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爆弾発言

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いつもとは違う大きくて骨張った手に、一瞬ドキリとしてしまう。

「ねぇレオニー」

私の手をそのまま胸元まで持ち上げて、ルシャが真剣な眼差しで私を見つめる。その顔があまりにも綺麗で、私は言葉もなく見惚れてしまった。

「せっかくレオニーより目線が高くなって本当は結構嬉しいんだけど」

「うん」

「でも、これだけは上げ底しない今の自分で言いたいから、いつもの僕に戻るね」

「うん」

名残惜しいような、ホッとしたような気持ちで、私は頷く。

ルシャが何かを噛んだような音が聞こえたかと思うと、またもみるみるうちにルシャの体が変化した。

ルシャに両手を握り締められ鎖骨の辺りまで持ち上げられていたのが、ルシャの身体が小さく変化するとともに徐々に下へと下がっていって、ちょうど胸の辺りまで降りてきた。

もちろん、合わせていた視線も一緒に移動するし、銀色のスーツまでもが一緒に自在にサイズが変化していくのがなんとも不思議だ。そういえば、着る人に合わせて大きさが変わるスーツだと言っていたが、まさかこんな事を考えていたなんてな。

「あーあ、いつもの視界だ」

「うん、いつものルシャだ。落ち着くな」

「えー、三年後の僕、イヤだった?」

「そんなわけないだろう。格好良かったよ。……ただ、ちょっと緊張した」

「そっかぁ」

正直な気持ちを吐露したら、ルシャはちょっと頬を赤らめて嬉しそうに笑った。

うん、可愛い。

こっちまで嬉しくなってしまうなぁ、なんて思っていたら、ルシャはまた真剣な顔で今度は私を見上げてきた。

「レオニー、あのね」

「なんだい?」

「僕、レオニーの事がすっごく好き」

珍しくそんな事を言われて、ちょっとだけ動揺してしまった。今日はいつもに比べてどうしたって気持ちが落ち着かない。手に汗ないどかいていないだろうか、なんて変な事まで気になってくる始末だ。

「ありがとう。なんだか照れるな」

動揺する気持ちを隠すようにそう言って笑えば、ルシャは顔を近づけて至近距離で私の顔を覗き込んでくる。

可愛いが……なんだかとっても緊張するし、恥ずかしい。

「ねぇレオニーは? 僕の事、好き?」

「もちろんだよ。私もルシャの事は大好きだ」

「ホント!? 嬉しい……!!!」

ルシャの淡いローズの瞳がキラキラと輝いて、しっぽがあったらきっとちぎれるくらいに振ってるんだろうな、と思えるくらいに嬉しそうだ。

めちゃくちゃに可愛い。

「じゃあレオニーさ、アカデミーを卒業したら僕と結婚してくれる?」
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