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第十二章 私の名は
12ー8 ナギサイド
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「あら~。やっと、帰ってくれたわ~」
壊れた壁を眺めるカチュア。
「吹き飛んだだけだからな!」
「できれば、もう会いたくないわ~」
カチュアに『会いたくない』って、言わせるなんて。さすがの、お人好しのカチュアでも、あの病的な執着心には、苦手意識があるみたいだな。
「そんなこと言っている場合か! あれを見ろ! あれ!」
相変わらず、状況が悪いにも、かかわらず、呑気だよな。キルと名乗る女を吹き飛ばしたのは、頭が三つある、四足歩行のドラゴンだ。そのドラゴンがカチュア達を標的と見なし一歩ずつ近づいてきた。
「魔物化? 奴は死んでいなかったのか?」
それにしても、あのドラゴンの姿、何処かで見たような……。
「あらあら~。魔物化して、頭が三つに分けられたのね~」
「それ以前に、頭が三つになったことに驚けよ!」
「ルナちゃん。あれはどんな魔物なの?」
「三頭竜と呼ばれるドラゴンに似ています。でも、それ以上のことは、何もわからないです。……ただ」
「ただ?」
「長い間、三頭竜の正式名を何にするかの、議論はされていたっという、記録が残っています。三岐大竜とか、ニョロニョロ竜とか、後は、三等分の頭とか。結局は三頭竜で落ち着いたみたいです」
「何で生体よりも、どうでもいい命名の議論が、あったという記録が残っているんだよ!」
てか、今までの危険種や魔物の名称を聞いていたが、この世界の人達、ネーミングセンス悪すぎだろ! まあ、全部ではないが。本当に、ネーミングセンスの悪さはティアにそっくりだな。……ティア? 誰? 聞いたことがあるような。 ……誰?
「カチュアー。こいつもコケコケコのように、頭二つあるけど、一つしか、意識を持たないということないわけ?」
「え~? ん~……」
三頭竜を見つめカチュア。
……。
だから、考えるのが長いって! こうしている、間にも、三頭竜達が一斉にブレスを吐いってきたよ。
皆、ルナ以外、軽々と躱している。そのルナは近くにいたギルティに抱えられて、何とか無事だ。
「三つとも、意識はあるわ~」
「だから、答えるのが遅いって! 平常運転だけど!」
「それって、三つそれぞれの意識で動けるのか」
「来ますよ!」
三頭竜は前足を上げ、カチュアを踏み潰そうとしす。
しかし、カチュアは大剣で三頭竜の足を受け止めた。
「いくわよ~」
カチュアは押し切り、三頭竜はひっくり返るように倒れていった。
力では、誰にも負けないカチュア。だけど、それ以上に魔物の体は頑丈だ。
てか、のんびりしているのは、いつものことなんだけど、キルとの戦いよりも、しっかりとした姿勢になったな。やはり、キルとの戦いは気乗りはしなかったんだな。蒼い炎も纏っていなかったし。
「あの暗殺者が、相手ではない限り、オレ達も参戦するよ」
まあ、あの狂気染みた暗殺者はカチュア以外の参戦は受け付けなかったから。
アニーの手元には、何も持っていなかったはずだったが、二本の斧が出現した。その斧をよく見たら、岩でできている。魔術で作った武器か。
「ギルティ! 受け取れ!」
二本ある内の一本を、ギルティ目掛けて投げた。その投げた斧を上手くキャッチした。
ギルティは更に、自分が持っていた斧を取り出した。実質、斧版の二刀流だ。
「ギルティ! オレが援護に回るが、一々、どう援護するか言わないから、上手く対応してくれ!」
「いつもの事だしー、だいじょーぶでしょ?」
ギルティが三頭竜に岩の斧を当てた。
カチュアに劣らず、力が有り余っており、三頭竜を後方へ押し切った。
しかし、三頭竜は一瞬怯んだだけで、直様、その内の一頭がギルティを噛みつこうと、口を大きい広げて向かってきた。
何故だが、わからないが、ギルティのもう一本の斧が炎に包まれていた。
あれ? ギルティって、魔術って、使えていたっけ?
「どーしたの~? ナギちゃん?」
「わ! 何だよ!? いきなり!?」
「何か、考えごとでも、していたかな~と、思っていたわ~?」
「ギルティって、魔術使えていたかなって」
「それなら、アニーちゃんが魔術で支援しているわ~」
アニーが? ふと、アニーを見ると、左手からバチバチと電気が出現した。すると、ギルティの燃えていた斧の火が消えて、電撃を纏っていた。
「なるほど、アニーが魔術を使って、ギルティの武器に付着させているのか。そうやって、サポートしているのか」
「ええ~。でも、アニーちゃんには、無理はさせられないわ~」
「え? 何で?」
「アニーちゃんは体が弱いから、無理はさせられないわ~」
ああ、アニーは体が弱いか。それなら、無理は……え?
