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第7話 逆監視3日目 監視スタート (1)
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《でっ、殿下! 殿下の御髪が……っ》
《クオスよ、俺の髪がどうした? 何を驚いているん――なっ!? なんだこれは!?》
午後の、2時9分17秒。王宮内で外出の支度をしていたアークス殿下は、映鏡の中で目を見張りました。
その理由は勿論、髪に変化が起きたから。丸3日目の突入を切っ掛けにしてジワジワと髪の毛が伸び始めたため、両手で頭髪を抑えながら狼狽えます。
《髪が伸びるっ!! 止まらないっ!? どうなっているんだ!?》
《わ、わたしくしにも見当がつきませんっ! とっ、とりあえず医者を呼んでまいりますっっ!!》
《そうしてくれ! 早くっ!! 早く連れてこいっっ!!》
殿下は半狂乱状態で叫び、今なお成長を続ける髪の毛に怯えながら到着を待ちます。そして3~4分程度で部屋の扉が開き、痩せ型の男性――だけではなく、毛むくじゃらになった4人の男女が駆け込んできました。
この4人は、殿下の家族。国王様と妃殿下、第2王子のヴァン様と第3王子のロイ様です。
《んなっ!? お前達もなのかっ!?》
《そうなのっ! しかも僕らだけっ! 王宮で僕らだけがなってるんだよ!!》
《恐らく全員が同じタイミングで起き始めたっ! 医者もこんな事態は初めてだそうだっっ!! 手の打ちようがないようなのだっっ!!》
《兄上どうすればよいのでしょうかっ!? こっ、このまま伸び続けてしまうのでしょうかっ!?》
《いやっ!! いやぁっ!! あたしの髪が……っ! いやあああああああああああああ!!》
パニックが共鳴し合い、5人の精神状態は更に悪化。おのおのがジタバタと手足を動かし、絶叫を繰り返します。
《ぁぁぁぁぁ……っ!! ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっ!?》
《原因はなんだ!? エリーナのせいなのか!? 食べた物のせいか!?》
《怖いよ兄さんっ!! 助けてっ!! 助けてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!》
《前髪がっ! 床まで伸びましたっっ!! 後ろ髪もっ!! とっ、止まれっ! 止まってくださいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!》
《なんであたし達がこんな目に!? ぃぁあぁあああああああああああああああ……!!》
国王様は蹲り、殿下は頭を掻きむしり、ロイ様は殿下に縋りつき、ヴァン様は髪の毛を掴んで懇願し、妃殿下は天井を仰いで奇声を発します。
ですがどんなに叫んでも嘆いても、髪の毛は同情してはくれません。無慈悲に伸びてゆき、その長さは2メートルを超えてしまいました。
「体毛の変化は、想像以上っス。こんなになっちゃうんスねぇ」
お隣で映鏡を見上げていたラズフ様は、「知ってても驚きっスよ」と苦笑いをしました。
そうですね。私も覚醒した際に知識が宿ってはいますが、実物を見ると衝撃が大きいです。
「髪が伸びてるだけなのに、かなりのインパクトっス。何事も、程ほどがいいっスねえ」
「はい。多すぎず少なすぎずが一番です」
《《《ぎああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!》》》
「そんな話をしてる間に、多分2メートル50センチを超えたっスね。ミウヴァ様、これってどのくらいまで伸びるんスか?」
「もうそろそろ、止まるはずです。そしてその瞬間、新たな恐怖が始まりますよ」
丁度言い終わった直後に、髪の毛の成長が止まりました。
殿下達はホッとしていますが、これは『その1』の終わりです。すぐに、『その2』が幕を開けますよ?
《クオスよ、俺の髪がどうした? 何を驚いているん――なっ!? なんだこれは!?》
午後の、2時9分17秒。王宮内で外出の支度をしていたアークス殿下は、映鏡の中で目を見張りました。
その理由は勿論、髪に変化が起きたから。丸3日目の突入を切っ掛けにしてジワジワと髪の毛が伸び始めたため、両手で頭髪を抑えながら狼狽えます。
《髪が伸びるっ!! 止まらないっ!? どうなっているんだ!?》
《わ、わたしくしにも見当がつきませんっ! とっ、とりあえず医者を呼んでまいりますっっ!!》
《そうしてくれ! 早くっ!! 早く連れてこいっっ!!》
殿下は半狂乱状態で叫び、今なお成長を続ける髪の毛に怯えながら到着を待ちます。そして3~4分程度で部屋の扉が開き、痩せ型の男性――だけではなく、毛むくじゃらになった4人の男女が駆け込んできました。
この4人は、殿下の家族。国王様と妃殿下、第2王子のヴァン様と第3王子のロイ様です。
《んなっ!? お前達もなのかっ!?》
《そうなのっ! しかも僕らだけっ! 王宮で僕らだけがなってるんだよ!!》
《恐らく全員が同じタイミングで起き始めたっ! 医者もこんな事態は初めてだそうだっっ!! 手の打ちようがないようなのだっっ!!》
《兄上どうすればよいのでしょうかっ!? こっ、このまま伸び続けてしまうのでしょうかっ!?》
《いやっ!! いやぁっ!! あたしの髪が……っ! いやあああああああああああああ!!》
パニックが共鳴し合い、5人の精神状態は更に悪化。おのおのがジタバタと手足を動かし、絶叫を繰り返します。
《ぁぁぁぁぁ……っ!! ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっ!?》
《原因はなんだ!? エリーナのせいなのか!? 食べた物のせいか!?》
《怖いよ兄さんっ!! 助けてっ!! 助けてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!》
《前髪がっ! 床まで伸びましたっっ!! 後ろ髪もっ!! とっ、止まれっ! 止まってくださいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!》
《なんであたし達がこんな目に!? ぃぁあぁあああああああああああああああ……!!》
国王様は蹲り、殿下は頭を掻きむしり、ロイ様は殿下に縋りつき、ヴァン様は髪の毛を掴んで懇願し、妃殿下は天井を仰いで奇声を発します。
ですがどんなに叫んでも嘆いても、髪の毛は同情してはくれません。無慈悲に伸びてゆき、その長さは2メートルを超えてしまいました。
「体毛の変化は、想像以上っス。こんなになっちゃうんスねぇ」
お隣で映鏡を見上げていたラズフ様は、「知ってても驚きっスよ」と苦笑いをしました。
そうですね。私も覚醒した際に知識が宿ってはいますが、実物を見ると衝撃が大きいです。
「髪が伸びてるだけなのに、かなりのインパクトっス。何事も、程ほどがいいっスねえ」
「はい。多すぎず少なすぎずが一番です」
《《《ぎああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!》》》
「そんな話をしてる間に、多分2メートル50センチを超えたっスね。ミウヴァ様、これってどのくらいまで伸びるんスか?」
「もうそろそろ、止まるはずです。そしてその瞬間、新たな恐怖が始まりますよ」
丁度言い終わった直後に、髪の毛の成長が止まりました。
殿下達はホッとしていますが、これは『その1』の終わりです。すぐに、『その2』が幕を開けますよ?
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