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軟禁?
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5 軟禁?
「実はフェリシアさん。お願いがあるんだけど」
僕はフェリシアさんに話を切り出した。
「あのね。これからフェリシアさんを騎士の人が探しに来るまで、この家を出ないで欲しいんだ。村人にフェリシアさんがここにいることを知られたくないんだよ」
小さな村だし噂はすぐに広がるだろう。
特に僕たちは村の人たちからは、あまりいい印象を持たれていないし。
「幸いフェリシアさんを家に連れてきたところは誰にもみられてないし、もし知られちゃったら騎士団が探しに来た時に村の人に告げ口されちゃうと思うんだ」
フェリシアさんは僕の顔をみて真剣な表情をする。
僕は申し訳ないと思う気持ちをこらえながら話を続けた。
「僕たちあんまり村の人に好かれてないんだ。まぁ、じいちゃんは別だけど、僕はあんまり村の人と仲良くないんだ。村長の息子にはとにかく嫌われているし。なんか昔から何かといじめられてるんだ。やり返したらもっといじめられて、もう関係は最悪なんだよ。その村長の息子に知られでもしたら間違いなく面倒なことになる」
フェリシアさんは静かに聞いている。
じいちゃんはお茶を入れに行った。
「だから軟禁?てわけじゃないけど、しばらくうちの2階に隠れていて欲しいんだ。うちは食堂をやってる。客で来るのは村の独身の人ばかりだけど、フェリシアさんのことがバレるとすぐ噂になると思うんだ。フェリシアさんは特に美人だし」
そう言うと、フェリシアさんは急に照れた顔をする。照れてる表情もかわいいな。
じいちゃんが3人分のお茶を持ってきてくれた。フェリシアさんがじいちゃんに尋ねる。
「ゼン殿はどう思う?やはり追っ手は来ると思うか?」
ゼンというのはじいちゃんの名前だ。
「さっきケイからは大体の事情は聞いた。ワシもケイと同じ考えじゃ。お前さんと同じく山越えしてくるとは思えんから、街道を使って回り道をして、おそらく2、3日後にはこの村に探しにくるじゃろう。その時にそいつらにお前さんが死んだと思わせれば、この後お前さんも動きやすくなるはずじゃとワシも思う。それからニワトリのことは気にするな。おかげで久しぶりにワシらも贅沢な食事ができた。ケイの料理は美味いじゃろ、最近はワシより上手くスープを作るんじゃよ」
じいちゃんが笑いながらフェリシアさんにいう。
「何から何までお世話になり申し訳ない。お言葉に甘えて匿っていただくことにする。だが、なにか危険な目にあった場合は私のことなど放っておいてくれ。その時は潔く自決する」
「いやいや、死んじゃだめだよ。せっかく助けたのに。大丈夫だよ。フェリシアさんには少し不自由させるけどたぶん上手くいくと思うんだ。安心して2階で養生しててよ。夜になったら村人も来ないからそこの洗い場で体を洗うといいよ」
そう言ってフェリシアさんを洗い場に案内する。
「私のことはフェルでいい。親しいものはそう呼ぶ。これからよろしく頼むぞ。ケイ」
そう笑顔で話すフェリシアさんは本当に美しかった。薄い茶色の長い髪。そして綺麗な青い瞳。
少し小さめなその唇が微笑むと、吸い込まれそうなくらい魅力的な表情になる。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
こうしてフェルと僕との、これから長く続く、幸せな生活が始まったんだ。
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「実はフェリシアさん。お願いがあるんだけど」
僕はフェリシアさんに話を切り出した。
「あのね。これからフェリシアさんを騎士の人が探しに来るまで、この家を出ないで欲しいんだ。村人にフェリシアさんがここにいることを知られたくないんだよ」
小さな村だし噂はすぐに広がるだろう。
特に僕たちは村の人たちからは、あまりいい印象を持たれていないし。
「幸いフェリシアさんを家に連れてきたところは誰にもみられてないし、もし知られちゃったら騎士団が探しに来た時に村の人に告げ口されちゃうと思うんだ」
フェリシアさんは僕の顔をみて真剣な表情をする。
僕は申し訳ないと思う気持ちをこらえながら話を続けた。
「僕たちあんまり村の人に好かれてないんだ。まぁ、じいちゃんは別だけど、僕はあんまり村の人と仲良くないんだ。村長の息子にはとにかく嫌われているし。なんか昔から何かといじめられてるんだ。やり返したらもっといじめられて、もう関係は最悪なんだよ。その村長の息子に知られでもしたら間違いなく面倒なことになる」
フェリシアさんは静かに聞いている。
じいちゃんはお茶を入れに行った。
「だから軟禁?てわけじゃないけど、しばらくうちの2階に隠れていて欲しいんだ。うちは食堂をやってる。客で来るのは村の独身の人ばかりだけど、フェリシアさんのことがバレるとすぐ噂になると思うんだ。フェリシアさんは特に美人だし」
そう言うと、フェリシアさんは急に照れた顔をする。照れてる表情もかわいいな。
じいちゃんが3人分のお茶を持ってきてくれた。フェリシアさんがじいちゃんに尋ねる。
「ゼン殿はどう思う?やはり追っ手は来ると思うか?」
ゼンというのはじいちゃんの名前だ。
「さっきケイからは大体の事情は聞いた。ワシもケイと同じ考えじゃ。お前さんと同じく山越えしてくるとは思えんから、街道を使って回り道をして、おそらく2、3日後にはこの村に探しにくるじゃろう。その時にそいつらにお前さんが死んだと思わせれば、この後お前さんも動きやすくなるはずじゃとワシも思う。それからニワトリのことは気にするな。おかげで久しぶりにワシらも贅沢な食事ができた。ケイの料理は美味いじゃろ、最近はワシより上手くスープを作るんじゃよ」
じいちゃんが笑いながらフェリシアさんにいう。
「何から何までお世話になり申し訳ない。お言葉に甘えて匿っていただくことにする。だが、なにか危険な目にあった場合は私のことなど放っておいてくれ。その時は潔く自決する」
「いやいや、死んじゃだめだよ。せっかく助けたのに。大丈夫だよ。フェリシアさんには少し不自由させるけどたぶん上手くいくと思うんだ。安心して2階で養生しててよ。夜になったら村人も来ないからそこの洗い場で体を洗うといいよ」
そう言ってフェリシアさんを洗い場に案内する。
「私のことはフェルでいい。親しいものはそう呼ぶ。これからよろしく頼むぞ。ケイ」
そう笑顔で話すフェリシアさんは本当に美しかった。薄い茶色の長い髪。そして綺麗な青い瞳。
少し小さめなその唇が微笑むと、吸い込まれそうなくらい魅力的な表情になる。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
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