蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十章 妖精の少女

10ー5 ナギサイド

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 騒ぎを聞きつけた、さらに反乱軍の仲間がぞろぞろで群がってきた。どんだけいるんだよ? もう、国軍レベルだろ。

 離れる際にも、肝心なところでも、エドナは転んでしまった。ひやひやしたが、奴らに見るかる前に撤退ができた。

 カチュア達は交戦した場所から離れて、その場をエドナが遠くから様子をしていた。

 周りが林に囲まれているに対し、カチュア達が反乱軍と思われる連中と交戦した所は、樹木が一本も生えていなかった。寧ろ、エドナ達が暴れたせいで、そこだけ、ハゲてしまった。

「ん~。何だか、警戒が強くなった気がするんだよ。どんどんを集まって来たんだよ」
「人の足音が徐々に増えていっているわ~」
「しかし、何で、さらに増援が来ているんだ」
『あんたらのせいだろ!』

 心の中で、突っ込む。カチュアにしか、聞こえるが。今回はカチュアは何もしていないのに。

「は~。隠密行動なのに、目立ち過ぎだよ」

 ロゼッタが呆れ顔でため息を吐く。

「さてっと。もし、反乱軍の仕業なら、それを止めれば、少なくとも、戦いは止められるな」
「でも、何でヘルディアの反乱軍が?」
「連中に拷も……尋問をしていないから、わからないが……」

  こいつ、今、絶対に「拷問」と言おうとしただろ。

「恐らく、ヘルディアのじゃなく、コルネリアだろう。奴らのアジトか何かは、偶々ヘルディアにあるだけだろう」
「コルネリアの?」
「まあ、恐らく、コルネリアとヘルディアを衝突させて、その隙にコルネリアに攻めるということだ」
「回りくどいですねー。それなら、ヘルディアと組めばいいのに」
「ヘルディア自体はコルネリアに攻めるつもりはない。だから、利用しただろう」
「なら、何で、コルネリアの領土で魔物騒動を起こさなかったの?」
「コルネリアでは、魔物を飼い慣らす輩がいるんだ。仮に魔物騒動をコルネリアで起こしても、コルネリア内でその疑いがある者を取り締まれるばいいから、戦力を削るには少な過ぎる。現に、魔物を飼い慣らす者がいるのはコルネリアかヴァルダンぐらいだ。ヴァルダンは前の戦いで滅んでいる」
「だから、国同士で戦わせるため、ヘルディアで魔物騒動を起こして、魔物を飼い慣らす輩がいるコルネリアに疑いをかけるように」
「ねぇ~。反乱軍の人を止めれば、戦いは止められると、言っていたけど、アルヴスは納得していないように感じるわ~」
「……」

 カチュアに指摘されて、黙ってします。

「兄様?」
「あの武器、あれを渡した連中がいる。そいつらを追いたいんだが」

 カチュアには隠し事ができないのがわかったのか、語り始めた。難しい話は苦手だが、この子が。

「ルナちゃんのお父さんを殺した人達?」
「そうだ」
「お父さんは何で殺されたの?」
「それは……」
「はあ、兄様は隠しているつもりですが、ルナは分かっていますよ」
「どこかの皇女様のように、尾行でもしていたか?」
「あんな、変態皇女と一緒にしないでください!」
「俺も詳しくは分からない。だけど、父さんが殺された日、父さんの研究資料がなくなっていたんだ」
「研究の横取りッスか?」
「父さんがどんな研究をしていたかは分からない。だけど、仮に横取りしたなら、奴らの武器は父さんの研究によるものになってしまう。父さんがあんな物を作り出すような研究をするとは考えられない。だから、横取りではない」
「じゃあ、どうしてなの? 理由もなく、殺されたの?」
「父さんの研究は魔術関連だ。魔石の危険性も知っている。もしかしたら、父さんの研究が奴らにとって不都合なものだから、消去したかった」
「つまり、父様は口封じで」
「ルナちゃん」
「俺もバカだ。奴らの手掛かりを探すあまり、ルナに心配を掛けてしまう」
「兄様の仕事は命懸けです。だけど、命懸け過ぎなんです。カチュアさんがいなかったら、今頃、死んでいました」
「あー、悪いな。けど、どうしても、父が亡くなった真意を知りたかったんだ。それに繋がる連中の手掛かりを掴んだ時は、あんなにやばい連中とは思わなかった」
「その人達は何者なんですか?」
「詳しくは、分からない。分かっていることは、魔物やあの武器をゲブンといった貴族や反乱軍へ売り捌いているんだ」
「そして、売った、魔物から魔石の回収をしているんだ」
「え? 態々?」
「魔石を欲するが、同時に魔物を使って戦いの火種を作っている可能性がある」

 話の中、カチュアが体を反対方向へ回った。

「……何か、聞こえるわ~。この声はアイラよ~」
「現在、カチュア達に同行している空の勇者の一人の、あのアイラ殿ですね」
「とても、苦しそうだわ!」

 カチュアは走り出した。

「待ってください!」

 後ろから、エドナ達も後を追うように走りだす。途中でエドナが転んだところが見えたような。

 

 何だ! ここは? 見えてきたところは、家が立ったような後が何ヵ所があった。村でもあったのか? よく見たら、狼や鳥の死骸がいっぱい見つかった。

 何があったんだ?

「ぐおおおおお!!!」

 目的地に着いたと思えば、アイラが獣の遠吠えのように叫び出す。姿が。
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