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外伝 リュークとエリザヴェータ
女3人が集まれば
しおりを挟むエリザヴェータが再び留学する為旅立つ直前まで話は遡る。
「ねえシグネ聞いてよ。馬鹿なヒルベルトがまた収納かばんを壊しちゃったって。」
「またですか?もう予備はないと聞いていますが、今後はどうするつもりなのでしょうね。」
「あれは本当に勇者なのですか?いつも女性を所望し、任務から帰還しては女性は皆何も言わずに去って行く。イディオといい、一体何をしたのでしょう。」
シグネ、そしてロゼの2人はエリザヴェータの準備に大忙し。
しかし本当の事を知るのはエリザヴェータのみであり、若干の申し訳なさを感じつつエリザヴェータは、
「皇帝陛下であるお父さまはそろそろ本格的な調査をすると言ってらっしゃったわ。私が旅立った後、何か動きがあると思うのよね。」
「そうなのですか?まさか・・・・私に命令はないでしょうね?」
心配するシグネ。
「それはないわ。シグネは私と一緒に来てもらいますから。」
「ではいよいよ私ですか?何かあれば剣の錆に・・・・」
「兄さまと宜しい関係のロゼでは警戒されるでしょうね。」
「そ、それは・・・・仕方がないではありませんか!」
「仕方がないってロゼさん、貴女皇太子さまに色々と色々な時、とてもここでは言い表せないような、つまり女の顔をしているって事に気が付いていらっしゃらないのですか?」
「え?それはどう言う事かしらシグネ!」
女3人が集まれば真面目な話からこうした事へと話は簡単に流れてしまう。
「もう城内で知らぬ者はおりませんわ。エリザベート様辺りがどう仰る事やら。」
「う、うぐ・・・・そ、それよりも姫!件のリューク殿はどうされました?」
「リュ、リュークさんが何かあったかしら?」
「隠しても無駄ですよ姫。姫がリュークさんの事をそれはもう大好き過ぎてどうにかなってしまいそうな事を知らぬ者はおりませんし。」
「・・・・後で覚えてらっしゃいロゼ。それよりシグネ、貴女はそう言った話を聞かないけれど、誰か想い人や意中の殿方は居ないのかしら。」
「そ、そんなの知りません!」
その後エリザヴェータとロゼは徹底的にシグネを追求したのだったが、シグネにそういった何かがあったのかは・・・・3人だけの秘密。
・・・・
・・・
・・
・
エリザヴェータとシグネはロゼを護衛に旅立った。
そして最初の宿で、エリザヴェータは2人に秘密の任務を打ち明ける。
「ま、まさかそれは・・・・しかしあり得ますね。勇者パーティーに所属した女性は全員戻ってから人が変わってしまい、その後人知れず去っていますから。」
どうやらシグネは勇者パーティーに対し疑問に思っていたようだ。
「しかし危険ではありませんか!万が一別人に成りすましていたのが発覚すれば、今度は姫様の身に・・・・」
「ロゼ、それはあり得ません。ヒルベルトが万が一私の正体を知ってそれでも手を出せば、流石の父上もヒルベルトの首を刎ねるでしょう。」
「しかし、そんなに分からないものでしょうか?」
「シグネ、今から姿を変えます。姿だけではなく、臭いや気配まで変わる優れものですからね。」
こうしてエリザヴェータは認識阻害の腕輪を2人の前で装着した。
するとそこにはエリザヴェータとは似ても似つかぬ、若干ふくよかになった、何処にでも居るような平凡な顔つきの女性がいた。
「話には聞いていましたが信じられんせん!確かにこれでは分からないでしょう。」
「そうでしょ。私はこの後城へ戻り、レーツェルという名の宮廷魔術師見習いとして勇者パーティーに加わり、ヒルベルトとイディオの素行調査をします。」
こうしてエリザヴェータ改めレーツェルは2人にはそのままエリザヴェータと共に留学しに行ったと装ってもらい、1人密かに城へ戻ったのだった。
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