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36話

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 第6王子の性格を洗脳して修正したいのをグッと堪え、仲間として自国であるヴァルプールへと帰ってもらった。
 少なくとも、何らかの方法で第6王子が洗脳されていた事は間違いなく、他の王族や貴族も同じ方法で洗脳されている可能性があるため、内部から調べてもらう事にした。

 最初は断られるかと思ったけど、洗脳中の自分を思い出して『女のいない生活など考えられん! 俺は王子という立場を利用して、やりたい事をやるのだ!』といい、進んで協力してくれた。

 騒動が収まったら、第6王子を何とかしよう、うん。

 でも第6王子は腐っても王子、遊びほうけていても捨てられないだけあり、優秀だった。

 戻した翌日から次々と情報が送られ、ロナウド副団長と協力し、マーテリーの家や貴族、王族のあらゆる情報が入ってくる。
 どうやらヴァルプールの王妃様は異変に気付いていたらしいけど、気が付いたら洗脳されていたらしい。
 洗脳前の手記が残っていたようだ。
 
 それには
『ハロルドの様子がおかしくなった。アトリア嬢との結婚を楽しみにしていたのに、今はマーテリーという伯爵令嬢の言いなりだ。マーテリーの事は良く知らないけど、あの子は何かがおかしい』

『ハロルドがアトリア嬢との婚約を破棄した上に追放してしまった。どうしたというの? それにハロルドの目……一体どこを見ているのか分からない目だった』

『一度ハロルドと話をしてみようと思う。私の知らない所で何かが起きている』
 ここで手記は終わっている。

 この手記が終わった時期と、第6王子達がマーテリーとお茶を飲んだ時期が近いらしく、その時に王族全員がツバルアンナの薬を飲まされたのだろう。

 他にも貴族数名が洗脳されていて、第6王子はそのリストも送ってきた。
 一体どうやってこれだけ調べたのか聞いたら、それくらい観察できないと、落としたい女を落とせんからな、と返事が返ってきた。
 この人……ワザと道化を演じてない?

 でもここまで洗脳されているのが分かれば、後は必要な人物から洗脳を解いて、情報を聞き出せるだろう。

 まず洗脳を解いて話を聞きたいのが、マーテリーの親だ。
 マーテリー自身もそうだけど、その親も洗脳されている可能性がある。

 マーテリーの留学先であるヴァリビネ国のスパイか、洗脳されているのか……その判断をするために、私達はヴァルプールへと向かった。




 お忍びでヴァルプール入りし、ロナウド副団長と共にマーテリーの実家へと向かう。
 私、セルジュ、アルバート神官長は変装してるけど、神官長はまだしも、セルジュは……目立つ。
 こういう時ってカッコイイ人は不便だ!

 ロナウド副団長と共にマーテリーに実家にいくと、すでに第6王子が話をしていた。
 逃げられないためらしい。
 でも一目見てわかった。マーテリーの両親は洗脳されていない。

 だから私は……マーテリーの両親を洗脳した。
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