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14.自分の気持ち
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「ミア、何もされてないか?」
ルーカスは抱きしめている腕を緩めると、私の頬を両手で包むように触れ、心配そうな瞳で顔を覗き込んできた。
その瞳は本気で心配しているように見えた。
彼は髪型を変えたようで、今でははっきりとその素顔を確認することができる。
だから、私は普段以上にドキドキしているのかもしれない。
「顔に吹きかけられたのは魅了の香水と言ってましたが、私には効果がなかったみたいです」
彼に瞳の奥をじっと覗き込まれて、先ほどから私の鼓動はドクドクと揺れている。
目を逸らしたいのに吸い込まれてしまいそうで、それは叶わない。
「魅了の……? 顔が赤いのはそのせいか」
「ちっ、違いますっ! 多分、これは違うと思います」
私の顔が赤く染まっていることに気づくと、ルーカスは僅かに目を細めた。
慌てるように私は否定した。理由は自分が良く分かっている。
(これは、ルーカス様の顔が近いからっ……)
私の顔が火照っているのは、あの香水のせいなんかじゃない。
ルーカスとの距離が近くて、私が勝手にドキドキしているだけだ。
けれど言葉に出してそんな説明をするは恥ずかしい。
「とりあえず、ソファーに座ろうか。ミアが落ち着けるようにお茶を淹れるから、少し座って待っていてくれるか?」
「あ、ありがとうございますっ。でも、授業がそろそろ……」
ルーカスに促されるように私はソファーへと座った。
「こんなことがあった後だし、ミアだって教室に戻ってあの男と顔を合わせたくはないだろう?」
「……はい」
私が曇った顔をすると、ルーカスは私の傍に近付いて来て頭を優しく撫でてくれた。
「ミアはなにも心配することなんてないからな。今はなにも考えず、ゆっくりしていたらいいよ」
「ルーカス様……」
ルーカスの優しい言葉を聞くと、心に残っていた緊張も徐々に緩んでいくようだ。
同時に、じわっと目元が熱くなっていくのを感じる。
私は自分が泣いてることに気づくと、慌てて指で涙を拭った。
「ミア、そんなに擦ったら目が腫れてしまうよ。可愛い顔が台無しになるぞ?」
「えっ? ……っ!」
ルーカスは困った顔で呟くと、私の手首を優しく掴んで目を擦るのをやめさせた。
そして暫くすると、ルーカスの顔が迫ってきて、私の瞼にそっと口づけ、目尻に溜まっていた涙を舌で舐めとった。
「さすがに、涙はしょっぱいな」
「……っ」
突然のことに動揺してしまうが、今のルーカスの言葉がおかしくてクスクスと小さく笑ってしまった。
「涙は止まったようだな」
「……あ、ほんとだ」
私はその言葉を聞いてぽつりと小さく呟いた。
「ミアはそこで待っていて、今お茶の準備をするから」
ルーカスは私の額にちゅっと音を立てて優しく口づけると、ソファーから立ち上がった。
「そんなに切なそうな顔をして、また抱きしめて欲しいのか?」
「……え? あ……、ち、違っ……!」
私は無意識でそんな顔をルーカスに向けていたことに気づき、慌てて言い返した。
焦った私の姿を見て、ルーカスは「寂しがるミアも可愛いよ」と笑っていた。
私は恥ずかしくなり、俯いた。
(……どうしよう。私、ルーカス様のこと好きになちゃったのかも……)
ルーカスは抱きしめている腕を緩めると、私の頬を両手で包むように触れ、心配そうな瞳で顔を覗き込んできた。
その瞳は本気で心配しているように見えた。
彼は髪型を変えたようで、今でははっきりとその素顔を確認することができる。
だから、私は普段以上にドキドキしているのかもしれない。
「顔に吹きかけられたのは魅了の香水と言ってましたが、私には効果がなかったみたいです」
彼に瞳の奥をじっと覗き込まれて、先ほどから私の鼓動はドクドクと揺れている。
目を逸らしたいのに吸い込まれてしまいそうで、それは叶わない。
「魅了の……? 顔が赤いのはそのせいか」
「ちっ、違いますっ! 多分、これは違うと思います」
私の顔が赤く染まっていることに気づくと、ルーカスは僅かに目を細めた。
慌てるように私は否定した。理由は自分が良く分かっている。
(これは、ルーカス様の顔が近いからっ……)
私の顔が火照っているのは、あの香水のせいなんかじゃない。
ルーカスとの距離が近くて、私が勝手にドキドキしているだけだ。
けれど言葉に出してそんな説明をするは恥ずかしい。
「とりあえず、ソファーに座ろうか。ミアが落ち着けるようにお茶を淹れるから、少し座って待っていてくれるか?」
「あ、ありがとうございますっ。でも、授業がそろそろ……」
ルーカスに促されるように私はソファーへと座った。
「こんなことがあった後だし、ミアだって教室に戻ってあの男と顔を合わせたくはないだろう?」
「……はい」
私が曇った顔をすると、ルーカスは私の傍に近付いて来て頭を優しく撫でてくれた。
「ミアはなにも心配することなんてないからな。今はなにも考えず、ゆっくりしていたらいいよ」
「ルーカス様……」
ルーカスの優しい言葉を聞くと、心に残っていた緊張も徐々に緩んでいくようだ。
同時に、じわっと目元が熱くなっていくのを感じる。
私は自分が泣いてることに気づくと、慌てて指で涙を拭った。
「ミア、そんなに擦ったら目が腫れてしまうよ。可愛い顔が台無しになるぞ?」
「えっ? ……っ!」
ルーカスは困った顔で呟くと、私の手首を優しく掴んで目を擦るのをやめさせた。
そして暫くすると、ルーカスの顔が迫ってきて、私の瞼にそっと口づけ、目尻に溜まっていた涙を舌で舐めとった。
「さすがに、涙はしょっぱいな」
「……っ」
突然のことに動揺してしまうが、今のルーカスの言葉がおかしくてクスクスと小さく笑ってしまった。
「涙は止まったようだな」
「……あ、ほんとだ」
私はその言葉を聞いてぽつりと小さく呟いた。
「ミアはそこで待っていて、今お茶の準備をするから」
ルーカスは私の額にちゅっと音を立てて優しく口づけると、ソファーから立ち上がった。
「そんなに切なそうな顔をして、また抱きしめて欲しいのか?」
「……え? あ……、ち、違っ……!」
私は無意識でそんな顔をルーカスに向けていたことに気づき、慌てて言い返した。
焦った私の姿を見て、ルーカスは「寂しがるミアも可愛いよ」と笑っていた。
私は恥ずかしくなり、俯いた。
(……どうしよう。私、ルーカス様のこと好きになちゃったのかも……)
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