13 / 28
13.カフェに行く②
しおりを挟む
料理が届くまでの間、私は普段のようにルシエルとお喋りをしていた。
少し関係は変わったかもしれないが、私達はもう十年以上傍にいる。
そのため、ぎくしゃくするようなこともなく、楽しく会話をすることが出来ていた。
(やっぱり、お兄様と過ごす時間は楽しいな)
私がそんなことを考えて幸福感に浸っていると、注文したお菓子が次々に運ばれてきて、テーブルの上が一気に賑やかになる。
「すごい……」
「気に入ってもらえたかな?」
ケーキスタンドの上には可愛らしくデコレーションされた一口サイズのお菓子が綺麗に並んでいる。
カラフルな色のマカロンに、花柄の形をしたクッキー、フルーツをふんだんに使ったタルトなど、見ているだけで幸せな気持ちになってしまうものばかりだ。
「はいっ! どれもすごく可愛い……。食べるのが勿体ないくらいです! お兄様、こんなに素敵なところに私を連れてきてくれてありがとうございますっ!」
私は瞳をキラキラと輝かせ、満面の笑みを浮かべながら感動していた。
そんな私の今の顔を見て、ルシエルも満足そうな表情を浮かべている。
「礼を言うのは僕のほうだよ。フィーの最高の笑顔を見ることが出来たからね。フィーの心を掴めたということは、僕の作戦は成功ってことかな」
「作戦?」
私が不思議そうに首を傾かせると、彼は僅かに口端を上げる。
「フィーの心を僕に向かせる作戦のことだよ。宝石よりもお菓子のほうが数倍嬉しそうだね。まあ、予想はしていたけど」
「……っ!」
ルシエルはクスクスと可笑しそうに笑っていて、私は一人恥ずかしくなっていた。
「また顔が真っ赤だ。本当にフィーは素直で可愛くて、その全てを独占したくなる」
先程まで楽しそうな顔を浮かべていたルシエルの表情からはいつの間にが笑顔が消え、真っ直ぐな鋭い視線をこちらに向けていた。
私の心臓はドキッと飛び跳ね戸惑ってしまうが、視線を逸らすことが出来ない。
「独占って……」
「そのままの意味だよ。フィーの全てを奪ってしまいたい。そうするまで、僕は安心出来そうにないからね」
私が困惑した顔で答えると、ルシエルはそのままの表情でスラスラと答えていく。
そして付け足すように「全てというのは、フィーの心も体も僕のものにしたいって意味だよ」とわざわざ説明までしてくれた。
しかし、その発言のせいでさらに私は追い込まれ、頬は熱に包まれていく。
「意識はしてくれているようだね。嬉しいよ」
「……っ」
彼は僅かに目を細めて、どこか満足そうに呟く。
そして昨晩のように、私の唇に指先を添えると輪郭をなぞるように撫で始めた。
「やっ、こんなところでっ……」
「大丈夫だよ。ここは個室だし、僕達しかいない」
私は慌てて顔を横に傾けると、急にルシエルは身を寄せてきて耳元にキスを落としてきた。
その感覚にぞくりと体を震わせると、私は慌てて彼から離れようとする。
椅子の上で体を反らしすぎたせいでバランスを崩し、ふわっと視界が揺れた。
「危なっ!」
「……っ!!」
私が椅子から転げ落ちるよりも前に、彼の腕が私を支え引き寄せられた。
気付けば私はルシエルの腕の中で抱きしめられている。
「今のは僕が悪かったね。ごめん。だけど、心臓が止まるかと思った」
「わ、私もですっ! ごめんなさい……。あの、もう大丈夫なので離してください」
私は慌てて彼の胸を押し返そうとするが、ルシエルの腕が緩むことはない。
(こんな場所で、だめ……! 心臓が止まりそうなのは私のほうですっ!)
