃん親子に近い人を使えば、より強力なトドメをさせる。そんな理由でアタシは秘書として呼ばれて、あの時間誰もいない場所でひとりでいたってワケ」
んっ。実はそーだったのですーっ。
「そんな作戦は、大成功っ。あとは『催眠術を使われた』って合図になる6分間の遅刻をして、真希ちゃんに合わせたんだよー」
「相手が催眠術を使うことは分かっていたから、とっくに打ち合わせをしていたの。あとは、氷川先生が犯人だという証拠を――目的を話したやり取りを隠し持っていたボイスレコーダーに撮って、お仕舞よ」
これは探偵の知識の一つで、はっきりとした証拠がないと、手早く夢卯ちゃんの無実を証明できなくなる可能性があるんだよね。
少しでも早くいつも通りの学園生活が戻るように、やっておいたのですっ。
「はーい、ご説明は終わりだよ。真犯人さん、警察まで来てもらうよー」
「……なっ、何者なんだお前は……! 子どものくせに、どうしてそんなにも催眠術を扱えて……。そこまで頭が回る……っ!」
「あとでわたしの記憶は封印するから教えてもいいけど、あなたは夢卯ちゃんを傷付けて、弓ちゃんたちも傷付けた。そんな人とは余計なお話しはしたくないから、内緒だよ」
放送の時の夢卯ちゃんのお顔は、今でもしっかり覚えてる。
あんなことをした人とは、あんまり話したくない。
「わたしたち佐々木家が解決した事件の担当をしてくれる人が、警視庁にいるんだよ。その人のところに行ってもらうから、こっちに来てもらうよ」
「い、いやだ……。つかまりたく、ない……。牢屋暮らしなんて、耐えられない……! たっ、頼む! 許してくれ!」
「もしわたしが間に合わなかったら、夢卯ちゃん達が大変なことになってたんだもん。許さないよ」
強く首を右と左に振って、お顔を近づける。
しょうがない。弓ちゃんにしたのと同じ催眠術をかけて、警察に向かってもらいます。
「お願いだっ! 許してくれっ! この通りだ! なんでもするから!」
「あなたにして欲しいことなんてないよ。ね? 夢卯ちゃん」
「うん。ないわ。あるはずない」
「だから、さっきも言ったけど許さない。……じゃあ、催眠術をかけるよ」
「いやだぁあああああああああああああああ! いやだああああああああああああああああああああああ! いやああああああああああああ――…………あ……。………………はい……。俺は、悪いことをしました……。自首します……」
催眠探偵術師の催眠術は、絶対に防げない。
なので真犯人さんはコクリと頷き、その場で110番をしたのでした。
「夢卯ちゃん親子に近い人を使えば、より強力なトドメをさせる。そんな理由でアタシは秘書として呼ばれて、あの時間誰もいない場所でひとりでいたってワケ」
んっ。実はそーだったのですーっ。
「そんな作戦は、大成功っ。あとは『催眠術を使われた』って合図になる6分間の遅刻をして、真希ちゃんに合わせたんだよー」
「相手が催眠術を使うことは分かっていたから、とっくに打ち合わせをしていたの。あとは、氷川先生が犯人だという証拠を――目的を話したやり取りを隠し持っていたボイスレコーダーに撮って、お仕舞よ」
これは探偵の知識の一つで、はっきりとした証拠がないと、手早く夢卯ちゃんの無実を証明できなくなる可能性があるんだよね。
少しでも早くいつも通りの学園生活が戻るように、やっておいたのですっ。
「はーい、ご説明は終わりだよ。真犯人さん、警察まで来てもらうよー」
「……なっ、何者なんだお前は……! 子どものくせに、どうしてそんなにも催眠術を扱えて……。そこまで頭が回る……っ!」
「あとでわたしの記憶は封印するから教えてもいいけど、あなたは夢卯ちゃんを傷付けて、弓ちゃんたちも傷付けた。そんな人とは余計なお話しはしたくないから、内緒だよ」
放送の時の夢卯ちゃんのお顔は、今でもしっかり覚えてる。
あんなことをした人とは、あんまり話したくない。
「わたしたち佐々木家が解決した事件の担当をしてくれる人が、警視庁にいるんだよ。その人のところに行ってもらうから、こっちに来てもらうよ」
「い、いやだ……。つかまりたく、ない……。牢屋暮らしなんて、耐えられない……! たっ、頼む! 許してくれ!」
「もしわたしが間に合わなかったら、夢卯ちゃん達が大変なことになってたんだもん。許さないよ」
強く首を右と左に振って、お顔を近づける。
しょうがない。弓ちゃんにしたのと同じ催眠術をかけて、警察に向かってもらいます。
「お願いだっ! 許してくれっ! この通りだ! なんでもするから!」
「あなたにして欲しいことなんてないよ。ね? 夢卯ちゃん」
「うん。ないわ。あるはずない」
「だから、さっきも言ったけど許さない。……じゃあ、催眠術をかけるよ」
「いやだぁあああああああああああああああ! いやだああああああああああああああああああああああ! いやああああああああああああ――…………あ……。………………はい……。俺は、悪いことをしました……。自首します……」
催眠探偵術師の催眠術は、絶対に防げない。
なので真犯人さんはコクリと頷き、その場で110番をしたのでした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる