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会議後5
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「気持ちはよくわかった!」
「返す言葉がないよ。いや、申し訳ない!」
アトラス王子がしゅんと言ったかと思うと、急に立ち上がり頭を下げた!
「な、何ですが、や、やめてください!!こちらこそ申し訳ありません。凄く生意気な事を言ってしまいました」
慌てて私もたちあがり、公爵子息に助けを求めるように見たが、公爵子息はアトラス王子の様子を見て、今度は得意気にニヤニヤ笑いだした。
とても満足気にしているが、こっちは気が気じゃない。
一国の王子が頭下げているんだよ。
「私も、申し訳ありません!!」
イグニス様まで、近くに来て頭を下げだした。
「ちよっ、ちょっとお2人ともどうしたのですか!?やめて下さい」
「僕達は、スティール様をいや、ニルギス子爵殿も見くびっていた。トランタが気に入った女性と言うだけで、取るに足らない田舎貴族立と思っていた」
すっ、と顔を上げて真剣な面持ちで見つめる表情に、謝罪の気持ちがとても伝わってきた。
「あの、公爵子息の気に入ったというのは全くいりませんが、取るに足らない田舎貴族というのは当たってます。ですから、今回は運良く皆様もお手伝いが出来ただけです。それに、立場と言うよりも育った環境が違うので、知らない事があって当然です。私は政治的な事はさっぱり分かりませんもの」
だから、そんなふうに謝らないで欲しい。
「いや、違った!スティール様は僕達の知らない事を、僕達の立場を考えず素直に叱責し、教えてくれた。トランタが冗談でスティール様に聞いてみる、と言った時にどれだけスティール様を馬鹿にしていた自分が恥ずかしい」
「え、と、いや、大袈裟ですよ」
実際私達は、下、です。
「ほら、な。俺の目は確かだろ?スティールもニルギス子爵も謙遜過ぎるんだ」
「余計な事言わないで、公爵子息」
入ってこないで!
「トランタの言う通り、とても素晴らしい女性だ!僕達の言いづらい立場を知りながらも」
いや、私、何も言ってませんし、言いづらい立場の方々だから、普通近寄れないから、この状況おかしいと思ってよ。
全部そこにいる人が、勝手に作り上げてるんだよ!
「真剣に北部の事を考え、あえてトランタの前に現れてくれた」
いや、勝手に近づいてきたんだってば。
「見た目は普通のパッとしない女性だが」
否定はしないけど、そうはっきりと、それもイグニ様も頷かれるとちょっと凹む。
「おいおい、失礼だぞ。彼女程可愛らしい女性はいない」
いつの間にか、私の横に立っていた公爵子息が、愛おしそうに手を握ってきた、
が、
勿論振り払った。
気持ち悪いっ。
が、
それでも、握ってきた。
ちょっと、離してよ。
がっちりと握ってきて全く離れずイライラしている私を楽しそうち見ている公爵子息に、本当にムカついた。
「そうだな。トランタの言うように、控えめで思慮深く、とても可愛らしい方だ」
「俺のものだ。下手に近づくなよ」
「やめて下さい、私は誰の物でもありません」
「本当に申し訳ない!!」
「私もです、スティール様!!」
また、頭をさげられた。
「いや、だからお2人頭を上げてください」
「いや、足りないくらいだ。俺の愛するスティールを馬鹿にしたんだ」
「トランタにも申し訳ない」
「トランタ様、スティール様をお許し下さい」
「いや、だから、私は」
「言葉だけじゃなぁ。スティールの容姿だけでなく、その資質も劣っている、と言われたら、謝罪だけじゃぁ足りないよな」
「何でも言ってくれ、宝石か?金か?」
きん?
きん、て、金だよね?
金があったら領地で使っている領民のクワや倉庫を新しく出来る?
いや、道路の舗装?
いや、種の研究費?
「わかった!金を準備しよう!」
「そう来なきゃな、良かったな、スティール」
「え?いや、いらないです!そりゃ欲しいけど」
「ほら欲しいと言ってるだろ?俺は違うもんプレゼントしてやるよ」
「いや、まって、下さい」
皆が一斉に喋りだしたから、どうしていいのか分からなくなってきた。
「ありがとうスティール様!許してもらえて嬉しいよ!僕の事は名前で呼んでくれ」
「私もです」
「俺も」
「いや、呼ばないですよ!だから、どれもいりませんてば!ちよっと、聞いてます!?」
「さて、許しも貰った所でイグニス、お茶を入れ直してくれないか?トランタ、予算的には先程のでいいか?」
「ちょっと!」
「はい、直ぐに入れなおします」
「聞いてください!」
「いいと思うぜ。スティール、もう少しスコーン食べるか?」
「食べませんよ!これ以上食べたら夕食が食べれません!そんな事よりも」
「おっ、そうだな晩餐会があったな。スティール、今宵のドレスは屋敷の方に」
がっ、と片手で肩を捕まれ座らされた。
「用意している。俺とお揃いだ。いやあ、ちょっと恥ずかしいなぁ」
「はあ!?だったら着なきゃいいでしょ!?何で私のがあるんですか!?」
「だって、スティールは正式な晩餐会に出た事ないだろ?」
「当たり前です。私は庶民的な貴族何です!」
「だが、今回は出なきゃ行けないんだ」
「誰のせいですか!?」
「勿論、俺のお陰だろ?」
ここまで堂々と、それも至極当然も言われると呆気にとられる。
本当にこの方は他人を思いやるとか、他人の事を考えるとか、全く、微塵もしない方だと、
またまた、
またまた、
思い知らされ、ぐったりとしてしまった。
「返す言葉がないよ。いや、申し訳ない!」
アトラス王子がしゅんと言ったかと思うと、急に立ち上がり頭を下げた!
