終焉の守護騎士

主道 学

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第六章

東方の巨大要塞

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 空を牛耳るブルードラゴンのヘリコプターくらいの高さから、マルガリータの大きな箒はラピス城へ向かって、すっ飛んだ。

「うん?? マルガリータ! 何か橋の近くの森に隠れているぞ? ほら、あれ! あの白いやつ!」

 ラピス城は海に囲まれているが、城と陸を繋げている橋の向こう側には深い森や荒れ果てた草原などがある。その森から、にょっきりと白い物体が伸びていた。

「マルガリータ! まずはあの森へ行ってみよう! 敵かも知れないからあの白い物体を調べてみようよ!」
「わかったわ! 偵察ね!」

 俺たちを乗せた大きな箒は低空飛行で深い森に入った。大きな箒は木々や枝をすいすいと避けながら進むと、森の木々をなぎ倒しながら、ゆっくりと進む巨大で真っ白なピラミッド型の建造物が現れた。巨大なそのピラミッドは、着実にラピス城へ向かっている。
 
 なんだあの白いピラミッドは??
 動力とかはなんだろうな?
 まさか、ガソリンスタンドとかこの世界にもあったりするのかな? 

 と、俺は驚きの眼差しをして、どうでもいいことを考えていた。

「うーん……厄介な……。……鬼窪くん。あれはクシナ要塞よ」
「あれがクシナ要塞か?!」

 俺たちを乗せた大きな箒が白いピラミッドに近づくと、突然。まっさらな壁面の一部がいくつも開いて、中から大砲がでてきた。そして、こちらに向かって砲撃してきた。

「う、うわ!!」
「きゃーーー!」

  マルガリータは箒に「避けて!」と叫んで砲弾を緊急回避していく。

 ひええええ!
 あんなの。どうしろっていうんだ?!
 俺は近づくこともできないので、とりあえずよく観察することにした。

 クシナ要塞は少し地面から浮いている。
 そのせいか前進する動きはひどくゆっくりだった。

 だが、このままクシナ要塞がラピス城まで進んでいって、衝突でもすればラピス城は木っ端微塵になるだろう。当然、俺たちの負けだ。

「一か八か。あのクシナ要塞を私の魔法で食いとめてみる! それが駄目ならブルードラゴンのところへ戻って、ヒッツガル師匠に頼んでみるわ! あ、そうそう。ブルードラゴンのサファイアブレスもあるわね。なんとかなると思う。鬼窪くんは地上へ一旦降りるから、急いでラピス城へ向かって! クシナ要塞の騎士たちが橋をもう攻撃してたから、一刻を争うかも知れないわ……ソーニャさまとガーネットたちが心配なの」

「任せろ!! 地上は俺が守る!」

 俺は大きな箒から地に着地すると、森の中をラピス城へ向かって駆け出した。枝や葉が盗賊衣装に絡まるが、全速力だ。けれども、森を抜け切ろうとしたところで、クシナ要塞からの騎士団と出くわしてしまった。どうやら、駐屯地のようなものが近くにあるようだ。

 20人くらいの騎士団はさっきまで鎧を脱いでいたかのように、鎧の一部を着《つ》けたりしているからだ。まるで、寝起きのような仕草に……。

「ラッキー! 隙だらけーー!」

 俺は騎士団のど真ん中に飛び込んだ。
 神聖剣で鎧を着けていない箇所を狙って三、四、五人と続いて斬り込んでいく。一人。騎士団長らしい男だけは、鎧を完璧に装着し剣を構えていた。

「まだここにもいたのか! おのれ黒の骸盗賊団めーー! これ以上、手こずらせるなーー!」
「へ??」

 騎士団長は上段から剣を振り落とした。
 俺は素早く回避すると、兜と鎧の隙間に髑髏のナイフを投げつけた。
 だが、騎士団長の動きは俊敏だった。
 すぐに剣で髑髏のナイフをはじき返してしまった。
 
「うっ!」

 
 俺は神聖剣を構え直し、正眼に構える。

 誤算かな?
 このまま戦いが長引くとクシナ要塞の騎士の援軍とかが増えてしまうかな?
 
 うーん……。

 その時、薄暗い森の中から一本の矢が飛んできた。
 慌てて避けるも俺の腕に突き刺さってしまった。

「痛ってーー!」

 髑髏のナイフは投げてしまったし、どこから弓を射っているのかもわからない。早くにラピス城へ行かないといけないのに……。


 俺の腕から血が滴り落ちる。
 援護射撃はまだ続いていた。

 飛んでくる矢を神聖剣で弾くと、今度は騎士団長が斬りかかる。
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