「お兄様、そろそろ離してくださいっ! 折角のお菓子が……」
「そうだったね。今フィーの気を一番掴んでいるのは、このお菓子か。妬けるな」
ルシエルは残念そうにため息を漏らすと、あっさりと私のことを解放してくれた。
「お菓子に嫉妬って……」
私が困った顔で答えると、彼は「良いことを思いついた」と言ってきたのだが、私には嫌な予感しかしなかった。
「僕が食べさせてあげる。そうしたらお互い楽しめそうだ」
「えっ……、結構ですっ!」
予想通りの展開になり、私は慌てて否定する。
「さっきも言ったけど、ここには僕達しかいない。ということは、フィーの照れている姿を見るのは僕だけになる。フィーは美味しいお菓子を食べられるし、僕もフィーを独占することが出来る。最高じゃないか」
少し関係は変わったかもしれないが、私達はもう十年以上傍にいる。
そのため、ぎくしゃくするようなこともなく、楽しく会話をすることが出来ていた。
(やっぱり、お兄様と過ごす時間は楽しいな)
私がそんなことを考えて幸福感に浸っていると、注文したお菓子が次々に運ばれてきて、テーブルの上が一気に賑やかになる。
「すごい……」
「気に入ってもらえたかな?」
ケーキスタンドの上には可愛らしくデコレーションされた一口サイズのお菓子が綺麗に並んでいる。
カラフルな色のマカロンに、花柄の形をしたクッキー、フルーツをふんだんに使ったタルトなど、見ているだけで幸せな気持ちになってしまうものばかりだ。
「はいっ! どれもすごく可愛い……。食べるのが勿体ないくらいです! お兄様、こんなに素敵なところに私を連れてきてくれてありがとうございますっ!」
私は瞳をキラキラと輝かせ、満面の笑みを浮かべながら感動していた。
そんな私の今の顔を見て、ルシエルも満足そうな表情を浮かべている。
「礼を言うのは僕のほうだよ。フィーの最高の笑顔を見ることが出来たからね。フィーの心を掴めたということは、僕の作戦は成功ってことかな」
「作戦?」
私が不思議そうに首を傾かせると、彼は僅かに口端を上げる。
「フィーの心を僕に向かせる作戦のことだよ。宝石よりもお菓子のほうが数倍嬉しそうだね。まあ、予想はしていたけど」
「……っ!」
ルシエルはクスクスと可笑しそうに笑っていて、私は一人恥ずかしくなっていた。
「また顔が真っ赤だ。本当にフィーは素直で可愛くて、その全てを独占したくなる」
先程まで楽しそうな顔を浮かべていたルシエルの表情からはいつの間にが笑顔が消え、真っ直ぐな鋭い視線をこちらに向けていた。
私の心臓はドキッと飛び跳ね戸惑ってしまうが、視線を逸らすことが出来ない。
「独占って……」
「そのままの意味だよ。フィーの全てを奪ってしまいたい。そうするまで、僕は安心出来そうにないからね」
私が困惑した顔で答えると、ルシエルはそのままの表情でスラスラと答えていく。
そして付け足すように「全てというのは、フィーの心も体も僕のものにしたいって意味だよ」とわざわざ説明までしてくれた。
しかし、その発言のせいでさらに私は追い込まれ、頬は熱に包まれていく。
「意識はしてくれているようだね。嬉しいよ」
「……っ」
彼は僅かに目を細めて、どこか満足そうに呟く。
そして昨晩のように、私の唇に指先を添えると輪郭をなぞるように撫で始めた。
「やっ、こんなところでっ……」
「大丈夫だよ。ここは個室だし、僕達しかいない」
私は慌てて顔を横に傾けると、急にルシエルは身を寄せてきて耳元にキスを落としてきた。
その感覚にぞくりと体を震わせると、私は慌てて彼から離れようとする。
椅子の上で体を反らしすぎたせいでバランスを崩し、ふわっと視界が揺れた。
「危なっ!」
「……っ!!」
私が椅子から転げ落ちるよりも前に、彼の腕が私を支え引き寄せられた。
気付けば私はルシエルの腕の中で抱きしめられている。
「今のは僕が悪かったね。ごめん。だけど、心臓が止まるかと思った」
「わ、私もですっ! ごめんなさい……。あの、もう大丈夫なので離してください」
私は慌てて彼の胸を押し返そうとするが、ルシエルの腕が緩むことはない。
(こんな場所で、だめ……! 心臓が止まりそうなのは私のほうですっ!)
「お兄様、そろそろ離してくださいっ! 折角のお菓子が……」
「そうだったね。今フィーの気を一番掴んでいるのは、このお菓子か。妬けるな」
ルシエルは残念そうにため息を漏らすと、あっさりと私のことを解放してくれた。
「お菓子に嫉妬って……」
私が困った顔で答えると、彼は「良いことを思いついた」と言ってきたのだが、私には嫌な予感しかしなかった。
「僕が食べさせてあげる。そうしたらお互い楽しめそうだ」
「えっ……、結構ですっ!」
予想通りの展開になり、私は慌てて否定する。
「さっきも言ったけど、ここには僕達しかいない。ということは、フィーの照れている姿を見るのは僕だけになる。フィーは美味しいお菓子を食べられるし、僕もフィーを独占することが出来る。最高じゃないか」
0
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる