蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

文字の大きさ
上 下
217 / 316
第十五章 軍神

15ー6 ナギサイド

しおりを挟む
 ダグザに滞在してからさらに翌日。

 皆で、レオの部屋で寝ていたが。やはり、と言うべきか。ダグザ滞在の初日に何もなかったのが不思議だったんだけど。

 ドーーーン!!!

 レオの部屋の扉が破壊された。

「敵襲か!!?」

 ゾロゾロと国兵が集まってきた。

「国王様達が!!!」

 ん? 瓦礫の中に誰かいる? よく見たら、レオの父親に、母親に、兄もいる。

「いったい誰が?」
「それやったのエドナだ」

 エドナが熟睡して直ぐに、体中、鎖を巻いて動けなくしたはずなのに、壊されている。

 しかも、カチュアを抱いているな。カチュアを抱きながら、転がっているよ。

 よく見たら、カチュアの特大サイズのたわわが、服から、漏れている。やばい、エドナがカチュアを抱いている腕を外したら、カチュアの胸が丸見えになっている。てか、エドナも服が脱げて、小柄な体型に似合わない、たわわが見えている! 互いのたわわをくっつけている光景。なんか、腹立つ。

 まだ寝ているエドナが寝相で、足を振り回したら。

 ドッカーーーン!!!

 近くにあった壁にぶつかり、壁に穴が開いてしまった。

 それを見た、ダグザ兵達が、怯えた顔をしていた。

 そして、エドナはまだカチュアを抱きかかえながら、ダグザ兵達がいる方へ転がっていった。

「わあああ!!! こっち来るなぁぁぁぁ!!!」

 あの戦闘亜種の獣人族が怯えている。転がるエドナから慌てて逃げて行った。

「相変わらずだな、エドナの寝相の悪さだ」
「おーい! 親父!! お袋!! 兄貴!! 生きているか!!」

 レオが瓦礫に生まれている、レオの家族三人に小声で声を掛ける。

「止めなくていいのか?」
「あれには、逆らえない」
「命が大事だ」
「犠牲は仕方がない」
「ミラにはどうすることもできません」

 化け物並みの強さを誇る強者達がお手上げ状態だよ。



 数時間後。

 エドナがようやく目が覚めた。いや! あんなに暴走していたのに、起きるのに何時間か掛かったのかよ!

「ようやく、納まったか」
「はうう。ごめんなさいなんだよ」
「いや。むしろ助かった。親父達はまた、あたしを取り合いになる前に、ボコしてくれたから」

 ああ、扉前にいたのは、そう言うことか。

「イヤイヤ! 大事な話があるから呼びに来たんだよ!」
「それはついでだろ? 土佐草に紛れてスキンシップするつもりだろ?」
「あ! バレたか」

 否定しないのかよ。

「クソ、親父ぃぃぃ!」

 レオの手が炎が出現した。

「あわわ!! それを打たないで!!」
「問答無用!!」

 ボボボボボボボボボボ!!!

 レオは、また、炎の光線をレオの父親に放った。

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 炎の光線に直撃したレオの父親は、全身、真っ黒に焦げてしまった。

「で! 親父どうした?」

 何事もなかったかのように、尋ねるレオ。

「コルネリアが宣戦布告してきた」

 こっちも、全身、真っ黒に焦げているのに、何事もなかったかのように、返答した。やはり、タフだな。

 それよりも。

「何? 奴らはまさか」
「そうだ。妖精族の女の子の要求しやがったんだよ」
「くっ、面倒なことをしやがる。あのゲス兄が!!」 
「でっ! 返事は?」
「それに関しは、即返事を返した。断るって!」
「決断早!」
「その後も、どうなっても知らない、と脅されたか、構わんと答えたぞ!」
「迷いがなさ過ぎる!!」

 レオに制裁を受けまくっているダグザ王が逞しく見えてきた。

「まあ、獣人族は単純だから」
「ごめんなさい。あたしのせいで」

 謝罪するエドナ。巻き込んだことを気にしているのか。

「いいんだ! 元々、コルネリアとは中が悪かったんだ。皇女様が即位していなかったら、いづれ戦うことになっていたはずだ。嬢ちゃんが気にすることはない」
「ありがとうございます」

 やはり、王の器に相応しいぐらい、逞しいな。……制裁喰らって、全身真っ黒に焦げてなかったらの話だが。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:230,527pt お気に入り:12,291

異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:31,227pt お気に入り:750

もふつよ魔獣さんのお食事処 〜食材探しはおもしろ楽しい?ダンジョンで〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,657pt お気に入り:289

処理中です...