「ちょっと! 待って! 何で……」
カチュアの衝撃発言に対して聞き出そうとしたか。
「いや、何でない後にしよう」
「分かったわ~」
気になるところだけど、今は戦闘だ。相変わらず、私は戦いには参加できないけど。
「そ~れ~」
カチュアは長い鎖を出して、三頭ある内の一頭の首周囲を巻きつけた。そして、鎖には、蒼い炎が出現した。
鎖から伝った、蒼い炎が三頭竜に触れたら、苦しそうにもがいている。
やはり、魔物はあの蒼い炎が苦手なんだな。
カチュアは、鎖を三頭竜とは、逆方向へ引っ張る。
しかし。
「あら~」
カチュアは鎖を手放し、その場から離れた。すると、カチュアのいた場所に向かって、魔術でできた様な、大玉が襲いかかってきた。さらに、また、大玉がカチュアを襲い掛かったが、カチュアは避けられた。一瞬だったが、三頭竜の口から放たれていたのが見えた。ブレス攻撃か。
「ルナちゃん。危ないわ~」
三頭竜の内一頭がルナ目掛けて、ブレスを吐こうとした。
カチュアは急いで、ルナの元へ駆けつけるが、二頭がカチュアの邪魔をする。
間に合わないのか?
「はわわ!!」
ドーーーン!!
エドナが躓いた拍子に飛んでしまい、そのまま、ルナにぶつかった。そのおかげで、ブレスを避けられた。
奇跡って起こるものなんだなっと実感させられた。
「すみません。ありがとうごさいます」
「はうう。無事でよかったんだよ」
……うっ!
ーー無事でよかったわ~
「ナギちゃん? どーしたの~?」
「いや! 何でもない」
何だったんだ今のは。
「まだ来るわ~!」
向かえ打とうとするカチュア。
「カチュア! 気をつけよ! その珠は魔術以外のもの、つまり物質に触れたら爆発するぞ!」
声が聞こえたのか、カチュアは躱した。
「ありがと~。ナギちゃん。助かったわ~」
「無事ならいい」
「それにしても、どーしましょ~? 困ったわね~」
全然、困っている様子には見えないんだが。いつものように、のほほーんとしているし、もう、カチュアというキャラがブレないな。
「あの、頭が三つあるドラゴンさん、手強いわ~。名前付けるなら、ドラゴン三姉妹だわ~」
「何! 名称議論を延長させているんだよ! それに、その名づけ方だと、ティアと、まんまじゃないか……」
急に頭痛がしてきた! 痛い! 一体何なんだ!?
壊れた壁を眺めるカチュア。
「吹き飛んだだけだからな!」
「できれば、もう会いたくないわ~」
カチュアに『会いたくない』って、言わせるなんて。さすがの、お人好しのカチュアでも、あの病的な執着心には、苦手意識があるみたいだな。
「そんなこと言っている場合か! あれを見ろ! あれ!」
相変わらず、状況が悪いにも、かかわらず、呑気だよな。キルと名乗る女を吹き飛ばしたのは、頭が三つある、四足歩行のドラゴンだ。そのドラゴンがカチュア達を標的と見なし一歩ずつ近づいてきた。
「魔物化? 奴は死んでいなかったのか?」
それにしても、あのドラゴンの姿、何処かで見たような……。
「あらあら~。魔物化して、頭が三つに分けられたのね~」
「それ以前に、頭が三つになったことに驚けよ!」
「ルナちゃん。あれはどんな魔物なの?」
「三頭竜と呼ばれるドラゴンに似ています。でも、それ以上のことは、何もわからないです。……ただ」
「ただ?」
「長い間、三頭竜の正式名を何にするかの、議論はされていたっという、記録が残っています。三岐大竜とか、ニョロニョロ竜とか、後は、三等分の頭とか。結局は三頭竜で落ち着いたみたいです」
「何で生体よりも、どうでもいい命名の議論が、あったという記録が残っているんだよ!」
てか、今までの危険種や魔物の名称を聞いていたが、この世界の人達、ネーミングセンス悪すぎだろ! まあ、全部ではないが。本当に、ネーミングセンスの悪さはティアにそっくりだな。……ティア? 誰? 聞いたことがあるような。 ……誰?
