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第二章:私の心を掻き乱さないでくださいっ!
44.胸のざわめき②
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「フェリシア」
「は、はいっ」
突然名前を呼ばれて心臓が飛び跳ねる。
私がドキドキしながらエルネストに視線を向けていると、手が伸びてきて私の頬にそっと触れた。
触れられた場所から更に熱が上がっていっているような気する。
鼓動は早くなり、エルネストの瞳からは逃げられない。
「顔が随分と赤いな。体調が優れないのか?」
「これはっ、エルネスト様がいきなり傍に来たからで」
「私が傍にいるとフェリシアは顔を真っ赤に染めるのか?」
「び、びっくりしただけです」
「それだけか?」
「……っ、それだけです」
私の答えを聞くとエルネストは僅かに目を細めた。
少し不満そうな顔をしているように見える。
その間も私の鼓動だけはバクバクと激しく鳴り続けている。
もしかしたらこの音がエルネストにも届いているのかも知れない。
(一体いつまでこの状態でいるの……)
「私に触れられて、フェリシアは嫌ではない?」
「嫌ではないですけど、緊張します……」
「随分一緒にいたはずなのに、まだ緊張しているのか。それは困ったな」
「……?」
エルネストの言動の意図が分からなくて、更に戸惑ってしまう。
「フェリシアに一つ伝えておきたいことがある」
「なんですか?」
私は我慢出来なくなり、頬に添えられている手を剥がした。
すると今度は私の手を覆うように触れられる。
手の方に気を取られていたが、顔を再び上げると真っ直ぐ見つめている瞳とぶつかる。
「私はフェリシアといる時間が好きだ」
「……っ」
(す、好き……!?)
「この数ヶ月、フェリシアと過ごして色々な表情を見てきた。喜んでいる姿よりも、辛そうな場面の方が多かったが。そしてこれからも君のことを見守って行きたいと思ってる。本当の意味でフェリシアが本来の姿に戻れるまで」
「迷惑じゃないですか?」
「私は迷惑だとは思っていないよ。心配なんだ。君は辛くても自分からはなかなか頼って来てくれないからな。私が動かないとフェリシアは我慢するだろう?だから余計に気になって放っておけなくなるんだ」
「なんかごめんなさい……」
「謝らなくていい。これは私がしたくてしていることだからな。だから暫くの間また以前の様にフェリシアの傍にいても構わないか?お互い今は婚約者もいないし、周りの目も以前よりは気にならないはずだ。それに私が傍に居れば、君の元婚約者も近づいては来ない筈だ。どうだろう。フェリシアの意見を聞かせてくれるか?」
エルネストの口調は落ち着いていて優しかった。
そしてまた以前のように傍にいてもいいのだと思うと、嬉しさが込み上げてくる。
(エルネスト様は友人として心配してくれているんだよね。私だって以前みたいにお話したり、お茶とかしたい……)
「変な遠慮は要らない。フェリシアがどうしたいのか、その答えを聞かせて」
「わ、私も」
「うん」
「エルネスト様とは折角仲良くなれたし、このまま離れてしまうのは寂しいです」
私は切なそうな顔でゆっくりと言葉を紡いだ。
それは私の本心から出た気持ちだった。
「フェリシア、ありがとう。私も同じ気持ちだ。フェリシアと離れるのは寂しいからな。断られたらどう繋ぎ止めようかと悩んでいたくらいだ。だけど良い言葉が貰えてほっとしたよ」
「こちこそ、ありがとうございます」
エルネストも私と同じ風に思っていてくれたことを知り、少し嬉しくなった。
今までは事情があり傍にいてくれたが、これからも友人として接することが出来る。
友人になる事が出来れば、私にもなにか恩返しが出来る機会がやってくるかもしれない。
(どうしよう、すごく嬉しい。離れなくていいんだ。……本当に、良かった!)
