蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第五章 蒼炎の再現

5-回想 ????サイド

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 大雨が降る、ある日。

 わたしは蒼い髪と瞳を持った、小さな女の子の手を、引っ張って、森の中を走っていた。

 その女の子はわたしの妹だ。わたしは三姉妹の長女で、今、わたしと一緒にいるのは次女だ。

 連れてきたのは河原で、河原には小舟が置いてあった。

「チーちゃん! あなたはこの小舟に乗って!」

 悪い癖ね。わたしはいつだって、喋るペースが早すぎる。普段、人とはあまり話したくないから、早く終わらせるため、早く喋る癖がついてしまった。

「どーして?」

 そんな、わたしと反して、ゆっくりとした、喋り方をする妹が尋ねる。

 それはそうだよね。いきなり、妹をここへ連れてきてしまったから。

 だけど、この子にどう説明していいのか。

「あなたは今から旅たちよ」

 うん、嘘付くならもっとマシなのが思い浮かべない。

「何で、そんなに悲しいそうにしているの~?」

 そうだった。この子に嘘は通じない。だけど、嘘を付けないこの子を逃す理由をどう説明をしたら、いいか、わからない。

 というか、次妹には、もうすでに、わたしたちが、隠し事をしていることは、もう、わかっているはず。どうしたら。

「わたし、お姉ちゃんを困らせているの~」

 気づかれた! この子に隠し事なんて。

「いいえ、そんなことは……」
「何か、理由があるの~?」
「それは……」
「……わかった! お姉ちゃんの言う通りにするね~」

 そういうと、妹は何かを悟ったようで、小舟に乗った。正直、この大雨の川は危険だ。だけど、妹の存在を、奴らに知られるわけにはいかない。

 どの時代だって、力を求める輩はいるから。

 わたしは妹に。

「……ごめん」

   の一言。

 妹ほどパワーはないが、わたしは妹を乗せた小舟を蹴り、小舟を川の上まで飛ばした。

「じゃあ、行ってくるね~」

 そう言って、妹は微笑ましい笑顔で手を振った。

 妹を見送ると、わたしはもう一人の妹の元へ駆けつけた。

「無事でいてね」



 それ以来、わたしは次女とは会っていない。あの事件の後、わたしと三女は追われる身となった。それでも、わたしと三女は次女を探していたが、見つからなかった。

 それから、七年の時が立った。
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