「カチュアー。こいつもコケコケコのように、頭二つあるけど、一つしか、意識を持たないということないわけ?」
「え~? ん~……」
三頭竜を見つめカチュア。
……。
だから、考えるのが長いって! こうしている、間にも、三頭竜達が一斉にブレスを吐いってきたよ。
皆、ルナ以外、軽々と躱している。そのルナは近くにいたギルティに抱えられて、何とか無事だ。
「三つとも、意識はあるわ~」
「だから、答えるのが遅いって! 平常運転だけど!」
「それって、三つそれぞれの意識で動けるのか」
「来ますよ!」
三頭竜は前足を上げ、カチュアを踏み潰そうとしす。
しかし、カチュアは大剣で三頭竜の足を受け止めた。
「いくわよ~」
カチュアは押し切り、三頭竜はひっくり返るように倒れていった。
力では、誰にも負けないカチュア。だけど、それ以上に魔物の体は頑丈だ。
てか、のんびりしているのは、いつものことなんだけど、キルとの戦いよりも、しっかりとした姿勢になったな。やはり、キルとの戦いは気乗りはしなかったんだな。蒼い炎も纏っていなかったし。
「あの暗殺者が、相手ではない限り、オレ達も参戦するよ」
まあ、あの狂気染みた暗殺者はカチュア以外の参戦は受け付けなかったから。
アニーの手元には、何も持っていなかったはずだったが、二本の斧が出現した。その斧をよく見たら、岩でできている。魔術で作った武器か。
「ギルティ! 受け取れ!」
二本ある内の一本を、ギルティ目掛けて投げた。その投げた斧を上手くキャッチした。
ギルティは更に、自分が持っていた斧を取り出した。実質、斧版の二刀流だ。
「ギルティ! オレが援護に回るが、一々、どう援護するか言わないから、上手く対応してくれ!」
「いつもの事だしー、だいじょーぶでしょ?」
ギルティが三頭竜に岩の斧を当てた。
カチュアに劣らず、力が有り余っており、三頭竜を後方へ押し切った。
しかし、三頭竜は一瞬怯んだだけで、直様、その内の一頭がギルティを噛みつこうと、口を大きい広げて向かってきた。
何故だが、わからないが、ギルティのもう一本の斧が炎に包まれていた。
あれ? ギルティって、魔術って、使えていたっけ?
「どーしたの~? ナギちゃん?」
「わ! 何だよ!? いきなり!?」
「何か、考えごとでも、していたかな~と、思っていたわ~?」
「ギルティって、魔術使えていたかなって」
「それなら、アニーちゃんが魔術で支援しているわ~」
アニーが? ふと、アニーを見ると、左手からバチバチと電気が出現した。すると、ギルティの燃えていた斧の火が消えて、電撃を纏っていた。
「なるほど、アニーが魔術を使って、ギルティの武器に付着させているのか。そうやって、サポートしているのか」
「ええ~。でも、アニーちゃんには、無理はさせられないわ~」
「え? 何で?」
「アニーちゃんは体が弱いから、無理はさせられないわ~」
ああ、アニーは体が弱いか。それなら、無理は……え?
「ちょっと! 待って! 何で……」
カチュアの衝撃発言に対して聞き出そうとしたか。
「いや、何でない後にしよう」
「分かったわ~」
気になるところだけど、今は戦闘だ。相変わらず、私は戦いには参加できないけど。
「そ~れ~」
カチュアは長い鎖を出して、三頭ある内の一頭の首周囲を巻きつけた。そして、鎖には、蒼い炎が出現した。
鎖から伝った、蒼い炎が三頭竜に触れたら、苦しそうにもがいている。
やはり、魔物はあの蒼い炎が苦手なんだな。
カチュアは、鎖を三頭竜とは、逆方向へ引っ張る。
しかし。
「あら~」
カチュアは鎖を手放し、その場から離れた。すると、カチュアのいた場所に向かって、魔術でできた様な、大玉が襲いかかってきた。さらに、また、大玉がカチュアを襲い掛かったが、カチュアは避けられた。一瞬だったが、三頭竜の口から放たれていたのが見えた。ブレス攻撃か。
「ルナちゃん。危ないわ~」
三頭竜の内一頭がルナ目掛けて、ブレスを吐こうとした。
カチュアは急いで、ルナの元へ駆けつけるが、二頭がカチュアの邪魔をする。
間に合わないのか?
「はわわ!!」
ドーーーン!!
エドナが躓いた拍子に飛んでしまい、そのまま、ルナにぶつかった。そのおかげで、ブレスを避けられた。
奇跡って起こるものなんだなっと実感させられた。
「すみません。ありがとうごさいます」
「はうう。無事でよかったんだよ」
……うっ!
ーー無事でよかったわ~
「ナギちゃん? どーしたの~?」
「いや! 何でもない」
何だったんだ今のは。
「まだ来るわ~!」
向かえ打とうとするカチュア。
「カチュア! 気をつけよ! その珠は魔術以外のもの、つまり物質に触れたら爆発するぞ!」
声が聞こえたのか、カチュアは躱した。
「ありがと~。ナギちゃん。助かったわ~」
「無事ならいい」
「それにしても、どーしましょ~? 困ったわね~」
全然、困っている様子には見えないんだが。いつものように、のほほーんとしているし、もう、カチュアというキャラがブレないな。
「あの、頭が三つあるドラゴンさん、手強いわ~。名前付けるなら、ドラゴン三姉妹だわ~」
「何! 名称議論を延長させているんだよ! それに、その名づけ方だと、ティアと、まんまじゃないか……」
急に頭痛がしてきた! 痛い! 一体何なんだ!?
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