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11話 初恋

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 僕はジークへの自分の気持ちに気付いてから、彼に対しドキドキしっぱなしだった。

 僕は、ジークのことが好きだ。

 僕の前で僕をかばいながら槍を振るうジーク。
 町では僕が何か買ったらすぐにその荷物を持ってくれるジーク。
 僕が食べ歩きで買ったものを、当たり前のように横から一口かじってくるジーク。
 僕が少しでもボーッとしていると、心配そうに顔をのぞき込んでくるジーク。

 どんな彼のことも好きで、前に後ろから抱きつかれたり、部屋でも抱きつかれたことを思い出して、乙女みたいにキュンキュンしている僕がいる。

 ジークは、僕の初恋の相手だ。

 でも、僕はそんな気持ちを告げられずにいた。
 だって僕は男だから。


 あれ?

 ジークの大切な人って、当たり前のように女の子だと思ってたけど、そう言えば性別は聞いてなかったな。
 でも、今更掘り起こすのも、せっかくその人のことを忘れて僕を見てくれているジークに対して失礼じゃないか。


 そんなことを考えていると、またジークがのぞき込んでくる。

「ちょっと休憩だな」
「あ、うん……」

 そう言えば僕たち今洞窟で魔物討伐してるんだった。

 ジークについていき、魔除けの像の前に腰掛ける。すると、ジークは僕にピッタリくっついて隣へと座ってきた。

 どうしよう……そんな近いとドキドキしちゃうよ……。

「俺、またなんかしちゃったか?」
 ジークはそう言って僕の顔をのぞき込んでくる。

「え、し、してないよ! ホントに!」
 僕は慌てて首を横に振る。

「なんか、聞きたいことあるんだろ?」

「え、な、何で……?」

 何でジークって分かっちゃうんだろ。

「何でって、顔に書いてある」
「うそぉ!?」
 僕が焦って顔を手でこすると、ジークは吹き出して笑っていた。

「お前って、マジで可愛いよな。素直というか純粋というか……」

「え、か、可愛い!? ぼ、僕男だよ?」

「……男だから、何?」

「え、えっと……」
 僕はジークの意外な質問に言葉を詰まらせる。
 あれ、男でも可愛いことはあるか……。

「俺は、お前が男だろうが女だろうが、関係なく可愛いと思ってる。大切だと思うのに、性別は関係ないだろ?」

「たい……せつ……? 僕のこと?」

「うん? うん、ノアのこと」

「僕のこと、大切なの?」

「うん、大切」

「そ、そんなこと言っちゃだめだよ……」
 嬉しくて、涙が出てきちゃうから……。

「何度でも言うさ。俺はノアが大切で大切で仕方がなくなってる。このままずっと、何年も、何十年もパーティ組んだままでいたいと思ってるし、ずっと、側にいられたらなって思ってるよ」

「うわぁぁぁん……ジークのばかぁ……」

「おいおい、俺今良いこと言ったよな……? なんで馬鹿なんだよ」
 ジークはそう言って僕の頭を撫でてくれる。

「だって……ぐずっ、うぅ……だって……」

 僕はジークにぐいっと引き寄せられて、そのままキツく抱きしめられた。

「ノア……俺に聞きたかったことって何? 泣きやんだらでいいから、教えて」
「うん……」

 僕はそのままジークへと身を委ねていた。

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