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第二十章 悪女の素顔
20-回想②
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私の目の前に現れた者達。その中の一人を見ていると、昔のことを思い出す。
ユンヌが見捨てなかった女の子のことを。
その女の子は、ある意味、呪われた子。それを救ったのは、ユンヌだった。
とある、ある日、私とユンヌは、ボロボロの服を着ていて、体中、泥まみれになった少女を見つけだした。その少女は、この悪帝との戦争で、最も重要な人物だった。
「怖がらなくって、いいわよ」
少女は、ユンヌが手を差し伸びても、警戒を解けなかった。無理もない。なんせ、この子は、追われている身だ。
「いいのか? そいつは、悪帝の……」
私が言い掛けようとすると、割り込むように少女が大声を出す。
「そうよ! 妾は、あなた方の敵!」
そう、この少女は、悪帝の妹。それだけの理由で迫害を受けていた。
私にとっては、この女はどうなろうと関係ない。だけど……。
「この子には、関係ないわ。」
このお人好しはそうでもない。この子を保護するつもりだ。
「ふん! お優しいこと」
ユンヌは、怯える悪帝の妹に手を刺し伸びた。しかし。
「来るんじゃない!」
バッシーーーン!!!
ユンヌの手を振り払った悪帝の妹。
ドドドドドドドドド!!!
そして、さらに、生意気なことに、悪帝の妹は、闇系統の魔術で、ユンヌを攻撃し出した。
多少、魔術を発動するのに時間が掛ったから、勇能力の持ち主ではないようね。
「めちゃくちゃ警戒されているじゃない!」
それでも、ユンヌは手を差し伸べることをやめなかった。しかし、ユンヌが近づくたびに、悪帝の妹は闇系統の魔術で攻撃してきた。
「もう、やめなさい!」
見ていられない。ユンヌの体はボロボロよ。それでも、やはり、ユンヌは手を差し伸べることをやめなかった。攻撃を受けつつも、悪帝の妹の元へ近づいていった。
そして。
「大丈夫。だから……」
ユンヌは悪帝の妹を抱き着いて、落ち着かせていた。
悪帝の妹は、疲労がたまっていたのか、ユンヌに抱き着かれたまま、寝てしまった。
「ボロボロじゃない! 何で、そこまで!?」
「この子は、悪いことはしていないわ」
「わからない。私には、わからない。そこまでする?」
「この子が悪いことしていないのに、悪帝と血が繋がっているだけで、迫害されるのは、おかしいからよ。この子は私達が守らないとだわ」
だからと言って、そんなボロボロの体になるまで、この子を救う意味があるの? 理解できない。
でも、何故か、この悪帝の妹に、共感してしまう。何故だろう。
「あー、そうですか。もっと、ボロボロになればよかったのに……」
「ふふふ。心配してくれてありがとう」
「どこをどう聞いたら、そんな解釈になるのよ!?」
「ん? ネールさんの発言は、実際は、真逆の意味として捉えるんでしょ?」
「ツンデレじゃないのよ!?」
本当に、こいつと話すと、調子が狂う。
まあ、色々あったが、私とユンヌは、悪帝の妹こと、リンディンを保護した。
何故、今更、こんなことを思い出したかというと、その血縁が、今現在、私の目の前に現れたから。
ユンヌが見捨てなかった女の子のことを。
その女の子は、ある意味、呪われた子。それを救ったのは、ユンヌだった。
とある、ある日、私とユンヌは、ボロボロの服を着ていて、体中、泥まみれになった少女を見つけだした。その少女は、この悪帝との戦争で、最も重要な人物だった。
「怖がらなくって、いいわよ」
少女は、ユンヌが手を差し伸びても、警戒を解けなかった。無理もない。なんせ、この子は、追われている身だ。
「いいのか? そいつは、悪帝の……」
私が言い掛けようとすると、割り込むように少女が大声を出す。
「そうよ! 妾は、あなた方の敵!」
そう、この少女は、悪帝の妹。それだけの理由で迫害を受けていた。
私にとっては、この女はどうなろうと関係ない。だけど……。
「この子には、関係ないわ。」
このお人好しはそうでもない。この子を保護するつもりだ。
「ふん! お優しいこと」
ユンヌは、怯える悪帝の妹に手を刺し伸びた。しかし。
「来るんじゃない!」
バッシーーーン!!!
ユンヌの手を振り払った悪帝の妹。
ドドドドドドドドド!!!
そして、さらに、生意気なことに、悪帝の妹は、闇系統の魔術で、ユンヌを攻撃し出した。
多少、魔術を発動するのに時間が掛ったから、勇能力の持ち主ではないようね。
「めちゃくちゃ警戒されているじゃない!」
それでも、ユンヌは手を差し伸べることをやめなかった。しかし、ユンヌが近づくたびに、悪帝の妹は闇系統の魔術で攻撃してきた。
「もう、やめなさい!」
見ていられない。ユンヌの体はボロボロよ。それでも、やはり、ユンヌは手を差し伸べることをやめなかった。攻撃を受けつつも、悪帝の妹の元へ近づいていった。
そして。
「大丈夫。だから……」
ユンヌは悪帝の妹を抱き着いて、落ち着かせていた。
悪帝の妹は、疲労がたまっていたのか、ユンヌに抱き着かれたまま、寝てしまった。
「ボロボロじゃない! 何で、そこまで!?」
「この子は、悪いことはしていないわ」
「わからない。私には、わからない。そこまでする?」
「この子が悪いことしていないのに、悪帝と血が繋がっているだけで、迫害されるのは、おかしいからよ。この子は私達が守らないとだわ」
だからと言って、そんなボロボロの体になるまで、この子を救う意味があるの? 理解できない。
でも、何故か、この悪帝の妹に、共感してしまう。何故だろう。
「あー、そうですか。もっと、ボロボロになればよかったのに……」
「ふふふ。心配してくれてありがとう」
「どこをどう聞いたら、そんな解釈になるのよ!?」
「ん? ネールさんの発言は、実際は、真逆の意味として捉えるんでしょ?」
「ツンデレじゃないのよ!?」
本当に、こいつと話すと、調子が狂う。
まあ、色々あったが、私とユンヌは、悪帝の妹こと、リンディンを保護した。
何故、今更、こんなことを思い出したかというと、その血縁が、今現在、私の目の前に現れたから。
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