パンドラの花

主道 学

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 私はふたを開けてしまった。
 母には決して開けてはいけないと言われていたけれど、どうしても開けたかったのだ。それは銀紙チェックの少しお洒落な箱だった。

 ホワイトデーに憧れの先輩に貰ったその箱は、恐らく可愛らしいキャンディが入っているはずだ。
 掌に収まるか収まらないかの大きさで、中身は何だろうと二晩は考えに考え、ようやく今日に開けてしまった。

 バレンタインデーには、私の方からチョコレートをたくさん渡した。それはそれは一つずつ可愛らしく包装された雪のようなホワイトチョコだ。

 中身は栞。
「うそ……」
 銀紙チェックが床に落ちた。その箱の中には最近まで本に挟んでいたようなしわしわの栞があった。

 次の日。
 滅多に使わない机に座って栞を見つめ。学校へと登校しようか。どうしようか。と考えていると、友達の加賀りんから携帯電話がかかってきた。
「ゆっこ。飯沼くんが、今朝倒れたって……」
 飯沼くんとは、私の憧れの先輩の名だ。
 加賀りんの隣の家に住んでいた。
 きっと、今朝早くに電話で親同士の会話を聞いたのだろう。

  私は栞を握って、二階から駆けだしといた。
 何度も階段から転げ落ちてしまうほど、何度も壁にぶつかりそうなほど、一階まで走りに走っていた。

 行き先は飯沼くんの家だ。
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