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逃れられないんですね

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「自分は貴族とは名ばかりの、財力も権力も無い末端男爵の次男坊です。

しかも、同性同士で、子孫も望めません。」

「ああ、そうだね。
まさに、それが君が選ばれた理由だ。」

権力が無く、子を残さない事が理由?

そうか。

第一王子の治世を磐石にする為には、第二王子の派閥の活動を沈静化させなければならないのだろう。

その為には、子孫の残せない同性の末端貴族と婚姻させてしまえば良いと。

稀に同性同士の婚姻もあると聞くが、本人同士が懸想しあっている場合の事だ。

殿下と自分では側に近付くのもこれが
初めてなのだ。

自分の名前さえ、王命で初めて知っただろうと思う。

だが、王命だ。
不本意でも断る事は出来はしない。

自分にも。
殿下にも。


「アークス、仕事終わりに迎えを寄越す。
本日から、俺の部屋で休んでくれ。」

殿下がそう言った。

キラキラした笑顔だ。

はい?
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