「な、何ですが、や、やめてください!!こちらこそ申し訳ありません。凄く生意気な事を言ってしまいました」
慌てて私もたちあがり、公爵子息に助けを求めるように見たが、公爵子息はアトラス王子の様子を見て、今度は得意気にニヤニヤ笑いだした。
とても満足気にしているが、こっちは気が気じゃない。
一国の王子が頭下げているんだよ。
「私も、申し訳ありません!!」
イグニス様まで、近くに来て頭を下げだした。
「ちよっ、ちょっとお2人ともどうしたのですか!?やめて下さい」
「僕達は、スティール様をいや、ニルギス子爵殿も見くびっていた。トランタが気に入った女性と言うだけで、取るに足らない田舎貴族立と思っていた」
すっ、と顔を上げて真剣な面持ちで見つめる表情に、謝罪の気持ちがとても伝わってきた。
「あの、公爵子息の気に入ったというのは全くいりませんが、取るに足らない田舎貴族というのは当たってます。ですから、今回は運良く皆様もお手伝いが出来ただけです。それに、立場と言うよりも育った環境が違うので、知らない事があって当然です。私は政治的な事はさっぱり分かりませんもの」
だから、そんなふうに謝らないで欲しい。
「いや、違った!スティール様は僕達の知らない事を、僕達の立場を考えず素直に叱責し、教えてくれた。トランタが冗談でスティール様に聞いてみる、と言った時にどれだけスティール様を馬鹿にしていた自分が恥ずかしい」
「え、と、いや、大袈裟ですよ」
実際私達は、下、です。
「ほら、な。俺の目は確かだろ?スティールもニルギス子爵も謙遜過ぎるんだ」
「余計な事言わないで、公爵子息」
入ってこないで!
「トランタの言う通り、とても素晴らしい女性だ!僕達の言いづらい立場を知りながらも」
いや、私、何も言ってませんし、言いづらい立場の方々だから、普通近寄れないから、この状況おかしいと思ってよ。
全部そこにいる人が、勝手に作り上げてるんだよ!
「真剣に北部の事を考え、あえてトランタの前に現れてくれた」
いや、勝手に近づいてきたんだってば。
「見た目は普通のパッとしない女性だが」
否定はしないけど、そうはっきりと、それもイグニ様も頷かれるとちょっと凹む。
「おいおい、失礼だぞ。彼女程可愛らしい女性はいない」
いつの間にか、私の横に立っていた公爵子息が、愛おしそうに手を握ってきた、
が、
勿論振り払った。
気持ち悪いっ。
が、
それでも、握ってきた。
ちょっと、離してよ。
がっちりと握ってきて全く離れずイライラしている私を楽しそうち見ている公爵子息に、本当にムカついた。
「そうだな。トランタの言うように、控えめで思慮深く、とても可愛らしい方だ」
「俺のものだ。下手に近づくなよ」
「やめて下さい、私は誰の物でもありません」
「本当に申し訳ない!!」
「私もです、スティール様!!」
また、頭をさげられた。
「いや、だからお2人頭を上げてください」
「いや、足りないくらいだ。俺の愛するスティールを馬鹿にしたんだ」
「トランタにも申し訳ない」
「トランタ様、スティール様をお許し下さい」
「いや、だから、私は」
「言葉だけじゃなぁ。スティールの容姿だけでなく、その資質も劣っている、と言われたら、謝罪だけじゃぁ足りないよな」
「何でも言ってくれ、宝石か?金か?」
きん?
きん、て、金だよね?
金があったら領地で使っている領民のクワや倉庫を新しく出来る?
いや、道路の舗装?
いや、種の研究費?
「わかった!金を準備しよう!」
「そう来なきゃな、良かったな、スティール」
「え?いや、いらないです!そりゃ欲しいけど」
「ほら欲しいと言ってるだろ?俺は違うもんプレゼントしてやるよ」
「いや、まって、下さい」
皆が一斉に喋りだしたから、どうしていいのか分からなくなってきた。
「ありがとうスティール様!許してもらえて嬉しいよ!僕の事は名前で呼んでくれ」
「私もです」
「俺も」
「いや、呼ばないですよ!だから、どれもいりませんてば!ちよっと、聞いてます!?」
「さて、許しも貰った所でイグニス、お茶を入れ直してくれないか?トランタ、予算的には先程のでいいか?」
「ちょっと!」
「はい、直ぐに入れなおします」
「聞いてください!」
「いいと思うぜ。スティール、もう少しスコーン食べるか?」
「食べませんよ!これ以上食べたら夕食が食べれません!そんな事よりも」
「おっ、そうだな晩餐会があったな。スティール、今宵のドレスは屋敷の方に」
がっ、と片手で肩を捕まれ座らされた。
「用意している。俺とお揃いだ。いやあ、ちょっと恥ずかしいなぁ」
「はあ!?だったら着なきゃいいでしょ!?何で私のがあるんですか!?」
「だって、スティールは正式な晩餐会に出た事ないだろ?」
「当たり前です。私は庶民的な貴族何です!」
「だが、今回は出なきゃ行けないんだ」
「誰のせいですか!?」
「勿論、俺のお陰だろ?」
ここまで堂々と、それも至極当然も言われると呆気にとられる。
本当にこの方は他人を思いやるとか、他人の事を考えるとか、全く、微塵もしない方だと、
またまた、
またまた、
思い知らされ、ぐったりとしてしまった。
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