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第9話 予想外 俯瞰視点(1)

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「家族への手紙を書き始めたら、書きたいことが溢れてきてね。すべてを記していたら、2日もかかってしまったんだ」
「これが、思いを伝える最後のチャンスなんですもの……。わたくしも、同じ理由で時間がかかってしまいましたわ」

 内心ほくそ笑みながらマーフェット伯爵邸を訪れ、今日は他人行儀に応接室に通されてすぐのことでした。二人はそれぞれ5枚にも及ぶ手紙を取り出し、対面にいるソフィアに揃って差し出しました。

「俺達は、これから毒を飲んで死ぬ。父さん達に、直接渡せない」
「だから……。この手紙と、『ごめんなさい』を……。預かって、渡してくださいまし」

 そうして二人は申し訳なさを醸し出しながら手紙を手渡し、それが済むと懐から小瓶を取り出しました。

「………………。……………………」
((淡々と受け取って、無言。どうせ、飲むつもりはないと思ってるんだろうな))
((また、アレコレと理由をつけて踏み切らないと思っているんでしょう? それは、大ハズレ。わたくし達は、これから飲みますのよ))

 あの日の液体と今日の液体。見た目は同じですが、中身はまるで違うものを用意しました。そのため二人は躊躇する理由がなく、今回は作戦を継続させます。

「………………。……………………」
「ソフィア。自分勝手で我が儘な幼馴染を、許してくださいまし」
「ソフィア、今までありがとう。さようなら。バイバイ」

 ソフィアのショックを大きくするべく飲むのは一人ずつで、まずはイーサンからとなっています。そこでまずはイーサンが複雑な笑みを浮かべつつ、瓶の栓を外しました。

「これで…………この世界には居られなくなるけど、空の上でアヴリーヌといつまでも暮らせるようになる。やっと…………。夢が叶うんだ!!」

 そして瓶に口をつけてあおり、ゴクゴクと喉が3度上下したあと――

「うがぁ……!?」

 彼は瓶を落とし、両手で喉を抑え始めました。
 こうして計画は、順調に次のステップへと移行。するはず、だったのですが――













 ※申し訳ございません。
 先日より発生しているわたくしごとが、予想よりも長引いておりまして……。その影響で本来1日で終わらせる予定だったお話を、1日で書ききれなかったことをお許しくださいませ。

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