パンドラの花

主道 学

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 川沿いを走っていると、滑って川に転げ落ちそうになる。
  飯沼くんの家に、後五分のところで立ち止まった。飯沼くの家の前には救急車が停まっていた。

 思えば飯沼くんは、先輩なのに私たちより華奢で、みんなから年上なのに飯沼くんと呼ばれていた。

 私の目の前には、担架に横になった飯沼くんの青白い顔が見える。学校では秀才で、いつも成績表が廊下に貼ってあって、バスケの試合でとても人気がでて、でも、今は健康だった飯沼くんの華奢な身体は担架で運ばれようとしていた。

 私は叫んだ。

「私こそありがとう!」
 
 そう、しわしわの栞は花だった。
 
 ピンクのバラで。
 花言葉は感謝だった。

 きっと、母にはわかったのだろう。そのピンクの花の栞にはほんのちょっとの別の花の匂いもしたことを。

 飯沼くんは思い詰めて何かの行動をする前に思い止まったのだろう。
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