やさしいキスの見つけ方

神室さち

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キス xxxx

9-1 卒業

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「んっ……も……ダメだって……ばっ!」
 第二ボタンから下は全て外されて、難なく背中に回ってきた大きな手がブラのフォックを外してしまう。
「っひんっ……」
 両手が拘束力を失ったブラの下から侵入する。柔らかい動きで撫でるように揉まれて、硬くなりかけた先端をつままれて、夏清が悲鳴を上げる。シャツの中に入ってきた井名里の頭。吐息がかかる場所が熱い。無駄なものがない背中に、何度も降りてくるキスにまで反応して、びくびくと体が反り返る。
「こんなトコでっ!! 人が来たらどうするのよぅ…んっ」
 声を潜めながら、けれど明確に抗議する。したところで、止まるわけがないことなど分かってはいるのだが。
 そのとおりで、全く意に介していないのだろう、片手がわき腹を抜けて、スカートをめくり上げている。
「いや、一回したかったんだよ、ココで」
「だからって今じゃなくていいじゃない」
 うつ伏せに乗せられた教卓の上で肘をつきながら、夏清が首を後ろにめぐらせる。
「今でなきゃいつやるよ? あと二時間もしないうちに卒業式だろうが」
「だからってねぇ!! っん! やめっ」
 ショーツの中に入ってきた指が柔らかい部分に埋まって動く。片足は教壇につくが、もう片方は床まで数センチのところでつかない。宙ぶらりんになった片足をばたばたと動かしても後ろからのしかかられては身動きできる範囲などタカが知れてしまう。
「もう充分したじゃないっ! 数学準備室とかっ! 屋上とか……」
「でも教室はないだろ?」
「当たり前でしょう!?」
 黒板には、下級生が施した卒業を祝う言葉が書かれている。
 朝。
 答辞を読むため、その最終確認とリハーサルをしなくてはならないので、他の卒業生は九時集合のところを、七時半に学校に着くために夏清は七時前に出かけるつもりでいた。
 井名里のほうは当然いつもどおり、八時半までに学校へついていればいいはずなのに、出かけようとした夏清を五分待たせて車に乗せて一緒に登校してしまった。
「昨日帰り遅かったからできなかったし」
 どこに行っていたのか、遅くなるから先に寝ていろというメールをよこしたまま、本当に午前を回っても井名里は帰ってこなかったのだ。
「や……もう、こんなトコでしたがるヒトなんか、先生以外いないよ絶対」
「いいだろ? 最後なんだから」
「最後って……んんっ」
「最後だろ? もうお前は絶対ココにはこないんだから、最後にやっとかなきゃ損だって」
 指の動きだけでしっかりと潤ったそこから指を抜いて、ショーツを引き下ろし、邪魔になっているグレーのスカートを腰の上に上げる。
「いやぁん」
「あ、コラ降りるな」
「そっちこそ別にスカートめくり上げなくてもいいじゃないっ」
 ショーツをつけていても見られたら恥ずかしい場所を剥き出しにされ、空気に肌を撫でられて夏清が身を捩って床に立つ。
「視覚効果だろうが」
「そんな変な効果いらなっ!!」
 思わず声が大きくなった夏清の唇に、井名里が噛み付くようなキスをする。
「声でかい」
「………」
 向かい合ったのを幸いに、また胸に両手がかぶさる。
「んっふ……」
「夏清、顔上げて」
 俯いて声を飲み込もうとする夏清に井名里がささやく。首を振って拒否する夏清の顔を身をかがめて覗き込んで、キスをしながら徐々に上を向かせる。
「ん」
 乳房をもてあそびながらキスを繰り返す。絡む舌と、ちゅくちゅくという柔らかくて粘着質な音が耳の奥で響く。
「ふぁ」
 ほんの少し唇を離す。追うように小さく出た舌で舐めれば届くほどの距離。
「俺、両手塞がってるから夏清がだして」
 抗議を受ける前に唇を重ねる。塞がっている両手は、柔らかい胸をまさぐってこねまわし、先端をつつく。
 口で抗議できないので、腕でしばらく抵抗を示していた夏清が観念したように手探りでベルトに手をかけて外す。
 早く終わらないと、本当に人が来てしまうかもしれない。
 ファスナーを降ろせばベルトの重みで勝手にスラックスの前が開いてしまう。カッターを引きずり出して、なるべく何も考えないようにしてトランクスの中に手を伸ばして、それを出す。
「前と後ろとどっちがいい?」
「………まえでいい」
「なら横から」
「やだっ横ってめちゃめちゃ奥まで来るからっ! ちょっ!? 聞いてよ」
 教壇の前の席を足で押して繋げた上に押し倒される。腰から下を無理やりひねられてしっかりと片足を上に拘束される。
「さすがに後始末困るからな」
 いいながらポケットからコンドームを取り出していつものように端を咥えて袋を破り、片手で器用につけている。
「あっ! そんなものいつから用意してっくぅ!! ……やんっ」
 熱いものがあたったと思った瞬間、それがナカへ挿って来る。体を戻そうとしても片足は掴まれているし、下の脚は挟まれていて全く動けない。
「んんっだめだよっズボン汚れるっ」
「ヘーキ。この後礼服に着替えるから」
 汚れることを理由にやめさせようとした目論見はあっさり崩れる。
 突き上げられて体が揺れる。どんなにしっかり掴まっていても、不安定な机の上では、余計揺れているような気がする。深く奥まで挿って来てはグラインドする動きに、出る声を唇をかみ締めて殺す。
 中途半端にはだけた制服から、ずり上げられたブラとその下にある乳房。平らな腹にかぶさるスカート。無理やりこじ開けるように開かされた脚。その付け根でうごめく自分。
「あー……ヤバ。もうダメだ」
 間隔の短い息を漏らしているのはお互い同じだが、どうにもできすぎた『視覚効果』とナカの心地よさに、めまいがしそうだ。
 持ち上げた足のひざまである紺のハイソックスに指をかけて引き摺り下ろす。滑らかなふくらはぎに音を立ててキスをして、紅い印をつけていく。蜜にまみれたその場所に指を這わせて敏感な肉芽を探し出す。
「あっ!! んっふ……ぁんっだめっいっ」
 井名里のリズムに合わせて動いていた夏清の腰が、勝手にわななくように違う動きを取る。ダイレクトにナカがざわめいて思わず腰を止めそうになるのをわざと動きを早める。
「いい?」
 夏清が頷く。
「イきそう?」
「……もぅ入ってきたときからくらくらしたのにっそこ触るの反則っ!!」
 うっすらと涙を目じりにためて、夏清がかすれた声で叫ぶ。
「いや、いつもより声出さないから」
「がっまん……してるのっ!! ふぁっ……んっ……」
 ひねりあげられるように触られて、夏清の腰が跳ね上がる。
「せんっ……じゃなくてっ……」
「いいよ。ここでそう呼ばれるのも最後だし、先生で」
 逃げかけた腰が引き戻される。
「あっん」
 深く、最奥に届く。
 そのまま奥を突き上げるように何度も押し上げられるような感覚。
「や……もう、せんせ、それ……だめ」
 言われなくても、ナカが言葉よりも素直に絶頂のときが近いことを告げる。
 喘ぐように半分開いた唇に夏清が無意識に舌を這わせる。
 その映像だけで三回くらい大丈夫かもしれない。
 本能が全開になって、何も考えずに腰を振る。濡れた紅い唇からこぼれるのは短い悲鳴。
「いっ……イっちゃう……っくっ!! っあん!!」
 細い腰が反りあがる。密着するように押し付けられた繋がった部分から、最後に卑猥な音が撒き散らされた。
 