************
作者より
更新が最近遅くなっていて申し訳ありません。
暫く仕事がお休みになったので、もう少しまともに更新出来そうです(汗)
いつも感想を書いてくださる方、ありがとうございます(感謝)
返信がいつも遅くなってしまい申し訳ないです。
「は、はいっ」
突然名前を呼ばれて心臓が飛び跳ねる。
私がドキドキしながらエルネストに視線を向けていると、手が伸びてきて私の頬にそっと触れた。
触れられた場所から更に熱が上がっていっているような気する。
鼓動は早くなり、エルネストの瞳からは逃げられない。
「顔が随分と赤いな。体調が優れないのか?」
「これはっ、エルネスト様がいきなり傍に来たからで」
「私が傍にいるとフェリシアは顔を真っ赤に染めるのか?」
「び、びっくりしただけです」
「それだけか?」
「……っ、それだけです」
私の答えを聞くとエルネストは僅かに目を細めた。
少し不満そうな顔をしているように見える。
その間も私の鼓動だけはバクバクと激しく鳴り続けている。
もしかしたらこの音がエルネストにも届いているのかも知れない。
(一体いつまでこの状態でいるの……)
「私に触れられて、フェリシアは嫌ではない?」
「嫌ではないですけど、緊張します……」
「随分一緒にいたはずなのに、まだ緊張しているのか。それは困ったな」
「……?」
エルネストの言動の意図が分からなくて、更に戸惑ってしまう。
「フェリシアに一つ伝えておきたいことがある」
「なんですか?」
私は我慢出来なくなり、頬に添えられている手を剥がした。
すると今度は私の手を覆うように触れられる。
手の方に気を取られていたが、顔を再び上げると真っ直ぐ見つめている瞳とぶつかる。
「私はフェリシアといる時間が好きだ」
「……っ」
(す、好き……!?)
「この数ヶ月、フェリシアと過ごして色々な表情を見てきた。喜んでいる姿よりも、辛そうな場面の方が多かったが。そしてこれからも君のことを見守って行きたいと思ってる。本当の意味でフェリシアが本来の姿に戻れるまで」
「迷惑じゃないですか?」
「私は迷惑だとは思っていないよ。心配なんだ。君は辛くても自分からはなかなか頼って来てくれないからな。私が動かないとフェリシアは我慢するだろう?だから余計に気になって放っておけなくなるんだ」
「なんかごめんなさい……」
「謝らなくていい。これは私がしたくてしていることだからな。だから暫くの間また以前の様にフェリシアの傍にいても構わないか?お互い今は婚約者もいないし、周りの目も以前よりは気にならないはずだ。それに私が傍に居れば、君の元婚約者も近づいては来ない筈だ。どうだろう。フェリシアの意見を聞かせてくれるか?」
エルネストの口調は落ち着いていて優しかった。
そしてまた以前のように傍にいてもいいのだと思うと、嬉しさが込み上げてくる。
(エルネスト様は友人として心配してくれているんだよね。私だって以前みたいにお話したり、お茶とかしたい……)
「変な遠慮は要らない。フェリシアがどうしたいのか、その答えを聞かせて」
「わ、私も」
「うん」
「エルネスト様とは折角仲良くなれたし、このまま離れてしまうのは寂しいです」
私は切なそうな顔でゆっくりと言葉を紡いだ。
それは私の本心から出た気持ちだった。
「フェリシア、ありがとう。私も同じ気持ちだ。フェリシアと離れるのは寂しいからな。断られたらどう繋ぎ止めようかと悩んでいたくらいだ。だけど良い言葉が貰えてほっとしたよ」
「こちこそ、ありがとうございます」
エルネストも私と同じ風に思っていてくれたことを知り、少し嬉しくなった。
今までは事情があり傍にいてくれたが、これからも友人として接することが出来る。
友人になる事が出来れば、私にもなにか恩返しが出来る機会がやってくるかもしれない。
(どうしよう、すごく嬉しい。離れなくていいんだ。……本当に、良かった!)
************
作者より
更新が最近遅くなっていて申し訳ありません。
暫く仕事がお休みになったので、もう少しまともに更新出来そうです(汗)
いつも感想を書いてくださる方、ありがとうございます(感謝)
返信がいつも遅くなってしまい申し訳ないです。
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