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第八章 魔人族の脅威
8ー7 スイレンサイド
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「奴らが扱う魔術は強力だ。正面からは苦戦が強いられる」
兄様の言う通りッス。魔人族は魔石を摂取していることだけあった、扱う魔術はどれも強力ッス。
一昨日はカチュアさんの蒼い炎で消されたッスけど。それはカチュアさんがいたからであって、それ以外の者にとっては脅威ッス。
どんな攻撃手段でも、攻撃射程があるッス。わたしの視力では、はっきりとは見えていないッスが、あの距離だと、流石に魔術だとしても、届かないッス。でも、条件はこっちも同じ。魔術による攻撃の射程外ッス。だけど、射程範囲まで入ったら、魔人軍は魔術による攻撃をしてくるッス。
どうするッス。
「じゃあ~。エドナちゃん。敵軍のところまで弓は届く~?」
「ん~、一応、この距離だったら、狙えるんだよ!」
「まだ見えませんけど、届きます?」
「放つだけなら、風魔術と合わせれば」
「じゃあ~、此間の雨を降らせる奴できる? 出来ればそれの方が~」
此間、飛竜に放った矢ッスよね。成程ッス。魔人軍を撹乱した隙に攻めるッスね。
「でも、死なないかな?」
「彼らはタフだから、急所を狙わない限り、簡単には死なないと思いますよ」
「よ~し、じゃあ、行くんだよ」
エドナちゃんの周りから風が吹いてきた。
「エドナちゃん……」
「カチュア! しー」
カチュアさんが何か言おうとしたが、レオが止めたッス。
たぶん、エドナちゃんの履いているスカートが風のせいで、捲れて、パンツが見えていることを教えたかったッスね。
「準備ができたんだよ。放つんだよ!」
エドナちゃんは魔人軍の上空目掛けて矢を放ったッス。
やがて、一本しか、放っていなかった矢は分散して、魔人軍に降り注いだ。
だけど、それだけではなかったッス。
「何だあれは!?」
周りがざわつき始めたッス。
それも、そのはずッス。エドナちゃんが放った矢が落下したところから竜巻が発生したッス。
「雨を降らせるだけでなく、着地したところから竜巻が発生した!」
「凄いッス! かなりの高度な魔術ッス!」
だけど、何故か、この災害レベルの魔術で一番驚いていたのは、放った張本人のエドナちゃんだったッス。
「あれ? 詠唱を間違えたら、竜巻を発生したんだよ」
えーーー!?
「間違ったんかい!!!」
「間違えで災害を引き起こすなんて!」
「寧ろ、エドナは世界を滅ぼせるじゃないか?」
「カチュアが『悪魔』だったり、『蒼色の狂女』と呼ばれるなら、エドナは『迷風』だなきっと」
迷惑な風使いだから?
カチュアさんも、そうッスが、それと同等に敵に回したくないッス。
「あらあら~、矢の雨を降らせるだけで、よかったのに~。驚いたわ~」
カチュアさんでも、予想外らしいッス。「驚いた」とは言ったッスが、普段と変わらずのほほーんとした表情ッス。
「じゃあ~、行きますよ~」
カチュアさんは鞘から大きな剣を抜いたッス。
「カチュア! 考え無しで一人で突っ込むな!」
「ん? だいじょぶだよ~」
カチュアさんは敵陣へ走り出したッス。
「あ! カチュアが考えていることはわかった!」
「え?」
「考えることだけなら、誰でもできることだ」
レオは何を察したようだが、今は敵軍へ。
「では、マリンは、治癒役のお二人方の支援を」
「今回ばかりは仕方がないか……」
「あたしは、ここから弓で援護するんだよ!」
アイラさんも続けて、出陣ッス。
「では、私も行くッス」
「スイレン、何もあなたが行かなくっても……」
「無理かも、しれないですが、説得してみるッス。そのためには、聖王の子が適任ッス」
「すみません。気をつけて」
「安心しろ! 兄ちゃんが守ってみせる!」
「兄様は自軍の指揮しないとッス! それに敵軍に突っ込んだら、的にされるッス。足手まといッス!」
「ガーーーン!!」
お兄様はしゃがんで落ち込んでいるッス。落ち込んでいるはずなのに、顔が明るくって、眩しいッス。
そんな兄をほって置いて、カチュアさん達を追いかけるッス。