「どうした?」
「オナカひりひりする。赤くなってるよ」
 シャツのボタンを留めながら、最初に教卓に押し付けられたとき擦れた腹部をさすって夏清がつぶやく。
「どれ?」
「見なくていいっ!」
 せっかくスカートの中に入れたシャツをまた引っ張り出されそうになった夏清が伸びてきた井名里の手を叩く。
 身支度の時間は当然井名里のほうが短い。服を調えて曲がったリボンタイを結びなおしながら夏清がため息をつく。
「なんだかどうにも、自己嫌悪が……こんなトコで……」
「イったことが?」
「やったことがっ!!」
 乱れた髪を手で撫でていた夏清が半泣きのような顔で反論する。
「もうホントに、私まだ合格の報告とか、卒業式が終わっても学校に来なくちゃならないのよ?」
「そんなもん別に来なくていいって。どうせ俺には分るんだし」
「いやよ。私が来たいの」
 机の位置を戻している井名里の背中に夏清が抗議する。
「………じゃあまたやるか」
「やらないっ! じゃあ来ない!!」
 もうこの人と話すのヤダと夏清が地団駄を踏む。
「それならやっぱり最後だろ? コレでおしまい。夏清はもうここには来ない。ここで逢うのは……学校で逢うのは今日が最後」
 だろう? と振り向いた井名里が笑う。
「着替えてくる。お前も早く学年主任のところに行けよ」
 顎を捕らえられて、掠めるようなキスをされる。
 さっさと教室から出て行く井名里の背中を先ほどよりもさらに大きなため息をついて、夏清が見送った。



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