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第1章

13 娘の初ハント

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新米ママ カグリア 視点

可愛い娘が出来て、愛しのルナと生活を始めたカグリアよ。

今、あたしはキラティアこと、ティーと2人っきりでお留守番である。
ルナが料理の調味料が欲しいから少し大きな市場がある国に買い物に行っている。
あたしはルナみたいに凝った料理はしないから、わざわざ買い物なんてせずに適当にあるもので作るんだよね、性格の差かな?

ティーは生後5ヶ月で首もすわり、おすわりが出来るようになってきた。いい子いい子!

毛糸のボールを投げると取って投げ返してくれる。
バランスを崩して、ぽてっと倒れるのが可愛い。
あまり見惚れていると泣き出すのである程度堪能したら起こすの。そしたら笑顔であたしを見てくれるのもう可愛い。

「というわけで、毛糸のボール投げるよ。取ってね!」

「あー!あー!」

現在、お庭で遊んでいる。庭は森の中の筈が芝生なのでティーが遊んでも問題はない。

魔獣達は聖樹を利用した結界で入って来るのことはほとんどないので、ティーと遊ぶぞー!!

ガシッ!?

あたしの目の前にはティーの肩をガッシリ掴んだタカ型の魔物がいた。まさか!

クエー!!

バサバサと羽を動かしティーを掴んだまま飛び去った。

………

いや、待て!!待ってー!

あたしは慌てて神器『天破る弓』を引き魔物を射った。

あっ!!やっちゃた!?てへっ

矢は魔物に貫通しティーと共に落下している。
ここからでもティーが大泣きしているのがわかる。
ごめんね。

おぉ!?ティーは魔力でツバサみたいな物を作って減速してる。
うちの子、天才かも!?
だが、アホ毛で飛ばないのは減点だな。うんうん

って、そんな場合ではなかった。
あたしは加速魔法のブーストをかけ、ティーの元へ駆け出した。このスピードなら間に合うだろう。
武神を舐めるなよ!

よし、予定地点に到達!

先にタカの魔獣が落ちて来たので回収。

「さぁ!降りておいで愛しの娘よ!」

バッ!?

狼型の魔物が木と木の間を飛びティーを掻っ攫っていった。

……は?

待て!コラ!!

あたしは再びブーストをかけ追いかけた。
あぁ!ティーのモチモチ肌に牙が食い込んでる。
ティーの身体は何故か物理無効といっていいほど物に当たっても傷一つ付かない。おそらく平気だろうが見た目的に痛々しい。早く助けなければ!

そんな事を考えてると狼は減速して木から落ちた。

落下地点に行くと狼の死体だけあった。
毛皮は無事で中身が干し肉のようになっていた。
あとで出汁に使うか。

これはおそらくティーがやったのだと想像つく。
ルナがティーに出会った時に吸われたと言っていた。
おそらく、これはティーの能力だろう。
あたし達は味方と認識しているのか平気だが、敵と認識されるとこうなると可能性があるということか…
気を付けないといけないな。

この狼はティーの初獲物だから取っとこう…

しかし、ティーは何処に行ったのか?
近くにいるはずなんだが?キョロキョロ

ドスン!?ドスン!?

大地が揺れる。小型の魔物は走って逃げていた。
あたしの目の前におんぶゴリラという魔獣が現れた。
揺れの原因はこのおんぶゴリラである。
おんぶゴリラは背中にいくつかの袋が付いていて、その袋に子供を入れ育てる。
基本的に自分から襲うことがないので討伐依頼はない。
おんぶゴリラは森のお母さんと呼ばれ、子ゴリラ以外の孤児の魔物を育てる。

なので、あたしは通り過ぎるのを待つ。

ん?

ゴシゴシ

ん?

……ティーがおんぶゴリラの袋に入ってた。

「待て!ゴリラ!
その子はウチの子じゃー!!」

私は叫んだ。
そして、おんぶゴリラに近づいた。

おんぶゴリラはあたしを見て怒りの形相をしていた。
これは戦闘になるなと思い武器を取り出し構えた。

「あー、あー」

緊迫した空気の中可愛らしい声が聞こえた。

あたしに気付いたティーが袋から身体を乗り出し、そして落ちた。
おんぶゴリラも気付き手を出すが届かないだろう。
あたしは全力でブーストをかけてギリギリ、ティーを受け止めた。あぶねー

「あー、あー、きゃっきゃ!」

ティーが何を言っているかわからないが笑っていた。

ふぅ!
疲れた…帰ったら、ルナに結界強化してもらわないといけないなぁ。

怒りの形相のおんぶゴリラが近付いて来た。忘れてた!?
あたしは慌てて片手にティーを抱き、もう片手に武器を構えた。

するとおんぶゴリラは何やらジェスチャーをしだした。
まず、正座をしろ?
何となくだがそう思える。

「ウホー!!」

あまりの気迫にあたしは正座した。
あたし神なんだけど?汗

おんぶゴリラは袋から大きな葉っぱと木炭を取り出し絵を描き始めた。上手いな!
どうやら、子供を危険な森に連れて来た事に怒っているようだ。
すいません、偶然なんです。

ある程度説教が終わるとおんぶゴリラが落ち着いたので、こっち事情を伝えると対策を絵に描いて教えてくれた。
なるほど、空蜘を家の近くに飼っていれば、空に糸を張り鳥型魔獣の侵入を防げるのか。

この他にも子育ての情報も教えてもらい、おんぶゴリラとママ友になった。

お礼にティーを攫ったタカ型の魔物をあげると喜んでいた。結構肉があり美味しいからね。

無事、家に帰還するとルナが帰って来ていた。
しかし、ご立腹のようだ。

「ティーちゃん連れて森に連れて行くなんて危ないじゃない!」

というわけで、再びお説教タイムが始まった。
あたし、頑張ったのに理不尽だ。泣

そして原因のティーはあたしの腕の中で可愛くスヤスヤ寝ていた。解せぬ

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