実際に魔人軍の中へ突っ込んでいったッス。しかし、敵は下級系魔術は放っても、強力な魔術は使わなかったッス。
「成程ッス。自軍の中に敵一人が暴れても、広範囲の魔術が放てないッス」
こんな大群の中に少数で突っ込めるのは、カチュアさんやレオぐらいッス。
「下手に放つと、味方が巻き添いになるからな。まあ、唯一の欠点でもある」
「それは?」
「自軍でも、犠牲者を出しても構わない考えをしていた場合だ。まあ、まず、それはないか。実際にやったら、部下への信用を失うからだ。でも、追い込まれたら、何をしでかすかは、分からないから、警戒しておくんだ」
そこまで、考えられるのに、突っ込んでいったの!? でも、相変わらずッス。普段は面倒くさがり屋なのに、やる気スイッチ入ると、誰よりも好戦的になるッス。
「そうッスね。今は戦いに専念ッス!」
周りを見渡すと、魔人族の中には怯えている輩もいたッス。その原因は……やはり、カチュアさんッスね。微かに聞こえてきたのは「悪魔……覚悟!!」と怯えながら。
しかし、カチュアさんは、そんな襲ってくる魔人兵を次々と倒していっているッス。
「行くっす!」
手の平から、水の魔術で構成した龍が一直線に魔人軍目掛けて放ったッス! 命中した魔人族は一直線に吹き飛んだッス。
「レオの闘技を見よう見まねで、私のアレンジした魔術をくらえッス!」
「相変わらずのゴリラ……」
「レオ……帰ったら、制裁ッス」
レオの胸ぐらを掴みそうになったッスが、今は戦い。後で、ぶっ飛ばさないとッス。
「カチュア! スイレンを連れて、ギャングの元へ行ってくれ! 万が一の場合はカチュアが適任だ!」
「分かったわ~」
そう言うと、カチュアさんは、わたしを肩に乗せたッス。
「行くわよ~」
カチュアさんはわたしを背負いながら、走り出した。
「いややややややや!!!」
速いっす! というか、敵に突っ込むッス!!!
カチュアさんは敵を蹴りながら、走るッス。
「悪魔が! 走りながら、突っ込む!」
「あれは、走る凶器だ!!」
「魔術を!」
「だめだ! 速すぎて、狙いが!」
兄様の言う通りッス。魔人族は魔石を摂取していることだけあった、扱う魔術はどれも強力ッス。
一昨日はカチュアさんの蒼い炎で消されたッスけど。それはカチュアさんがいたからであって、それ以外の者にとっては脅威ッス。
どんな攻撃手段でも、攻撃射程があるッス。わたしの視力では、はっきりとは見えていないッスが、あの距離だと、流石に魔術だとしても、届かないッス。でも、条件はこっちも同じ。魔術による攻撃の射程外ッス。だけど、射程範囲まで入ったら、魔人軍は魔術による攻撃をしてくるッス。
どうするッス。
「じゃあ~。エドナちゃん。敵軍のところまで弓は届く~?」
「ん~、一応、この距離だったら、狙えるんだよ!」
「まだ見えませんけど、届きます?」
「放つだけなら、風魔術と合わせれば」
「じゃあ~、此間の雨を降らせる奴できる? 出来ればそれの方が~」
此間、飛竜に放った矢ッスよね。成程ッス。魔人軍を撹乱した隙に攻めるッスね。
「でも、死なないかな?」
「彼らはタフだから、急所を狙わない限り、簡単には死なないと思いますよ」
「よ~し、じゃあ、行くんだよ」
エドナちゃんの周りから風が吹いてきた。
「エドナちゃん……」
「カチュア! しー」
カチュアさんが何か言おうとしたが、レオが止めたッス。
たぶん、エドナちゃんの履いているスカートが風のせいで、捲れて、パンツが見えていることを教えたかったッスね。
「準備ができたんだよ。放つんだよ!」
エドナちゃんは魔人軍の上空目掛けて矢を放ったッス。
やがて、一本しか、放っていなかった矢は分散して、魔人軍に降り注いだ。
だけど、それだけではなかったッス。
「何だあれは!?」
周りがざわつき始めたッス。
それも、そのはずッス。エドナちゃんが放った矢が落下したところから竜巻が発生したッス。
「雨を降らせるだけでなく、着地したところから竜巻が発生した!」
「凄いッス! かなりの高度な魔術ッス!」
だけど、何故か、この災害レベルの魔術で一番驚いていたのは、放った張本人のエドナちゃんだったッス。
「あれ? 詠唱を間違えたら、竜巻を発生したんだよ」
えーーー!?
