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入れ替わりは突然に。
火事場泥棒みたいなことはちょっと。
しおりを挟む「荷物まとめるにしてもなぁ……いざとなると人のものを勝手に持っていくってどうなのかしらね」
リリアーネのものを根こそぎ持っていくってのも選択肢としてあるけれど、自分のモノじゃないものを強欲にせしめるのは、自称善良な庶民としてはどうにも踏み切れない。
お金になりそうな高価なものがあれば、今後の役には立つのだろうけど。
でも、必要そうなものは最低限、お借りしていきますねー
入れ替わっても『公爵家のものしか使えないカバン』を開けられるか、ドキドキしながら開けてみたら、難なく開いた。
なんだろう。生体認証? 血脈認証? 魔法は時々よくわからないミラクルを起こすよね。
荷造りを手伝うと申し出てくれたダーリアに、ガッチガチのコルセットを緩めるのみやってもらって、自分の荷物をまとめるように言って部屋から出す。
サクっと一人になったところで、まず手紙をカバンにしまって、めちゃくちゃ広いウォークインクローゼットで見つけた動きやすいドレスに着替える。
うん、目がつぶれそうなくらいキラッキラしたドレス、靴、アクセサリー。この部屋のものだけで平民ならひと家族三百年くらい裕福に暮らせそう。
そんな中から比較的おとなしめで動きやすそうなドレスを五枚ほど。
靴も同じく、ゴテゴテしてない歩きやすそうなものを。
下着は全部新品なんだけど、なにこれ。公爵令嬢様は一回履いたパンツははかないのか?
……半分くらいは貰ってもいいかな。ひと月分くらいあるけど。あ、乗馬服と靴発見。これは動きやすそうだからあったほうがいい。
アクセサリーのエリアには、髪飾りやネックレスと言ったものから、リリアーネがいつも持ってた扇が沢山あった。同じように見えたけど並べてみたら少しずつデザインが違う。ざっと見ただけで半年分ほど扇があるんだけど、こんなに必要なのかしら。
うん、これからはいらないわ。置いていこう。
そんな感じで選びつつぶっこんでいたら、リリアーネのクローゼットにもオカアサマからもらったのと同じようなカバンが出てきた。
しかもこちらにも拡張の魔法がかかっている。空間魔法って確か、四元素操れないと作れない超レアアイテムなのに公爵家ってほんとにお金持ち。
リリアーネの私物の方は容量はあまりなさそうだけどこっちも持っていこう。
本棚の本もとりあえず。馬車旅の暇つぶしくらいにはなるだろう。カバンの中を確認したら、頭の中に目録が出た! なんて便利。
オカアサマが渡してくれたカバンには、先に石鹸や化粧品、宝石なんかが入っていた。リリアーネの部屋の置いてあるのはこっちで見つけたカバンに入れなおしておこう。
リリアーネの拡張されたカバンは、反発することなくオカアサマの拡張されたカバンに入ってくれた。
タオルもあったほうがいいよね。リネンも何かの時に役に立ちそうなので数枚頂く。
結局、長旅に使えそうなのは乗馬用と思われる動きやすいブーツだけのようなので、またカバンから出して履き替えたら準備完了。ちょうどいいタイミングでダーリアが帰ってきたので一応聞いておく。
「ダーリアは本当にいいの? 私と一緒に辺境に行くの」
「はい。わたくしが奥様より賜っているのはお嬢様をお送りすることだけですので」
……あ、御者と一緒にサクっと帰るってことですね。なるほどあっさりした荷物だ。
ダーリアの方は、普通のトランクに自分の荷物をまとめていたようだ。
「準備できたのなら行きましょう。裏口に案内して」
だって入れ替わりがバレて連れ戻されたりしたらコトだもの! さっさと逃げ出さないと!
応援ありがとうございます!
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