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8.突然の提案
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「ところでフィーは、今日何か予定はある?」
「え? 特には、ありませんけど」
不意に話題を変えられ、私は困惑した様子で答える。
「それは良かった。朝食後に、僕と一緒に王都に行かない? 学園時代は大分真面目に過ごしていたようだから、今日は羽目を外してもいいよ」
彼の言っている通り学園時代、常に上位をキープするために私は帰宅後予習を欠かさなかった。
私は天才ではない。
努力をして手に入れたものだけど、苦痛に感じることはなかった。
良い成績を収めれば両親に褒めてもらえたし、予習をしているとルシエルが教えに来てくれる機会がそれなりにあったから。
(王都か。私には友人なんて呼べる存在はいないから、行く機会もそんなになかったな)
私が王都を訪れるのは、必要なものを買いに行くときだけだった気がする。
「フィー、聞いてる?」
「は、はいっ!」
突然、ルシエルの足がぴたりと止まり、顔を近づけられると私は慌てるように答えた。
私の返答を聞いて、彼はにっこりと微笑む。
「いいお返事だね。じゃあ決まりってことでいいかな」
「え!? 私、まだ行くなんて……」
勝手に話を進められて、私は戸惑った口調で言い返そうとする。
すると彼の人差し指が私の唇に押し付けられ、言葉が止まった。
「予定はないってさっき言ってたよね。僕の話を無視したのだから、当然付き合ってもらうよ」
「……っ!!」
強引に決められてしまい、私は困惑していた。
しかし、彼と王都に行くことは嫌ではないし、どちらかといえば嬉しい気持ちのほうが強い。
「フィーの卒業祝いも兼ねて、今日は沢山楽しもう。最高のデートにするつもりだから、楽しみにしていてね」
「デート……?」
彼の口から出た思いも寄らない言葉が理解出来てくると、私の頬はみるみるうちに沸騰していく。
顔だけではなく、全身が火照っているような気さえする。
「フィーはデートって言っただけで、そんなに顔を真っ赤にさせてしまうの? ああ、可愛すぎるだろう。こんな顔をしているくらいだから、嫌ではないよね」
「……はいっ」
答えるのが若干恥ずかしかったが、否定する気は起きなかった。
それ以上に、ルシエルと王都でデートをすることが嬉しかったから。
(どうしよう、どうしようっ!! デートだって……!! うそ、みたい……)
私は心の中で驚くほどに興奮していた。
当然、そんなことを口に出すことは恥ずかしくて出来ないが、気持ちを抑えられないくらい今の私は浮かれている。
「ふふっ、フィーは素直でいい子だね。今日はデートなんだから、王都に着いたら恋人のように接するよ」
「え!? それは困りますっ!」
「大丈夫。周りは僕達を見ても仲の良い兄妹のようにしか思わないよ」
「そうかな……」
私が不安そうに呟くと、ルシエルは「そうだよ」と明るい声で答えた。
彼の言葉は信用ならないけど、周囲の人間は私達の存在をわざわざ気になんてしないだろう。
そう思うと、少しだけ気持ちが楽になる。
(考え過ぎるのが私の悪い癖、なのよね。今日は余計なことは考えずに、思いっきり楽しんでみよう……!)
ルシエルと王都に行く機会は滅多にないことだし、先程彼は卒業祝いだと言っていた。
それならば、少しくらい羽目を外してはしゃいだとしても許してもらえるだろう。
「え? 特には、ありませんけど」
不意に話題を変えられ、私は困惑した様子で答える。
「それは良かった。朝食後に、僕と一緒に王都に行かない? 学園時代は大分真面目に過ごしていたようだから、今日は羽目を外してもいいよ」
彼の言っている通り学園時代、常に上位をキープするために私は帰宅後予習を欠かさなかった。
私は天才ではない。
努力をして手に入れたものだけど、苦痛に感じることはなかった。
良い成績を収めれば両親に褒めてもらえたし、予習をしているとルシエルが教えに来てくれる機会がそれなりにあったから。
(王都か。私には友人なんて呼べる存在はいないから、行く機会もそんなになかったな)
私が王都を訪れるのは、必要なものを買いに行くときだけだった気がする。
「フィー、聞いてる?」
「は、はいっ!」
突然、ルシエルの足がぴたりと止まり、顔を近づけられると私は慌てるように答えた。
私の返答を聞いて、彼はにっこりと微笑む。
「いいお返事だね。じゃあ決まりってことでいいかな」
「え!? 私、まだ行くなんて……」
勝手に話を進められて、私は戸惑った口調で言い返そうとする。
すると彼の人差し指が私の唇に押し付けられ、言葉が止まった。
「予定はないってさっき言ってたよね。僕の話を無視したのだから、当然付き合ってもらうよ」
「……っ!!」
強引に決められてしまい、私は困惑していた。
しかし、彼と王都に行くことは嫌ではないし、どちらかといえば嬉しい気持ちのほうが強い。
「フィーの卒業祝いも兼ねて、今日は沢山楽しもう。最高のデートにするつもりだから、楽しみにしていてね」
「デート……?」
彼の口から出た思いも寄らない言葉が理解出来てくると、私の頬はみるみるうちに沸騰していく。
顔だけではなく、全身が火照っているような気さえする。
「フィーはデートって言っただけで、そんなに顔を真っ赤にさせてしまうの? ああ、可愛すぎるだろう。こんな顔をしているくらいだから、嫌ではないよね」
「……はいっ」
答えるのが若干恥ずかしかったが、否定する気は起きなかった。
それ以上に、ルシエルと王都でデートをすることが嬉しかったから。
(どうしよう、どうしようっ!! デートだって……!! うそ、みたい……)
私は心の中で驚くほどに興奮していた。
当然、そんなことを口に出すことは恥ずかしくて出来ないが、気持ちを抑えられないくらい今の私は浮かれている。
「ふふっ、フィーは素直でいい子だね。今日はデートなんだから、王都に着いたら恋人のように接するよ」
「え!? それは困りますっ!」
「大丈夫。周りは僕達を見ても仲の良い兄妹のようにしか思わないよ」
「そうかな……」
私が不安そうに呟くと、ルシエルは「そうだよ」と明るい声で答えた。
彼の言葉は信用ならないけど、周囲の人間は私達の存在をわざわざ気になんてしないだろう。
そう思うと、少しだけ気持ちが楽になる。
(考え過ぎるのが私の悪い癖、なのよね。今日は余計なことは考えずに、思いっきり楽しんでみよう……!)
ルシエルと王都に行く機会は滅多にないことだし、先程彼は卒業祝いだと言っていた。
それならば、少しくらい羽目を外してはしゃいだとしても許してもらえるだろう。
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