「間違ったんかい!!!」
「間違えで災害を引き起こすなんて!」
「寧ろ、エドナは世界を滅ぼせるじゃないか?」
「カチュアが『悪魔』だったり、『蒼色の狂女』と呼ばれるなら、エドナは『迷風』だなきっと」
迷惑な風使いだから?
カチュアさんも、そうッスが、それと同等に敵に回したくないッス。
「あらあら~、矢の雨を降らせるだけで、よかったのに~。驚いたわ~」
カチュアさんでも、予想外らしいッス。「驚いた」とは言ったッスが、普段と変わらずのほほーんとした表情ッス。
「じゃあ~、行きますよ~」
カチュアさんは鞘から大きな剣を抜いたッス。
「カチュア! 考え無しで一人で突っ込むな!」
「ん? だいじょぶだよ~」
カチュアさんは敵陣へ走り出したッス。
「あ! カチュアが考えていることはわかった!」
「え?」
「考えることだけなら、誰でもできることだ」
レオは何を察したようだが、今は敵軍へ。
「では、マリンは、治癒役のお二人方の支援を」
「今回ばかりは仕方がないか……」
「あたしは、ここから弓で援護するんだよ!」
アイラさんも続けて、出陣ッス。
「では、私も行くッス」
「スイレン、何もあなたが行かなくっても……」
「無理かも、しれないですが、説得してみるッス。そのためには、聖王の子が適任ッス」
「すみません。気をつけて」
「安心しろ! 兄ちゃんが守ってみせる!」
「兄様は自軍の指揮しないとッス! それに敵軍に突っ込んだら、的にされるッス。足手まといッス!」
「ガーーーン!!」
お兄様はしゃがんで落ち込んでいるッス。落ち込んでいるはずなのに、顔が明るくって、眩しいッス。
そんな兄をほって置いて、カチュアさん達を追いかけるッス。
実際に魔人軍の中へ突っ込んでいったッス。しかし、敵は下級系魔術は放っても、強力な魔術は使わなかったッス。
「成程ッス。自軍の中に敵一人が暴れても、広範囲の魔術が放てないッス」
こんな大群の中に少数で突っ込めるのは、カチュアさんやレオぐらいッス。
「下手に放つと、味方が巻き添いになるからな。まあ、唯一の欠点でもある」
「それは?」
「自軍でも、犠牲者を出しても構わない考えをしていた場合だ。まあ、まず、それはないか。実際にやったら、部下への信用を失うからだ。でも、追い込まれたら、何をしでかすかは、分からないから、警戒しておくんだ」
そこまで、考えられるのに、突っ込んでいったの!? でも、相変わらずッス。普段は面倒くさがり屋なのに、やる気スイッチ入ると、誰よりも好戦的になるッス。
「そうッスね。今は戦いに専念ッス!」
周りを見渡すと、魔人族の中には怯えている輩もいたッス。その原因は……やはり、カチュアさんッスね。微かに聞こえてきたのは「悪魔……覚悟!!」と怯えながら。
しかし、カチュアさんは、そんな襲ってくる魔人兵を次々と倒していっているッス。
「行くっす!」
手の平から、水の魔術で構成した龍が一直線に魔人軍目掛けて放ったッス! 命中した魔人族は一直線に吹き飛んだッス。
「レオの闘技を見よう見まねで、私のアレンジした魔術をくらえッス!」
「相変わらずのゴリラ……」
「レオ……帰ったら、制裁ッス」
レオの胸ぐらを掴みそうになったッスが、今は戦い。後で、ぶっ飛ばさないとッス。
「カチュア! スイレンを連れて、ギャングの元へ行ってくれ! 万が一の場合はカチュアが適任だ!」
「分かったわ~」
そう言うと、カチュアさんは、わたしを肩に乗せたッス。
「行くわよ~」
カチュアさんはわたしを背負いながら、走り出した。
「いややややややや!!!」
速いっす! というか、敵に突っ込むッス!!!
カチュアさんは敵を蹴りながら、走るッス。
「悪魔が! 走りながら、突っ込む!」
「あれは、走る凶器だ!!」
「魔術を!」
「だめだ! 速すぎて、狙いが!」
応援ありがとうございます!
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