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5章

67 真相

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ルナール 視点

「ラブリー先生が連れて行かれた!!!うぇーーん!」

「は~!?」

今、娘に泣き付かれているルナールです。
とにかく状況がわからない。

ラブリーさんが連れて行かれた?
もしかしてあげた栄養剤が原因かしら?
既存のレシピにティーのアホ毛の粉末を少し入れたからかしら?

と、とにかくリリスに状況を聞かなければ…

抱き!トントン!

「落ち着いてリリスちゃん!何があったかわからないと私は何も出来ないわ。」

「…うん、あのね。」

リリスはゆっくりと話し始めた。

まず、ラブリーさんが徹夜作業で毛皮パジャマを仕上げ。
次に疲れたから開店まで自室に休んでいた。
リリスが服を陳列して開店の準備が出来たから呼びに行ったら茶色のムキムキのおじさんになったラブリーさんが現れすぐに戻ったけど、いつもより気分が高かった。

そのあとお店が開店して毛皮パジャマを売り終わってお店を閉めた。
そしたら商業ギルドの人が来て、ラブリーさんを本部に連れて行こうとラブリーさんに近付いた。
ムキムキのおじさんになって抵抗しようとしてギルドの人に立ち向かった。
なぜかレヴァンさんがラブリーさんを気絶させ、ラブリーさんはギルドの人に連れて行かれたと…

気分が高くなるのは心当たりがあるけど後はなに?
ラブリーさん捕まることしてたの?

「そうねぇ…商業ギルドに聞いて見ないとわからないわ。」

紹介相手間違えたわね。
どうしようかしら…

「そうねぇ…少し出かけて来るわ。クリスとティーは連れて行くからリリスはお留守番を…」

「私も行く。本当のこと知りたいもん…」

仕方ないか…
私は娘の熱意に負け、商業ギルドの本部にやって来た。
商業ギルド本部はいつも行くサラデナ魔導領ではなくお隣のサマナン魔導領にある。
領の半分は居住区で、もう半分は商業ギルドに関わる建物となっている。

さて、コネを使いますか…ゴソゴソ…

「すいません!ルナールと申しますが、ギルド長のグラダンさんかギルド補佐官のサイメーさんにお会いしたのですが…」

「ルナール様ですね。証明出来る物をお見せ出来ますか?」

私はギルドカードを取り出し受付に見せた。

「!?すぐに確認致します。少々お待ち下さい。」

少しするとグラダンさんとサイメーさんの2人がやって来た。

「お忙しい中すいません。」

「いやいや、ルナールちゃん達なら大歓迎さ!ギルド長室に案内しよう。」

私はリリスの手を繋いでグラダンさんについて行った。

「まずはそちらのお嬢さん方に自己紹介をしないとね。
私は商業ギルド本部のギルド長グラダンだ。」

「私は商業ギルドの物流を管理しているギルド補佐官のサイメーよ。よろしく!」

私達はギルド長室のソファに座ると自己紹介を始めた。
リリス達は初めて会うからね。

「えっと、私はリリスです。ルナお母さんの娘です…」

ふふ、照れちゃて可愛い。

「て!」

「…う!」

「ププ!」

あっ!?ププもついて着てた!

「こっちの金髪のアホ毛の子がキラティアちゃんでこっちの黒茶色の髪の子はクリスちゃんよ。」

「あぁ、キラティアちゃんは出産後に見たからね。大きくなったね。」

あの時ほとんどの神が来ていたからね。
グラダンさんは商いの神で、サイメーさんは配達の女神である。

「それで要件は何かな?」

「ラブリーさんの連行の事を聞きに来ました。」

「一応理由を聞いてもいいかな?」

「リリスちゃんがラブリーさんの弟子でして、連れて行かれた理由を知りたくて来ました。」

「ふむ…ラブリーさんの弟子ねぇ…」



「わかった。教えてあげよう。ただし後悔するんじゃないよ。」

「はい!」

リリスは覚悟を決めたようだ。

「まず、彼女は…
営業許可の更新を10年しなかったため、営業取り消しになった。」

「へ?」

「営業取り消しになっているのに営業したとして、違法営業として立件した。」

「…」

「次に利益の申告忘れ、税金滞納、無資格で違法素材の取り扱いなどだね。最近だと物流規制法に引っかかたわね。」

資料を見せてもらったけど思ったより酷かった。
多分人見知りの性格のせいで役所や商業ギルドに行かず放置していたのね。
無理だわ~!リリスごめんね。

「ラブリー先生はどうなるんですか?」

「そうだねー…営業許可を得るまで営業停止。罰金などは今精査中だが、白金大金貨は行くだろうね。あとは、実刑は…アキレンスさんの管轄だがらなんとも言えないね。」

罰金に関しては王侯貴族のオーダーメイドを請け負っているラブリーさんなら払えると思うけど、実刑は回避は出来ないわね。
減刑を申し立てて争うより、刑を受け入れて刑罰を施行した方が断然早いのよね。

「すいませんが、ラブリーさんに合わせてもらえないでしょうか?」

「…少しだけですよ。」



私達は商業ギルドの違反者留置所の面会室にやって来た。
ガラス越しにはラブリーさんが座っていた。
ちなみにティーとクリスは私の背中で寝ている。

「…ルナールちゃんリリスちゃんごめんなさい。」

「本当になんで申請とか手続きとかしなかったんですか。」

「…つい、うっかり…」

「ラブリー先生のバカ!」

「…ハイ」

「リリスは別の人に弟子入りさせます。いいですね?」

「…ハイ。すいません。」

「お手紙書きます。お元気で…」ぐすん…

「…うわーん…ごめんなさい」

私達は留置所を後にした。

紹介したのは私だからリリスには悪いことをしたわ。
今度はちゃんとした人にしないと…
というかラブリーさんは50年前にも同じことして捕まったのに懲りないのかしら?

「リリスちゃん…力になれなくてごめんね。」

「うん。気にしないで…」

ちなみにラブリーさんのお店は貯め込んでいた資産より滞納金と税金が多かった為にお店の全てを差押えられた。だが、私のアイテムバックやリリスの私物に関しては返って来た。
転移陣はその日のうち消したのでお店を買い取った人が来ることはない。

家に帰宅した私はリリスをそっとすることしか出来なかった。






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